物件購入

レントロールで収益物件を見誤らないためのプロ仕様チェックマニュアル

レントロールを見るときに絶対に失敗しないマル秘チェックマニュアル

レントロール上に並んだ数字だけを見て、良い収益物件だと思うのは早計すぎます。

収益物件の取得後もそのレントロール通りに収益を維持できるのかどうかが肝心です。

収益物件のレントロールは利回り計算のベースとなり、不動産投資の収益の根幹をなす賃料収入の書類なので超重要書類といえます。

この記事では収益物件のレントロールを見るときの重要チェックポイントをご紹介します。


Contents

収益物件のレントロールを見るときの7つの重要確認ポイント

確認ポイント①:物件内での家賃のばらつきの確認

同じ間取りで同じ階で家賃のばらつきが少ないのが一番良いバランスです。

家賃にばらつきがある場合は、

  • 高い家賃で入居している人
  • 安い家賃で入居している人

が混在していることになります。

賃貸市況で現在では安いほうの家賃でしか入居者付けができないのかどうかなどの確認が必要です。

  • ワンルームの場合・・・入居者の回転が速いので比較的家賃のばらつきは小さい傾向にあります。
  • ファミリーの場合・・・新築当時からの入居者の場合、現在の募集家賃の1.5倍近い家賃で入っている場合があります。

家賃にばらつきがある場合は、基本的には現況募集家賃に引き直して利回りを算出する必要が出てきます。

 

確認ポイント②:近隣物件の募集家賃の確認

ホームズやアットホームなどのWEBサイトで同じ条件(構造・築年数・距離等)にて検索して、購入検討物件と同じ条件の部屋と近隣の部屋について家賃を確認します。

インターネットでは、値下げをして家賃勝負で入居者をつけようとしているオーナーもいるため、一番低い家賃を見ると購入検討物件の家賃が低く出過ぎることがあります。

そのため、一番低い家賃だけでなく、購入検討物件の家賃より高い募集家賃がないか確認します。

低い家賃帯が多ければ、需要と供給のバランスがとれておらず供給過多の状態なので、遅かれ早かれ家賃が下落することを把握できます。

その場合は、現況のレントロールの家賃を下落後の家賃で引き直す必要があります。

 

確認ポイント③:敷金・礼金・保証金の金額と返還義務の有無の確認

購入検討物件の敷金・礼金・保証金の金額はもちろん、その返還義務の有無を確認します。

最近では敷金0・礼金0のような物件が増えてきているので、敷金が取れていればある程度そのエリアでは強い物件です。

反対に、近隣の類似物件が敷金が取れていて、購入検討物件が敷金が取れていない場合、そのエリアでは入居者付けの競争力が低い物件である可能性があります。

そして、近隣物件も購入検討物件も敷金0・礼金0になっている場合は、そのエリアでは賃貸の供給過剰状態であることを示しています。

今後は国交省のガイドラインからも敷金は返還する方向性のため、敷金が取れたからといって収支に有利なわけではありません。

しかし、敷金が取れるエリア、敷金が取れる物件かどうかは、購入検討物件を計るひとつの指標となり得ます。

 

確認ポイント④:大阪方式の敷金・保証金の取り扱いについて

物件売買時には、所有権移転に伴い敷金や保証金は次のオーナーに引き継がれます。

注意が必要なのが、俗に言う『大阪方式』という慣習です。

『大阪方式』では、敷金や保証金の返還義務だけを継承し、そのお金は引き継がれないという条項入りでの契約が普通となっていて、これを大阪方式の『持ち回り』と言います。

要は返還債務も含めて全部込み込みで売買代金に含まれているという考え方です。

大阪でずっと取引しているとこれが普通なのですが、東京で取り引きしていた人が知ると摩訶不思議に思われるようです。

しかも『持ち回り』という言い方がまた誤解を生みやすいのも事実です。

東京の人からしたら『持ち回り』なのだから、敷金などの返還金も承継されると思ってしまい、契約時にトラブルとなることもあります。

大阪方式の『持ち回り』では、所有権移転に伴い、保証金のお金は引き継がれないのに保証金の返還義務だけは負うことになります。

保証金の金額が大きい場合には、敷金が引き継がれないことを決済時に知って資金が足らなくなったり慌てる場合がありますので気を付けなければいけません。

 

