不動産投資の収益物件選定の段階で、正確な実質利回り(NET利回り)の計算をすることは意外と大変なのではないでしょうか?
結論から言うと収益物件選定の段階で実質利回り(NET利回り)を正確に出すことは時間と労力がかかりすぎるのであまりおすすめできるものではありません。
なぜなら予測しないといけない空室損や修繕費用、登記簿謄本の面積から登記費用や司法書士事務所費用などを割り出すことはその場ですぐにできることではないからです。
収益物件選定の段階では実質利回り(NET利回り)は簡易計算しておいて物件選定の判断スピードを速めることが先決です。
この記事では知っておくと便利な不動産投資の収益物件の選定に役立つ実質利回り(NET利回り)が誰でもすぐに簡単に出せる簡易計算方法をご紹介します。
実は収益物件選定の段階では実質利回り(NET利回り)までの緻密な計算は必要ない理由
理由①:実質利回り(NET利回り)にこだわりすぎると時間を浪費する
収益物件を探していてふるいにかけている段階で、実質利回り(NET利回り)を算出して判断を繰り返すのは、とても骨の折れる作業です。
膨大な物件情報のすべてに、緻密な実質利回り(NET利回り)を算出して判別していくのは、実際にやってみると現実的ではないことがわかります。
理由②:不動産業者によって実質利回り(NET利回り)の定義が違うこともある
また、不動産業者から親切にも実質利回りなどが記載された物件概要書が送られてくる場合がありますが、普段から情報をもらっていたり、信頼できるところからの資料以外は、あまりまともに見ないほうがいいといえます。
各社の予測の仕方は、各社で異なるので、どのように見積もっているのかをそれぞれ把握して理解するまでに時間がかかってしまうからです。
また、細かく算出した綺麗な資料を見せられると、その数字があたかも正しいかのように錯覚してしまい、自分自身で判断することを放棄してしまうことにもなりかねないからです。
正確な実質利回り(NET利回り)の計算を諦めることで物件選定の判断スピードが格段に早くなる
それであれば正確な実質利回り(NET利回り)という考え方を諦めれば楽になります。
収益物件を探している段階で、生真面目にひとつひとつシミュレーションするのではなく簡便的に実質利回りを出して判断スピードを上げるほうが重要だからです。
緻密なシミュレーションは物件の購入検討が進んで、いざ勝負という段階になってから最終的な判断材料としては非常に重宝しますが、物件情報を振り分ける段階では詳しすぎて機能しないのです。
したがって、他の人が作った資料は参考程度にまずは自分自身の簡便的な方法で第一段階は判断するようにすると軸がぶれずにスピードアップできるといえます。
誰でも今すぐ簡単にできる不動産投資の実質利回り(NET利回り)の簡易計算方法
大事なところですので繰り返しますが、簡便的に行う実質利回り(NET利回り)の算出は収益物件の選別でしか使いません。
そのため、簡便的な実質利回り(NET利回り)の算出で使う経費は運営経費のみとなります。
その運営経費には、予測となる空室損は含まれません。
そしてその運営経費に関しても一定の割合の数値を使います。
◎簡便的な実質利回り(%)=(満室家賃収入-運営経費)/物件価格×100
【運営経費(ランニング費用) ※空室損失費用除く】
管理料・修繕積立金・固定資産税・都市計画税・修繕費用・水道光熱費・リース料・出張費用など
具体的な運用では、運営経費を構造別にパーセンテージで決めてしまいます。
1棟マンション、1棟アパートなら下記の数値が使えます。
- 1棟マンション(RC造)
標準:15%、エレベーター有:20%、機械式駐車場有:25% - 1棟アパート(木造)
標準:15%、築古・上水道が直結など:10%
例えば、表面利回り(グロス利回り)12%、RC造の物件A、Bを比較します。
- A物件:RC、物件価格6,000万円、家賃60万円、エレベーター有、経費20%=12万円
◎実質利回り=(家賃60万円-経費12万円)×12ヵ月/物件価格6,000万円=9.6% - B物件:RC、物件価格6,000万円、家賃60万円、エレベーター無、経費15%=9万円
◎実質利回り=(家賃60万円-経費9万円)×12ヵ月/物件価格6,000万円=10.2%
というように算出できます。
実際には、エレベーター有りや機械式駐車場はお金がかかるので、同じ表面利回り(グロス利回り)でも経費率が高いことを瞬時に考慮することになります。
そして収益物件選別の第一段階として、自分自身の算出方法で出した簡便的な実質利回りがいくら以上なら次の段階に進むなどと、勝手に基準を決めて進めていけば収益物件選別のスピードは飛躍的に高まります。
この時点で基準以上だからといって優れた物件である必要なないということです。
とにかく多くの収益物件情報を見て第一段階ではある程度機械的にスピーディーに選別を進めていったほうが、一定の基準値以上の収益物件に集中してさらなる選別をかけることができるからです。
知らない業者の綺麗なシミュレーションを見て、この数値は何から出しているのだろう、なぜこの計算結果になるのだろうと悩んでいる時間がもったいないので、それはそれでシミュレーション例として置いておいて自分自身の基準値に引き直して横一線で選別したほうが速いということです。
おわりに
- 実質利回り(NET利回り)は算出が複雑なため使い勝手が悪く、物件の選別の段階で、膨大な物件資料のすべての物件で正確な実質利回りを出すことは現実的ではない。
- 簡便的な実質利回りの算出法を決めて、物件選別段階での目安として運用する。そうすることで、さまざまな形式の物件資料を同じ基準で横一線に比較検討することができ、物件選別のスピードが飛躍的にアップする。