不動産投資にはリスクがたくさんありどこか怖いイメージもあるのではないでしょうか?
どこか怖いというのは何がリスクなのかはっきりと分かっていないことが原因でもあります。
不動産投資に限った話ではなく投資にはそれぞれリスクがあります。
それは事業やビジネスでも同じです。
予測し得るリスクに対処しながらリターンを最大化しようと考えることが投資やビジネスの基本となります。
そして不動産投資のリスクに対してどのような対応をとるのかを事前に決めておけばかなりの部分でのリスクヘッジとなります。
この記事では、不動産投資のリスクを回避するために絶対に知っておくべき不動産投資の7つのリスクをご紹介します。
リスク①:火災や地震などの災害リスク
①-1:不動産投資の地震リスク
災害の中でも特に地震リスクが高まってきているといえます。
東日本大震災の被害住宅戸数は約26万戸です。
巨大地震以外にも地震自体は頻発していますので、融資年数の最大期間の35年の間で、感覚的には巨大地震2回分、52万戸くらいが被害にあうくらいを想定してもおかしくはありません。
総務省の平成25年度のデータによれば、日本全国の住宅戸数は6063万戸となっています。
そうすると、被害想定の52万戸を日本の住宅戸数6063万戸で割ると0.8%になりますので全住戸数の125戸に1戸が巨大地震で被害を受ける計算になります。
125戸に1戸をどう考えるかです。
このリスクを高いとみるか低いとみるかは人それぞれ違う思います。
しかし、万一地震が発生した時に被害を受けた建物で収益が落ちてしまい不動産投資が破綻する最悪の事態を想定すると0.8%の確率でも防いでおきたいものです。
リスクの確率が低くてもひとたび起これば不動産投資を破綻に追い込むほどの破壊力のある地震に備えて地震保険には入っておくべきだといえます。
①-2:不動産投資の火災リスク
火災リスクも地震と同じく、建物が焼失すると収益を得る機会を失ってしまいます。
こちらの発生するリスクの確率はどのくらいなのでしょうか?
建物火災の年間発生件数は約2万5千件というデータがあります。
したがって、建物の火災の発生確率は0.04%になります。
2,500戸に1件程度の割合となります。
なので不動産投資を30年にわたって運営して約1%程度の確率といえます。
全焼だけでなく小火も含めた件数ですので全焼・半焼だけとなるともっと確率は低くなります。
つまり火災になる確率はとても低いということは事実として把握しておきます。
とはいっても地震と同じく、もし発生した場合には収益を大きく落とすことになりますのでこの発生確率も防いでおきたいところです。
それが火災保険となります。
火災発生時には被害を補償されます。
火災保険を適切に掛けておけばこの低い発生リスクの火災さえ回避できてしまうと考えます。
こういった知識があれば、火災や地震のリスクさえ防ぐことができる、つまりはリスクをコントロールできるということになります。
リスク②:入居者の賃貸需要減のリスク
不動産投資において入居者の重要減リスクは大きな問題となります。
今のままの出生率という前提ですが日本の将来推計人口がショッキングな数値を出しています。
- 平成22年国勢調査・・・人口1億2806万人
⇒平成42年・・・1億1662万人(平成22年比較で人口が9%程度減る)
⇒平成60年・・・9913万人(平成22年比較で人口23%程度減る)
今の人口より20年後に10%近く、40年後には20%以上減るという推測です。
人口が減れば需要が減って空室が間違いなく増えます。
このマクロ環境の数字だけを見ると不動産投資・不動産投資はやめておいたほうがいいと思う方もいるかもしれません。
しかし、これらのリスクもやり方次第によっては軽減できる場合もあります。
なぜなら、不動産投資は管理会社などと連携し知識を活用して運営をすることで空室対策を取りながら運営していくことができるからです。
しかし、需要がまったくないというエリアで賃貸付けをして空室を埋めていくというのはかなり難しいことに変わりはありません。
需要が減っていく中での不動産投資というのは、他のビジネスと同様に難しいものです。
しかしこのリスクを抑えることはできます。
対策としては収益物件を購入しようとしているエリアをくまなく調査をすることです。
- 人口動向
- 人気のある間取り
- 新築の供給戸数
などです。
よく調べれば、
- ファミリーなら決まるエリア
- 学生なら入居する物件
など、エリアごとに意外な需要があります。
需要については賃貸マーケットを調査することでリスクをある程度抑えることができることになります。
リスク③:マーケットリスク(物件の値下がりリスク)
収益物件を購入して建物を建て直すまで保有し続ける人は少ないと思われます。
ということはいつかは収益物件を売却することになります。
その時に物件価格が下がっていたら大変だと思う人が多いのではないでしょうか?