確認ポイント⑤:店舗・テナント賃貸分について

稼働中の店舗と空室の店舗についての家賃をどのように想定するかは判断が難しいものです。

稼働中の店舗での難しさは、現在のテナントが古くに契約して、高めの賃料を払い続けている可能性がありますが、住居と違って比較がしにくく、現況賃料が妥当のかがなかなか分かりにくいのです。

空室の店舗は、決まる賃料の相場がインターネット等では把握しにくく、店舗はひとつずつに特徴があるので賃料の相場は見極めにくいからです。

また、エリアによってはまったく店舗の需要がない場合もなきにしもあらずです。

店舗の適正賃料はレントロールとインターネットだけでは判断がつかないので、テナント賃貸専門の不動産業者に確認するのが一番確実で手っ取り早い方法です。

ただ、時間がない場合は、インターネットで近い店舗の募集条件の一番低い金額で見積もってもいいかもしれません。

 

確認ポイント⑥:同一法人の一棟借り

法人は比較的高めの家賃で借りているケースがあるので、退去後の再募集時にはほとんどの場合家賃が下がります。

全部屋を一括借りしている場合、一括解除されると致命的なダメージを受ける場合もあります。

収入が入らなくなるだけでなく、再募集するためのリフォーム費用がいっぺんにかかってきて、キャッシュアウトが増えて資金ショートを起こす恐れも出てきます。

同一法人の一棟借りは、できるだけ一棟すべては避けて、一棟の20%以内程度にとどめておいたほうがバランスがよくなります。

また、売却するオーナーの中には、法人の一括借りが解除されるタイミングで売却するケースもあり注意が必要です。

物件購入後すぐに法人が退去する場合は慎重な検討を要します。

法人の一括借りの家賃はよく確認し、一斉退去してもすぐに決まるエリアなのかどうかはよく調査することが必要です。

 

確認ポイント⑦:レントロールから漏れている収入

レントロールから漏れている項目で多いのが、自動販売機収入携帯基地局の収入です。漏れているのがわかっても利回りが上がる方向ですのでよしとせずに、見落としがないかきちんと確認しましょう。

敷地外駐車場を物件の近隣の駐車場を借り上げているのに支出の項目に入っておらず、敷地外駐車場の賃料だけ収入としてレントロールに記載があることもあるので除外します。

 

入居率の低い収益物件の購入を検討するときのレントロールの読み方

中古の収益物件の購入を検討するときに、現状で入居率の低い物件は購入しないほうがよいのでしょうか?

レントロールの表面的な数字だけをを漠然と見るのではなく、ポイントを絞ってレントロールを読むことが必要です。

具体的には、

  • 賃料水準の妥当性の確認
  • 入退去履歴のチェック
  • 入居率が低い原因追究

3点チェックを行うとよいでしょう。

 

読み方①:現状の賃料を現在賃料に引き直す

収益物件の運用による不動産投資における収益とは賃料収入です。

賃料収入は毎月安定しているかわりに、営業努力で売上を大きく伸ばすこともできないため、いくらの家賃で入居者が入っているか、そして今後も入るかということが非常に重要になってきます。

収益物件の資料には必ず既存入居者の入居条件の一覧表が付いています。

この表をレントロールといいますが、収益物件の購入を検討する際には、このレントロールの妥当性を確認する必要があります。

 

入居期間と賃料の関係をチェック

入居者の入居期間と賃料の関係をチェックします。長期間入居している入居者の賃料は、現在の賃料相場に比べて高くなっているはずです。

たとえば、10年前に賃料10万円で入居した人が退去になった場合、10年間で賃料相場が7万円まで下がっていると、次の入居者募集時には3万円もの賃料下落を考慮する必要が出てきます。

つまり、現在の賃料水準に引き直して検討する必要があるということです。

賃料収入の下落はすなわち物件価格の下落を意味します。

20%賃料が下がるということは、キャップレート(期待利回り)が同じなら20%物件価格が下がるということを意味します。

そのため、賃料が下がることに対しては、慎重に考慮しなければいけません。

また、法人契約で複数戸を長期間借り上げされているような物件も、借り上げが続く限りは優良物件ですが、一斉解約や家賃の引き下げを要求された場合などは、収益に対するダメージが大きくなります。それだけで物件価格も大きく変わってしまうことになります。

 

