不動産投資のローン戦略において収益物件購入時の金融機関からの借入条件は何をどのように考えて取り組めば一番よいのでしょうか?
不動産投資ローンの借り入れを行う際にどうしても『金利』ばかりに目が行きがちですが、ゼロコンマ数%の金利の高い低いよりも、不動産投資ローンの『借入期間』と『借入割合』を総合的に見て判断する方が合理的です。
不動産投資を全額自己資金の現金で行う場合を除いて金融機関からの借り入れで収益物件を購入することになります。
もし仮に現金がたくさんあったとしても借り入れができるのであればできるだけ現金を残して多く借り入れをして不動産投資を行おうとする人がほとんどです。
ただいくら借り入れを行うとしても、どんな借り入れ条件でも良いというわけではありません。
不動産投資での収益物件の運用における資金調達は、できるだけ低金利で借入期間を長く、そしてできるだけ自己資金を使わないで借り入れを行うことが基本です。
会社経営者であれば日頃から金融機関からの借り入れを行っているケースが多いので、そんなことは言われるまでもなくよく分かると思いますが、基本的には会社がつぶれないためにはどうするかという資金繰りの観点が不動産投資においても判断基準となります。
不動産投資での収益物件の購入も、見方を変えればひとつの事業と捉えられますので、サラリーマンや公務員などの個人投資家でも会社経営者と同じ観点で不動産投資のローン戦略を考えることが必要です。
不動産投資で借り入れたローンが払えなければ破綻してつぶれてしまいます。
つぶれないためにはどうするかという資金繰りの観点から考えると、金融機関からの資金の借り方も明確になると思います。
この記事では、不動産投資ローンの借り入れ判断基準で『金利』以上に重要になるのが『借入期間』と『借入割合』である理由をご紹介します。
不動産投資ローンの借り入れ判断基準で『金利』以上に重要になるのが『借入期間』と『借入割合』である理由
不動産投資ローンにおける金融機関からの借り入れ条件の判断基準は、
- 低金利
- 長期
- 融資割合を高く
の3点がベースになります。
借り入れ金利を低くすることは利益に直結しますし、借り入れ金利が3%よりは1%のほうがいいのは当然です。
しかし、借入期間を長くすることと借入割合を高めることは金利を低くすることと同等かそれ以上に重要なのです。
不動産投資ローンの借り入れ条件で『借入期間』を長くすると有利に働く理由
不動産投資ローンの借入期間を長くするのは安定したキャッシュフローを得るためです。
不動産投資ローンの借入期間が短いと不動産投資のキャッシュフローは厳しくなります。
それは、毎月支払う元金と金利の合計である返済額が金利が高くなるにつれて高くなるからです。
場合によっては損益計算書上の利益が出ているのに不動産投資のキャッシュフローが回らず黒字倒産という事態にもなりかねません。
実際にリーマンショック後に倒産した上場不動産会社は、キャッシュフローのマイナスに耐え切れず資金ショートを起こしたものが多かったはずです。
借入期間を長く取るということは経営上非常に重要であり、収益物件の利回りもよりますができれば20年以上、最低でも15年は借入期間を確保するべきです。
不動産投資ローンの借り入れ条件で『融資割合』を高めると有利に働く理由
不動産投資ローンの融資割合を高める理由も事業がつぶれないためにはという観点で考えればよくわかると思います。
会社は赤字でもつぶれませんが現金がなくなったときにはつぶれます。
できるだけ手元流動性のある現金を確保することが安定経営につながるのです。
この現金は借りたものでも自己資金でも関係ありません。
現金は現金だからです。
この観点から自己資金はできるだけ手元流動性のある現金として確保しておき、収益物件購入の資金は借入で賄うことで安定性が高まります。
できれば物件価格の全額のフルローンを借り入れることが理想ですが、最低でも8割は不動産投資ローンの借り入れで賄うべきだといえます。
逆にそうでなければその収益物件は取得するべきではないという判断になります。
おわりに
不動産投資ローンでの資金調達においては、できるだけ低金利で借入期間を長く、そしてできるだけ自己資金を使わないで借り入れを行うことが不動産投資の高収益化に有利に働きます。
不動産投資ローンの借り入れを行う際にどうしても金利が少しでも低いことに目が行きがちですが金利とあわせて、
- 借入期間を長期で取れるか
⇒月々の家賃収入から借入金返済額と経費を差し引いたキャッシュフローをできるだけ多くするため - 借入割合を高くできるか
⇒物件購入時に自己資金をできるだけ減らさないため
を念頭に置いていかにキャッシュフローを回して不動産投資という事業がつぶれないようにするかという観点から金融機関との借入条件の交渉を行うことが重要になるのです。