東証一部上場企業のアパート大手レオパレス21が運営するレオパレスアパートの施工に不備があり建築基準法違反が指摘されています。
最近では収益物件のポータルサイト
- 楽待
- 健美家
- 連合隊
などで以前にもましてレオパレスの収益物件の売り物件がにわかに増えてきています。
以前からも売りに出ている物件は散見されましたが最近ドカンと増えた印象です。
売りに出ているレオパレス物件は全体的に利回りは高めで物件価格は安めに設定されていることがほとんどです。
特に建築不備の補修が済んでいないレオパレス物件はかなり安い価格で売りに出されているケースが見られます。
- このレオパレス物件は安いうちに買わなきゃ損なのでしょうか?
- 安さにつられて買ったら損をしてしまうのでしょうか?
リスクがあってもそのリスク以上のリターンが見込めるのであれば投資としてはおもしろいと考えることは不動産投資のリスクの取り方としては間違ってはいません。
しかし勝負するにはそのリスクの根拠をできるだけ明確にしておく必要はあります。
この記事では、最近増えた売り出し中のレオパレス物件の購入の是非について考えようと思います。
今売りに出ているのレオパレス物件を安いという理由だけで買うのは非常にリスキーな4つの理由
レオパレス物件がリスキーな理由①:建築基準法違反で入居者の人命にかかわる
今メディアで連日建築基準法違反で叩かれているレオパレスですが不動産投資家の中にはレオパレス物件が安く売りに出ているので買いたいと思われている人も多いのではないでしょうか?
結論から言うとただ単に安いという理由からだけではレオパレス物件を絶対に買ってはダメです。
冷静にレオパレスの何がこれだけ社会を騒がせている問題かを整理してみたいと思います。
レオパレス物件の不備は、火災の耐火・延焼を食い止めるための
- 屋根裏の界壁が存在しないもしくは基準に満たない
- 上下階の天井の耐火仕様が基準に満たない
- 外壁が耐火基準に満たない仕様の部材を採用
など火災が発生したらひとたまりもない不備仕様となり、建築基準法違反となっています。
それが現時点で1万棟以上あるというのです。
最初は昔に建てられた古いレオパレスだけの問題かと思われていましたが比較的新しいレオパレス物件でも不備が指摘されこれには驚愕のひとことです。
東証一部上場企業でありながらここまで人命軽視の収益物件が作れるものだという驚きと不動産業界のバレなきゃいいという昔ながらのいい加減さを感じざるを得ません。
今回の問題は大手企業で発生したのでここまで大きい社会現象になっていますが、新築アパート投資の物件の中にも基準に満たない物件があるとの情報も出てきています。
新築アパート投資をされた方は、自分の物件の耐火仕様が問題ないかチェックしてみると良いでしょう。
不動産投資家は賃貸経営者でもあり、入居者の安全・安心のある住まいを提供するのが事業において一番の要になるからです。
レオパレス物件がリスキーな理由②:レオパレス21のサポートが転売した物件のどこまで継続するのか分からない
レオパレス物件を売りに出している方はこれだけ社会問題にまでなってしまったレオパレス物件を運営する気がなくなり、他の人にリスクを移そうとしているといえます。
つまりはレオパレス物件の買主は、買ったレオパレス物件の耐火性能に問題がないかを証明して賃貸として貸さないといけません。
レオパレス21が補修の責任と負担を負うことになっていますがいつ完了するかもわからず、転売されたレオパレス物件をどこまで保証するのかよくわからない部分もあります。
そのリスクを背負って本当にレオパレス物件に投資価値があるかといえばよほど激安にならない限りリスクをカバーしきれないと思います。
レオパレス物件がリスキーな理由③:大手賃貸仲介会社からの客付けが期待できない
耐火性能等の建築基準に合致したという安全宣言がされない限り、大手の仲介店舗では扱ってもらえません。
エイブル・ミニミニ・アパマンなどの大手賃貸仲介会社は安全宣言がされていないレオパレス物件の仲介をストップしているのです。
今後安全宣言がされたレオパレスの建物から募集開始できますが、ここまで明らかにされた安普請なアパートに住みたいと思う方がどれくらいいるかということです。
一般の人や社会人の入居者は今後難しいでしょう。
住んでいても友達や親に心配されるので住んでいると言いにくい物件になってしまい入居対象から外される可能性が高いからです。
レオパレス物件がリスキーな理由④:リセールバリューが期待できるか予測できない
これだけマスコミやメディアに叩かれて法的にも問題があったレオパレス物件が安全宣言が出たからと言って買いたいと言う人が増えてくる保証はどこにもありません。
安く取得できたとしても、出口戦略でもっと安くしか売れなければ結局トータルで損することになります。
こればかりは予測の話なのでなんとも言えませんが、マイナスの要因が多い物件であることに異論はないと考えられます。
レオパレス21の法人社宅システムが引き継がれればリスクは軽減される
唯一レオパレスの管理物件(30年一括サブリース)であればまだ何とかなる可能性があります。
というのもレオパレスの第三四半期の決算単信を見てみると巨額な不備改修費用を見積もっているので434億円という赤字を出していますが、儲けを示す営業利益は60億円以上確保しているのです。
その営業利益の源泉はレオパレスの入居者からの賃料収入です。
界壁の不備については2018年4月27日から調査を開始するニュースをレオパレスは発表していましたがそこからも入居率がそれほど落ち込んでいないのはすごいことです。
これはレオパレス21が一貫して法人契約を伸ばしてきておりデータからは法人契約が50%を超えているのが要因と考えられます。
法人契約も少しずつ減ってきているものの安定的に入居付けが行えるのはレオパレスの法人契約を重視した戦略が非常に有効であることを示しています。
法人は新入社員などをアパートに住まわせることを考えた場合レオパレスの法人契約の社宅入居システムの仕組みは使いやすくよくできているからです。
といのもレオパレス21は全国で50万戸以上も管理しています。
レオパレス21に依頼するだけで社員の住居を全国に確保するだけでなく費用面でも抑えたプランがあるため法人企業にとってコストパフォーマンスが高いのです。
これが法人契約を減らしていない一つの要因です。
もちろんコンプライアンスに厳しい大手企業は離れていきますがコスト重視の中堅企業はそれほど離れていないのではないかという印象です。
一定の割合で法人契約も下がると考えられますが、今後補修が終わり安全宣言がでれば影響は軽微で済む可能性もあります。
今後の3~6か月程度の法人契約の推移を見ていく必要があります。
おわりに
レオパレス物件を買うならば、
- 激安であることと
- 法人契約の減少が落ち着くこと
- 安全宣言が出せる改修計画の物件であること
- 今回の問題がない物件
- レオパレスの賃貸保証・管理を引継く
という条件が満たせれば買ってもなんとかなる可能性はあります。
レオパレスの管理から離れた物件では安全宣言が出たとして法人契約が流れてくることはほぼなく、一般の個人や社会人になりますが賃貸経営は厳しいことが予想されます。
このように様々な情報をみながら自身でリスクを取って判断することが大切です。
どうにでもできるという上級者でもない限り安易に安いからと飛びついてレオパレス物件を買うことは私はお勧めしません。