読み方②:入退去履歴に変なのがないか確認する

物件購入前に入退去の履歴も必ず確認する必要があります。

直近数カ月の入居が不自然に多い場合は、入居率の偽装が行われているかもしれないと疑ってかかる必要が残念ながらあります。

収益物件を高値で売却するために、知り合いなどに高めの家賃で入居させて賃料収入を意図的に上げて、満室物件として高値で売り抜けるという手法もないこともないからです。

当然、このケースで利回りを偽装するためだけに入居していた人たちは、物件が売れてしまえば一斉に退去していきます。

その物件を購入した人は、空室が急に増えてキャッシュフローが厳しくなるだけではなく、賃料収入が下がってしまうので、初期段階でせっかく購入した収益物件価格が大きく下がってしまうということになってしまいます。

 

悪質な入居率偽装事例

購入した物件の売主が意図的に知り合いを高めの家賃で入居させていて、購入後ほどなく約半数の部屋で退去が発生して困ってしまったというケースがあります。

空室を埋めることはできますが、もともとの賃料から20%以上下げなければならず、物件の価格が購入直後にもかかわらず大幅に下落してしまいました。

購入を検討している収益物件の利回りが高い場合、

  • 家賃が相場より高いから利回りが良い
  • 物件価格が安いから利回りが良い

のどちらかを判別して、前者の場合は、賃貸借契約書を全て確認して、ある程度の期間をさかのぼって入退去履歴を確認し、不自然な契約があれば購入を見送ることも必要となります。

 

地元の賃貸仲介会社へのヒアリング

レントロールの妥当性や近隣の家賃相場を確認するには、地元の賃貸仲介会社に直接ヒアリングすることが確実です。

地元の賃貸仲介会社や管理会社は、

  • 地元の物件の家賃相場
  • 入居者層の傾向
  • 入居づけのしやすさ

などの情報をしっかりつかんでいます。

特に過去にその物件に直接客付けをした経験のある賃貸仲介会社の担当者から話を聞くことができればベストだといえます。

そして、地元の賃貸仲介会社や管理会社は、その物件を購入後は長いお付き合いになる可能性もあります。

ヒアリングは電話だけで済ませるのではなく、直接訪問してみてどんな不動産会社なのかも確認しておくとよいでしょう。

 

読み方③:入居率が低い原因の追求

収益物件の取得時において、入居率にも注意を払うべきです。

現在の入居率が低いのであれば、その原因を追究して知っておく必要があります。

たとえば、現在の売主が資金的な面で原状回復をする余裕がなく、新規の募集ができていないというのが原因であれば、物件取得後のリフォーム工事をきちんと行うことで改善の余地は十分にあります。

しかし問題になってくるのは、

  • そもそも不人気な立地でその一帯の入居率が低い
  • 迷惑入居者がいて他の入居者が退去してしまう
  • 物件で殺人事件や自殺が起きて告知事項がある

などの事情が原因の場合は、簡単には入居率を改善できない可能性が高いです。

また、現在の管理会社の能力不足のために入居率が下がっているようなら、管理会社を変更することで解決します。

つまり、入居率を見る上で大切なのは、物件取得後に入居率を改善できるのかどうかという点で、そこが判断の分かれ目になります。

その判断のために入居率が低い原因を追究して特定する必要があるのです。

 

既存入居者の入居条件をレントロールできちんと確認すべき理由

既存入居者の相場より高い賃料に注意する

下記の表を御覧ください。

部屋番号 現状の賃料 相場の賃料
101 75,000 75,000
102 100,000 75,000
201 110,000 75,000
202 95,000 75,000
月額合計 380,000 300,000
年額合計 4,560,000 3,600,000

4部屋の収益物件ですが、過去から入居している部屋の賃料が、現在の相場賃料に比べて高くなっているのが分かります。

101号室が直近に入居したと思われ、7万5000円が現在の賃料相場だと思われます。

そのため、101号室以外の部屋が退去してしまえば、新たな入居者の賃料はすべて7万5000円になってしまい、賃料収入が大きく減ってしまうことになります。

 

賃料が下がると物件価格も下がる

4部屋の賃料収入の合計では、現在月額38万円のところが、30万円にまで8万円下がってしまうことがわかります。

月額賃料が下がれば年額賃料も当然下がり、年額456万円だった賃料収入が360万円にまで年間100万円も下がってしまうことになります。

そして収益物件の物件価格は収益還元により年額賃料収入をベースに計算されますので、期待利回り(キャップレート)10%だとすると、4560万円の物件価格が3600 万円にまで1000万円も下落してしまうのです。

