住宅ローンの返済を延滞・滞納したり代位弁済されて一括請求されたりすると債権回収会社(サービサー)なるものから通知がくることがあります。
債権回収会社(サービサー)という文字からしても物々しいので何かヤバイところから通知がきたと思ってビックリしてしまうかもしれません。
債権回収会社(サービサー)とは何者なのでしょうか?
債権回収会社(サービサー)とは法務大臣の許可を受けた債権回収業務を専門に行うれっきとした金融機関です。
法務大臣の許可の条件はかなり厳しく、
- 資本金5億円以上の株式会社
- 取締役に1名以上の弁護士
- 反社会的勢力等の参入排除の仕組み
などが必要条件となっています。
なので法務大臣の許可を受けた債権回収会社(サービサー)は現在日本全国に72社しかありません。(令和6年4月1日現在)
⇒債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧(法務省ホームページ)
債権回収会社(サービサー)はこれだけ厳しい条件で許可を受けているきちんとした金融機関ですので、債権回収会社(サービサー)から何かしらの通知がきたということはそれなりの理由がこちらにあるということだと思って間違いありません。
ただし債権回収会社(サービサー)をうたった怪しい詐欺まがいのことをしているところもあるようですので債権回収会社(サービサー)から通知がきたら必ず前述の法務省ホームページなどでその債権回収会社(サービサー)がきちんと法務大臣から許可を受けているところかどうかを調べる必要はあると思います。
債権回収会社(サービサー)とはいったい何者なのか?
全国サービサー協会のホームページにも記載がありますが、もともと債権回収業務というのは弁護士や弁護士法人にしか認められていなかった業務でした。
全国サービサー協会ホームページの『サービサーとは』のページに詳しく記載があります。
【サービサーとは】
①債権回収会社(サービサー)とは、金融機関等から委託を受けまたは譲り受けて、特定金銭債権の管理回収を行う法務大臣の許可を得た民間の債権管理回収専門業者です。
②わが国では、弁護士法により、弁護士または弁護士法人以外のものがこの業務を行うことは禁じられていましたが、不良債権の処理等を促進するために「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」が施行されて、弁護士法の特例としてこのような民間会社の設立ができるようになりました。
①について、住宅ローンの場合だと住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の住宅ローンの返済を延滞・滞納すると業務委託先の債権回収会社(サービサー)から通知や連絡があり、その後の処理はすべてその債権回収会社(サービサー)が窓口となります。任意売却を行う際も同じです。
また銀行や信用金庫などの住宅ローンの債権そのものを譲り受けて債権者として債務者に督促を行うこともあります。
銀行から住宅ローンを借りていたのに別の債権回収会社(サービサー)から督促が来たという場合は、上記の通り業務委託先としてか債権を譲り受けたかのどちらかで債権回収会社(サービサー)から督促がある場合があるということです。
②については債権回収を業務として(代金を得て)行うということは弁護士にしか認められていなかったものを特例として債権回収回収(サービサー)にも認めたという経緯があります。
なので管轄省庁が弁護士と同じ法務省になっているというわけです。
これは債権回収業務の性質上、反社会的勢力を徹底的に排除する必要があるためです。
なぜなら銀行などが貸し付けているお金の返済が滞って銀行から督促をしても返してもらえないということは、そもそも債務者の返済能力がなくなってしまっていてそこから回収をしようとすると専門的なノウハウが必要になるからです。
それを一般人や一般の会社や反社会的勢力にまで誰でも行えるとするとどうしても無理な回収業務になってしまう可能性が高いのです。
それこそ怖い人が取り立てに家や会社に行って大声を出すというドラマなどで見るあれです。
そういうことが行われないように債権回収を業務として行うことができるのは弁護士以外には債権回収会社(サービサー)にしか認めらておらず法務省の厳しい監視のもと業務が行われているのです。
実際、債権回収会社(サービサー)として許可を受けて業務を行っていても無理をしすぎると法務省から処分や行政指導を受けて退場したところも少なくありません。
前述の債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧をよく見れば分かるのですが免許番号がかなり虫食いになっています。
免許番号は1番から順番に許可を受けていたはずなので抜けている番号はすでに廃業したということです。
債権回収会社(サービサー)が回収業務を行うことができる特定金銭債権とは?
全国サービサー協会のホームページの『サービサーとは』のページに詳しく記載されていますが、債権回収会社(サービサー)が業務の委託を受けるもしくは債権を譲り受けることができる債権は限られています。
それを債権回収会社(サービサー)が回収業務を行うことができる特定金銭債権といいます。
【特定金銭債権とは】
1. 金融機関等が有する貸付債権
2. リース・クレジット債権
3. 資産の流動化に関する金銭債権
4. ファクタリング業者が有する金銭債権
5. 法的倒産手続中の者が有する金銭債権
6. 保証契約に基づく債権
7. その他政令で定める債権
という形で債権回収会社(サービサー)の債権回収業務の範囲は「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」で厳しく規制されているというわけです。
この中には当然住宅ローンも含まれていますので住宅ローンを延滞・滞納するといずれかの債権回収会社(サービサー)から連絡や督促があったり通知が送られてくるということは十分にあり得ることなのです。
ただ前述の通り債権回収会社(サービサー)であってもきちんとした法務省の認可金融機関ですので乱暴なことをされたりきついことを言われたりすることは一切ありませんのでご安心ください。
そして債権回収会社(サービサー)から住宅ローンの督促があった場合は必ず対応するようにして任意売却を進める場合はその債権回収会社(サービサー)が窓口となって任意売却の交渉を行っていくこととなります。
おわりに
住宅ローンを延滞・滞納したり代位弁済されて一括請求された際に銀行ではなく債権回収会社(サービサー)から連絡や通知があった場合はご相談ください。
債権回収会社(サービサー)はそれこそ債権回収のプロですので任意売却を進める際もきちんとした対応が求められます。
任意売却を行うには不動産の売却が当然必要になりますが債権回収会社(サービサー)との折衝の経験のない不動産会社だと手続きが遅れたりうまく進まなかったりすることが多いです。
実際にそれでうまくいかずに競売になりそうになってからこちらにご相談頂いてなんとか任意売却で切り抜けられたこともけっこうな件数ありました。
債権回収会社(サービサー)側もまったく経験のない不動産会社とは任意売却がやりにくいと言う担当者もいらっしゃいましたので任意売却をうまく進めるためにも依頼する不動産業者に任意売却の実績や経験が十分あるかを事前に調べて依頼するとよいでしょう。
債権回収会社(サービサー)から住宅ローンの督促が来てお困りだという方はいつでもご相談にのりますので遠慮なくご相談ください。