売却するときに値下がりしているケースで困るのは売却金額で金融機関に残債を返済できないことです。
逆にいえば、金融機関に返済さえできれば破綻することはないといえます。
つまり、
『売却価格>借入残高』
にさえなっていればほとんど破綻する心配はないということです。
※本来は売却益の税金の支払いも考慮しますがここでは無視します。
売却時に借入残高を返済して抵当権を抹消することができれば、それまでの家賃収入もあったわけですから損をする可能性はとても低いものになります。
なので物件価格の値下がりがそのままリスクというわけではありません。
値下がりした場合に危ない人というのはオーバーローンのような無理な融資をつけていたりする人です。
この場合は値下がり幅によっては売却しても借入残高の返済ができない可能性があり、その際は、
- 売りたくても売れない
- 手出しをしてでも売却する
という選択肢になってしまいます。
つまり、インカムゲイン狙いで無理をした融資を受けていなければ多少の値下がりには恐れることはないといえます。
そしてこれが一番重要なポイントですが、
- キャッシュフローが出ている限り収益物件は値下がりしにくい
- キャッシュフローを重視して物件を取得している限り返済ができなくなるリスクは低い
ということがいえるからです。
リスク④:借入金の金利上昇リスク
不動産投資をしている人でも金利上昇に対して無頓着な人は実は多かったりします。
今借りている金利が永遠に続くような錯覚に陥っています。
金利上昇リスクは恐れ過ぎることはないですが、過去の歴史を見れば振れ幅が意外に大きいものです。
長い間低金利に慣れて毎年のように金利が下がっていく環境ですが、過去には変動金利が8%を超えていたこともあります。
今後もこのように金利が上昇するリスクがまったくないとはいえません。
もし、現在の金利から一気に8%まで金利が上昇してしまったら対応できる不動産投資家は少ないのではないでしょうか。
さすがにそこまで想定していてはビジネスにならないからです。
変動金利が怖いなら固定金利にするのが一番ですが、不動産投資に関しては固定金利を扱っていない銀行もありますので対処が難しい問題です。
ではどうすればいいのかというと下記のような形で金利上昇リスクを回避しているケースが多いといえます。
- 固定金利を採用できる場合は採用する
- 金利が2%上昇しても返済ができることを確認する
一部の銀行では、固定金利を採用できるので、物件の耐用年数と売却時期の出口戦略をにらみながら、固定5年もしくは固定10年などを選択することができます。
また、2%の金利上昇が起きたとして物件の返済比率(満室収入に対する返済額)が何%になるかをシミュレーションし50%以下に収まっていればある程度は金利上昇に対して余力を持って運営できていると考えられます。
このように、金利上昇リスクも織り込んでおけばそれほど恐れる必要はないといえます。
もし金利上昇が起きれば不動産価格も上昇トレンドとなりやすいので、出口戦略を練り直して売り抜けるという戦略も選択肢に入ってくることになります。
リスクにあまり過敏になりすぎるとスタートできなくなりますので、ある程度のリスクを織り込んだら勇気をもってトライするマインドも重要となります。
リスク⑤:問題入居者が入るリスク
入居者がどんな人が入るか分からないので怖いという人がいます。
しかし、入居者に関していえばリスクになるケースは少ないと考えられます。
問題になってくるのは、反社会組織の入居者です。
- 物件購入時には売買契約書の中で反社会勢力ではないことを盛り込む
- 現地へ行った際にはベランダや玄関に鉄柵やカメラなどがあったりとおかしい部分がないか
を確認します。
近隣の不動産屋に聞けばたいがいわかります。
反社会組織の人がいる収益物件は絶対に購入するのはやめましょう。
そして、賃貸契約時にも反社会組織ではないことを賃貸契約書に盛り込むことと、保証会社の審査を入れておけば、ほぼ防げると考えられます。
最近は、暴排条例ができてからは、もし嘘をついて入居していたとしても、警察が積極的に対応してくれるようになっているので、昔ほど恐れることはなくなってきています。
反社会組織の人以外であれば、入居者がきちんと家賃を払う人で、近隣とトラブルを起こさないであろう人であれば、基本的にはどんな人でも問題はないと考えます。
- 生活保護の人は役所から生活保護費がきちんと出るので安定して入居してもらえる
- 外国籍の人は今後もっと増えていくゾーンでありこの方々を取り込まないと賃貸契約は立ち行かなくなる
などのように、オーナーも今までとは若干のパラダイムシフトが必要になってくる時代に入っています。
もちろん、高級な仕様で、入居者確保に困らない状況であれば、入居者の属性を選別してもいいのですが、築年数の経過した物件で、それなりの低価格帯の家賃設定であれば、基本は保証会社の審査が通ればという条件付きで、どなたにも入居してもらわないと空室が埋まらないからです。
リスク⑥:建物老朽化のリスク
建物リスクは、基本的には現地調査をすることで回避できるものが大半だといえます。
- 基礎の部分にクラックの亀裂が大きく入っていないか
- 外壁に大きなひび割れが起こっていないか、タイルが剥がれていないか
- 水漏れした跡がないか
- 配管の錆びが出ていないか
などです。
建物リスクアは、ほとんどが事前に防ぐことができるリスクといえます。
現地での目視チェックと入居していない部屋の中に入ってのチェックは最低限行いたいところです。
あとは空室の理由を賃貸募集店にも確認を入れてみます。
これで建物の問題についてはある程度確認できます。
購入する時点でわかりにくいのが上下水道管です。
錆びぐらいであれば蛇口をひねればわかりますが、穴が開く可能性があったり、配管のジョイント部分が外れて大規模な漏水の可能性があるかなどは、すべてはわからないのが実情です。
ただし、このような上下水道の配管リスクに対しては、火災保険の水漏れに入っていれば、損害が発生してもある程度軽減できるリスクだといえます。
つまり建物リスクについては、他の外部要因と違って自分自身のチェックと、心配であれば外部専門家を入れることでリスクを把握できるので、コントロールできるリスクだといえます。
おわりに
- 不動産投資も他のビジネスと同様にリスクはつきものだと考える。
- 不動産投資のリスクに対してどう対応するのかを事前に決めておき、リスクをコントロールする考えを持つ。
- リスクの内容を見ていくと不動産投資のリスクに対してはコントロールが全くできないものは非常に少ないことがわかる。