賃料収入が年額100万円減り、たまらず売却しようとしても売却価格が1000万円も減ってしまうのです。

この損失は計り知れません。

しかもこれが空室が多くて賃料収入が下がっているならまだ手立てはあるのです。

問題は、満室であるのにもかかわらず、賃料収入が下がり物件価格も下がっているということです。

こうなるとオーナーサイドでできることは何もありません。

物件を選ぶときにはレントロールで、

  • 部屋ごとの契約賃料
  • 部屋ごとの共益費
  • 部屋ごとの敷金の金額
  • 部屋ごとの契約年月日

などの賃貸条件をよく吟味することが大切です。

そして現在の賃料相場と比較して大きく乖離して高い賃料などで入居者が入っている物件は、現在の相場に引き直して物件価格を見ていく必要があります。

なぜなら、相場より高い賃料で入居してくれている人が退去してしまえば、家賃設定を下げなければ次の入居者の獲得が困難になるからです。

そうなると賃料収入が減り、ひいては収益還元からの物件価格の下落を招き、大きく含み損を抱えてしまうことになってしまいます。

 

物件概要書は所在地・価格・利回り・築年・構造の5項目を見る

なぜこの5項目から見るのかというと、物件情報の8割はこの5つの項目に集約されるからです。

5つの項目を確認し、検討できる物件だと判断した場合は、資料をさらに読み進めることになりますが、確認すべきポイントはどちらかというとマイナス要因となるネガティブな内容がないのかのチェックになります。

5項目を確認した後にするべき確認は、この5項目が額面通りになっているかどうかだからです。

例えば、利回りが12%あり、RC造で築20年の物件であれば、耐用年数の47年までまだ十分な期間があります。2%台の金利で融資を受ければ、キャッシュフローは十分出るだろうという予測が立てられます。

このまま検討を進めるのであれば、次にやるべきことは、収入額と支出額が適正かどうかの確認作業になります。

 

収入額が適正かどうかの確認

収入額の確認は、家賃と共益費に加えて部屋の光熱費、水道代などが含まれていないかをチェックします。

廊下や屋外などの共用部分以外の居室の水道・光熱費は、通常は入居者が支払っていますが、一部の物件では大家が家賃に含めて徴収して一括して支払っていることがあります。

入居者の光熱費が家賃に含まれていると、含まれていない物件よりも、水道・光熱費の支出額が増えることになりますので、利回りがその分だけ低くなります。

物件概要書と一緒にレントロールも資料としてついてくることが多いです。

レントロールとはどの部屋にいくらの家賃・共益費で入居しているのかの情報の一覧表です。

レントロールは収益性の裏付けとなる重要な資料ですので、

  • 家賃のバラつきが大きくないか
  • 不自然に高い家賃の部屋や安い家賃の部屋がないか
  • 空室の想定家賃は妥当か

などをしっかり確認します。

 

支出額が適正かどうかの確認

次に支出額が適正かどうかの確認を行います。

通常の居住用物件の場合、支出項目は次のとおりとなります。

  • 廊下など建物共用部分の光熱費
  • 清掃費用
  • エレベーターメンテナンス費用
  • 管理会社費用
  • 賃貸募集費用(広告費・仲介手数料)
  • リフォーム費用
  • 固定資産税・都市計画税

これらの項目は物件によってかかる金額が違いますが、物件概要書には載っていないケースも多くあります。

その場合は、物件概要書を見た段階では満室想定家賃の20%程度を返済以外の支出総額として仮置きして計算するなどの対策が必要です。

 

物件概要書・レントロールに書かれていない支出をチェックする

気をつけるべきなのは、多額の出費を伴う支出項目がある場合です。

具体的には、

  • 大家が敷地外に外部駐車場を借りて入居者に貸している(数万円/月)
  • 大家負担でケーブルテレビに加入している(数千円~数万円/月)
  • 大家負担で無料インターネットを提供している(数万円/月)
  • 受水槽(貯水槽)があり清掃費用がかかる(10数万円/年)

などです。

この中でも特に影響が大きいのは、外部駐車場です。

十分な数の駐車場が物件の敷地内に無い場合、近くの土地を大家が一括で借り上げて入居者に貸していることがよくあります。

この費用は立地や駐車場台数によって大きく変わります。

外部に数十台分の駐車場を借りていて、月に10万円以上の費用が掛かっていることもあり、この場合、収支計算に大きな影響を及ぼします。

エリアによってはケーブルテレビに加入しないと地上波のテレビが見られないこともあり、解約することが実質的に困難な場合もあります。

無料インターネットも同様で、一度設備として入れてしまったものをなくすと、入居者の不満が高まることになります。

このあたりの項目は、物件概要書やレントロールには載っていないこともあるので、買付申込を入れる前に、必ず支出の一覧を不動産会社経由で入手して確認する必要があります。

