不動産投資で収益物件の減価償却はいつかは終わりを迎えてしまいますがそこからさらに節税ができることをご存じでしょうか?
不動産投資の節税対策としての収益物件の運用における出口戦略でもうひとつ重要なのはさらに税金を先送りにしていくという選択肢です。
所有している物件の減価償却が終わった時点で本業が赤字にならないという状況であれば、追加で収益物件を取得することでさらに数年間の利益を先送りすることができます。
木造物件であれば物件取得から4年経過後つまり減価償却が終わった段階で同じように短期で償却できる物件を再び購入するという方法です。
この記事では、不動産投資で既存物件の減価償却が終わった段階で追加で収益物件を取得してさらに税金を先送りする節税手法をご紹介します。
不動産投資で既存物件の減価償却が終わった段階で追加で収益物件を購入してさらに税金を先送りする節税手法
不動産投資の出口戦略で収益物件の追加取得を行うタイミングでは、1棟目の収益物件が利益を生んでいる状態なので、追加で取得した収益物件に要した費用はその利益と相殺されるため、赤字幅は1棟目購入時ほど大きくはなりません。
しかし、
- 利益を出さない
- できる限り利益を抑える
ということが可能になります。
収益物件の追加取得による節税のシミュレーション事例
下記事例でのシミュレーション表で見ていきます。
【1棟目購入】
中古木造アパート
築23年
建物価格5000万円
【シミュレーション表】(単位万円)
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 6年目 | 7年目 | 8年目 | |
賃料収入 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 |
諸経費 | ▲200 | ▲200 | ▲200 | ▲200 | ▲200 | ▲200 | ▲200 | ▲200 |
借入金利 | ▲200 | ▲200 | ▲200 | ▲200 | ▲200 | ▲200 | ▲200 | ▲200 |
減価償却費 | ▲1250 | ▲1250 | ▲1250 | ▲1250 | 0 | 0 | 0 | 0 |
損益 | ▲650 | ▲650 | ▲650 | ▲650 | 600 | 600 | 600 | 600 |
【4年目に2棟目購入】 |
賃料収入 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | |||
諸経費 | ▲200 | ▲200 | ▲200 | ▲200 | ||||
借入金利 | ▲200 | ▲200 | ▲200 | ▲200 | ||||
減価償却費 | ▲1250 | ▲1250 | ▲1250 | ▲1250 | ||||
損益 | ▲650 | ▲650 | ▲650 | ▲650 | ||||
通算損益 | ▲650 | ▲650 | ▲650 | ▲650 | ▲50 | ▲50 | ▲50 | ▲50 |
1棟目の減価償却が終わる5年目以降、そのままだと利益が600万円出てくることになります。
このタイミングで同じ規模の収益物件を取得することで、シミュレーション表の通り、利益が50万円の赤字にまで大幅に圧縮されます。
これが追加の物件取得による利益の先送りです。
1棟目よりももう少し規模の大きな物件を取得すれば、この利益をさらに減らすことも可能です。
そしてさらに9年目で3棟目取得ということももちろん可能です。
このように、収益物件の追加取得でどんどんと利益を先送りしていき、いずれ本業の赤字が出るなどのしかるべきタイミングで売却を図ることが可能だということです。
売却のタイミングを自分自身で決められる不動産のメリットを最大限享受することで、最大限の節税と利益の最大化を図ることができるのです。
おわりに
上記からもわかるように、収益物件は1棟取得したらそれで終わりというものではないということです。
自分自身のタイミングで自由に売ったり買ったりして、一連の運用の中で戦略的に使いこなしていくツールなのです。
ただし、業として不動産の売買を行う場合は、宅地建物取引業としての免許が必要となるので注意が必要です。
個人であっても法人であっても業としての無免許取引は厳しく規制されているからです。