物件概要書とレントロールの中で確認すべき内容は、

  • 物件の収入
  • 物件の支出

が記載されている通りなのかという点に集約されるということです。

物件概要書とレントロールの数字をそのまますべて真に受けてはいけません。

支出面は、不動産会社経由で売主に確認することで正確な数字が分かります。

収入面は、自分で賃貸不動産会社にヒアリングして、空室の想定家賃がレントロール通りなのかを確認する必要があります。

支出面と収入面の確認を漏らさずに行うことで、物件を買う前にほぼ正確に物件購入後の収益予測を立てることが可能となります。

 

収益物件のレントロールを机上で素早く精査する簡単3ステップ

ステップ①収入が正しいかを確認

レントロールはそもそも間違っている可能性がある

よくあることなのですが、不動産会社に悪気はなくてもレントロールが間違っていることがあります。

家賃自体が間違っていることもあれば、家賃の合計の計算が間違っているなどはよくあります。

そのため、レントロールをざっと見ておかしな家賃がないかどうか、家賃の合計値をざっと暗算して確かめる習慣をつけるといいです。

間違いも少しの間違いなら気づきにくいのですが、ゼロがひとつ多かったり少なかったりなど大幅に違うものはパッと見たら分かるので、発見したら情報元にすぐに確認するようにします。

 

レントロールには記載されていない収入があるケース

レントロールから漏れている収入で代表的なのが、

  • 自販機収入
  • アンテナ収入
  • コインランドリー

だと言われています。

これらを含めてレントロールを見直す必要があります。

 

水道代を収入に含めている場合がある

入居者の水道代を固定にしている場合があります。

各部屋2,000円などです。

そのため、水道代は収入であるのはいいのですが、オーナーも全体の水道代を支払う必要がありますので、すべてを収入にするとおかしなことになります。

水道代については、収入に記載されていても収入から外すか、最大でも50%分までを収入とするほうが妥当です。

不動産会社などで水道代の支出が分かる場合は教えてもらいます。

その場合は、水道代受領分から支出分を引いた金額を収入とすればよくなります。

 

ステップ②家賃が適正かを分析する

現状家賃に引き直す

10年以上前や新築時など昔から入居している人はたいてい家賃が高いままになっています。

現在の相場の家賃と2万、3万違う場合もあります。

物件の現状の実力を見る上では、現在の家賃に引き直すことが必要です。

この作業を怠ると、物件取得後に入居者の退去ごとに家賃が下がり、利回りが低下していくことになってしまいます。

確認の方法は、Homes、Suumo、atHomeなどの大手ポータルサイトで、物件と同じ条件を入れて検索をかければ、ある程度の確認ができます。

また、満室想定として、仮に入っている家賃も同様に確認が必要です。

 

同じ法人の複数入居の割合を確認

法人が一括借りしているケースは、そもそも融資が難しいのでそこで気が付きます。

法人が一部の部屋を借りているケースでは、どのくらいの割合だと危険かというと、概ね30%以上を同じ法人が一括借りしている物件は気を付けておいたほうがいいといえます。

このような物件は初心者は避けておいたほうが無難です。

なぜかというと、シングルとファミリーで若干違いますが毎年20%程度が普通に入れ替わっていくと想定します。

その入れ替えに法人一括借りの入居者が一斉に出ていくと、合計50%が入れ替わり、空室募集の対象となってしまいます。

そうすると募集が大変になり、原状回復リフォームも重なって、返済に困るケースが出てくるからです。

返済比率50%を想定していると、50%の空室では返済がやっとで、その他の経費は持ち出しになってしまいます。

この水準までくると危険水域だといえます。

目安としては、同じ法人の複数入居は15%程度の部屋数にしておいたほうが無難です。

 

同じ契約年月の入居者を確認

学生物件の場合は同じ契約年の入居者は、同じ年度に一斉に退去することになります。

そのため、同じ契約年が40%あると、その年に40%以上の入れ替わりの可能性があるということになります。

25%ずつが望ましいですが、そのような配分には基本的にはならないので、40%程度までは許容せざるを得ないのが実情です。

通常の社会人、学生が混在する物件で、同じ契約年が多い場合は、何かの条件をつけて一気に埋めた形跡となります。

そのように、無理に埋めているケースは入居から退去までのサイクルが短くなりがちなので気を付けたほうがいいといえます。

 

ステップ③融資が受けられる物件かどうか

店舗・事務所の比率が30%未満であること

店舗・事務所比率が30%以上になると、個人向けのアパートローンの融資は難しくなります。

大規模オーナーなどで実績があるなどの条件がないと、店舗・事務所比率の高い物件は融資を引くのが厳しくなります。

同様に、ゲストハウスやシェアハウスなどの場合も寄宿舎扱いとなり、銀行で融資を引くのが大変難しくなるので事前に確認が必要です。

たまに、小規模な上記物件で自分が住むとして住宅ローンで購入してから貸し出しているつわものもいますが、融資の規約違反となるのでやめておいたほうがいいです。

 

不動産賃貸仲介業者へのレントロールの家賃相場ヒアリング5項目

ポイント①:家賃相場

  • いくらの家賃であれば貴社で埋められるか
  • 家賃がいくらまでなら決められるか
  • あると決まりやすい設備

などを聞きます。

場所と間取りを見れば、経験のある賃貸営業マンであれば、この家賃では今は埋まらないなどの情報を教えてくれます。

よくあるのは賃貸仲介営業マンは決めやすい家賃(下限)を教えてくれるので、逆にいくらまでなら決められるか(上限)を聞いておくとよいです。

 

ポイント②:近隣の入居率

同じ間取りでの近隣物件の入居率を確認します。

賃貸仲介会社の営業マンは、将来のオーナーのために気前のいい話をすることが多いですが、近隣のマンションや木造アパートなどの入居状況も聞いておきます。

『マンションは8割がた埋まっているが、木造アパートだと10部屋中4部屋程度空いている』

などという話も出てくるかもしれません。

近隣の様々な物件の入居率を確認するのは、市場で空室が増えてくると募集家賃がどんどん下がり、市場全体に波及してくるからです。

そのような場合は、賃貸募集において競合物件が多く、満室になるまで時間がかかることが予測されます。

 

ポイント③:広告費の相場

広告費の相場を確認します。

広告費は、

  • 通常の場合
  • 大至急埋めたい上乗せの場合

の両方を聞いておきます。

通常で1~2ヵ月が多いですが、2ヵ月が通常であれば、かなり供給過剰なエリアになりつつあると予測できます。

もし、広告費3ヵ月以上で通常ですというエリアであれば、かなり苦戦することを予測しなくてはなりません。

 

ポイント④:物件について知っていることがあれば

物件自体について知っていて、良い点と改善点などがあれば教えてもらいます。

物件の名前を言ってはいけない場合を除いて、物件の名前を伝えれば、大抵は不動産会社に登録されていますので知っていると思います。

  • エントランスが汚なすぎて案内しにくい
  • 空き情報が回ってこないので案内にいけない

などいろいろな情報を収集できます。

物件購入後にどこをどう改善すればより入居者を埋められるかのあたりをつけることができます。

改善点は、

  • 例えばエアコンをサービスしたら埋まった
  • フリーレントを1ヵ月つけたら埋まった
  • ウォシュレットをつけたら埋まった

など、近隣物件での具体的な情報をもらえる可能性もありますので聞くだけ聞いてみましょう。

 

ポイント⑤:3点ユニットとセパレートで違いはあるか

購入検討物件が1Kの場合は、3点ユニットとセパレートの家賃相場も聞いておきましょう。

3点ユニットはセパレートに比べて入居者が埋まりにくいですが、その分家賃が低ければ埋まるエリアもたくさんあります。

セパレートにした場合にいくらで埋まるかについては、セパレートにしても家賃があまり上がらず、入居者が埋まりにくいというような話が出れば、将来的には賃貸付けの苦戦が想定されるでしょう。

そして、セパレートの物件だとしても、近隣に3点ユニットが多くあり、その家賃が低すぎる場合は、将来的には3点ユニットの低い家賃に引きずられて下がっていく可能性もあります。

世の中の家賃を払っている層も二極化してきており、賃貸市場では低所得者層もどんどん増えています。

そのために、低価格家賃の物件は供給過剰でないエリアであれば3点ユニットも十分賃貸付けできるのでよくリサーチしたほうがいいです。

 

レントロールで家賃引き直しと空室損を考慮せずに失敗した事例集

レントロールの数値で投資分析

資金計画

物件は、

  • 築4年
  • RC造
  • 総戸数8戸
  • 表面利回り9.24%

購入資金計画は下記のとおりです。

購入総額
物件価格 ¥71,500,000
諸費用(概算)   ¥7,000,000
合計 ¥78,500,000
内訳
自己資金 ¥14,200,000
ローン ¥64,300,000

 

収支・投資分析

事業計画書の数値をもとにした収支・投資分析は下記のとおりで、申し分ない分析結果となっています。

満室想定賃料(月額)
現況賃料 ¥551,000
   
収入合計 ¥551,000
支出の部(月額)
共用部BM費 ¥30,000
共用部光熱費 ¥15,000
固定資産税・都市計画税 ¥41,667
賃貸管理料 ¥40,499
予備経費 ¥0
支出合計 ¥127,165
収支(年額)
GPI ¥6,612,000
▲OPEX ¥1,525,982
NOI ¥5,086,018
▲ADS ¥3,909,584
 CF ¥1,176,434
投資分析
LTV 81.91%
CCR 8.28%
FCR 6.48%
表面利回り 9.25%
K% 6.08%
レバレッジ ポジティブ
BE% 82.21%
最低稼働戸数 6.58戸
DCR 1.30
PB 12.07年
  • 調達コストK%6.08%<総収益率FCR6.48%<自己資本収益率CCR8.28%となり、レバレッジがきちんと効いている形となっています。
  • レバレッジを効かせながらも、DCR(負債支払安全率)は1.30となっており、投資の安全性も確保されています。

この数値が実態を反映したものであれば、築浅でRCの即決で買わなければ損な収益物件だといえます。

 

レントロールの家賃を引き直した投資分析

各部屋の家賃を現状から1割ダウンで引き直した場合の事業計画を見てください。

満室想定賃料(月額)
現況賃料 ¥496,000
   
収入合計 ¥496,000
支出の部(月額)
共用部BM費 ¥30,000
共用部光熱費 ¥15,000
固定資産税・都市計画税 ¥41,667
賃貸管理料 ¥36,456
予備経費 ¥0
支出合計 ¥123,123
収支(年額)
EGI ¥5,952,000
▲OPEX ¥1,477,472
NOI ¥4,474,528
▲ADS ¥3,909,584
 CF ¥564,944
投資分析
LTV 81.91%
CCR 3.98%
FCR 5.70%
表面利回り 8.32%
K% 6.08%
レバレッジ ネガティブ
BE% 90.51%
最低稼働戸数 7.24戸
DCR 1.14
PB 25.14年

どうでしょうか?

現況賃料が新築時の家賃のままであると判断し、入居者が入れ替われば、そのままの家賃では埋まらないと想定しました。

家賃設定を各部屋1割ダウンし、引き直したうえで満室想定の投資分析を行っています。

その他の数値は変化させていません。

家賃が1割ダウンしただけで、

  • 調達コストK%6.08%>総収益率FCR5.70%<自己資本収益率CCR3.98%となり、レバレッジが効いていない形となっています。
  • DCR(負債支払安全率)は1.14とり、当初の1.30よりも低下し投資の安全性も低下しています。

特筆すべきは、CCRを落としてレバレッジがネガティブになっているにもかかわらず、DCRが低下していることです。

通常CCRを高めてレバレッジを効かせてハイリスクハイリターンにしていくほど、DCRが低下して投資の安全とが低下しますが、今回はCCRの低下にともなってDCRも低下しています。

言い換えれば、ローリターンになったのに、投資自体はハイリスクになったと言えます。

ハイリスク・ローリターンというとんでもない投資になってしまっていることをものがたっています。

直接の原因は、家賃の引き直しによる年間収入の1割ダウンにより、NOI(NET収入)が低下していることです。

たった1割家賃を引き直すだけで、投資分析が正反対になってしまうという良い事例です。

 

レントロールの家賃引き直し+空室損を考慮した投資分析

家賃引き直しの投資分析に、さらに空室損を考慮した投資分析を行います。

想定賃料(月額)
現況賃料 ¥496,000
 ▲空室損5% ¥24,800
収入合計 ¥471,200
支出の部(月額)
共用部BM費 ¥30,000
共用部光熱費 ¥15,000
固定資産税・都市計画税 ¥41,667
賃貸管理料 ¥34,633
予備経費 ¥0
支出合計 ¥121,300
収支(年額)
EGI ¥5,654,400
▲OPEX ¥1,455,598
NOI ¥4,198,802
▲ADS ¥3,909,584
 CF ¥289,218
投資分析
LTV 81.91%
CCR 2.04%
FCR 5.35%
表面利回り 8.32%
K% 6.08%
レバレッジ ネガティブ
BE% 94.89%
最低稼働戸数 7.59戸
DCR 1.07
PB 49.10年

家賃引き直しに空室損5%を想定すると、CCRが2%まで低下してしまいました。

それでいて、安全率のDCRは1.07と低下し、逆ザヤの損益分岐点である1.00に迫ってきてしまいました。

1,420万円の自己資金を投下して、ローンを6,430万円借入れて、それで年間のキャッシュフロー(CF)が28.9万円では投資の意味はあまりないといえるでしょう。

  • BE%が94.89%
  • 最低稼働戸数が7.59戸

ということは、総戸数8戸のこのマンションでは、常にほぼ満室稼働でないと投資が成り立たないということを示しています。

 

当初の投資分析に空室損だけを考慮した場合

家賃の引き直しの判断がつきにくい場合には、物件概要書をもとにした投資分析に空室損を入れてみて判断します。

空室損は若干高めの7%で考慮します。

総戸数8戸の場合は1戸空いても12.5%ダウンするので、10%くらいで見ても良いかもしれません。

想定賃料(月額)
現況賃料 ¥551,000
▲空室損7%  ¥38,570
収入合計 ¥512,430
支出の部(月額)
共用部BM費 ¥30,000
共用部光熱費 ¥15,000
固定資産税・都市計画税 ¥41,667
賃貸管理料 ¥37,664
予備経費 ¥0
支出合計 ¥124,330
収支(年額)
EGI ¥6,149,160
▲OPEX ¥1,491,963
NOI ¥4,657,197
▲ADS ¥3,909,584
 CF ¥747,613
投資分析
LTV 81.91%
CCR 5.26%
FCR 5.93%
表面利回り 9.25%
K% 6.08%
レバレッジ ネガティブ
BE% 87.84%
最低稼働戸数 7.03戸
DCR 1.19
PB 18.99年

どうでしょうか?

家賃の引き直しをしなくても、空室損を考慮するだけで、

  • レバレッジはネガティブ
  • DCRは低下

の結果となってしまいました。

つまり、この物件は満室想定の状態がずっと続かなければ成り立たないと判断することができます。

せめて、空室損を考慮した状態で、

  • レバレッジはポジティブ(効いている)
  • DCRは1.30前後

を確保しておきたいところです。

 

それでもこの物件を検討したい場合

上記分析を見て、そのうえでこの物件を検討したいという場合は、

  • 借入額を減らして自己資金を増やす
  • 借入金利をできるだけ低いところで借入する
  • 物件の価格交渉を行い物件価格を下げる

を行って、NOI(NET収益)とCF(キャッシュフロー)を増やすことが必要です。

借入額を減らす、金利を下げることで、ADS(借入返済額)が減るのでCFが増えます。

物件価格を下げれば、同じ自己資金額であれば借入額を減らすことにつながります。その結果CFが増加し、CCRも増加する結果となり、レバレッジが効いた状態になりやすくなります。

別の言い方をすれば、この物件はこのままの状態では『高い』といえるかもしれません。

融資条件や自己資金でがんばっても投資分析が改善しないのであれば、物件価格自体が高めの設定になっていると言わざるを得ないからです。

よく表面利回りで物件価格が高い・安いと判断することがありますが、危険です。

なぜなら、この物件も表面利回りは9.25%だからです。

その物件が近い将来、年間CFが28万円になるかもしれないというのだから驚きです。

家賃引き直しと空室損を考慮した投資分析の重要性が浮き彫りになっているといえるでしょう。

 

買ってしまってから気づいた場合

物件を購入してから、あらためてシミュレーションしてみて失敗に気づいたという場合は、取ることができる戦略は限られてきます。

  • CFが出ているうちに繰り上げ返済を行い、借入額を圧縮する
  • CFが出ているうちに売却して利益の確定を行う
  • CFが出ているうちに資産の入れ替えを行う

結論から言えば、条件の良いうちに売却するのが一番安全ですが、難しい場合は、収益を優先的に借入返済に回すことで、ADS(年間返済額)を圧縮して、少ないNOIでもCFが出るような収支体質にすることです。

ただ、投資全体の縮小は免れませんので、やはり、資産の入れ替えを視野に入れて、売却を模索することが必要になると思います。

 

まとめ

収益物件についてくるレントロールを見る際のポイントには、

  • レントロールが収益のすべてであり、物件取得後もレントロールの収入が維持継続できるかの確認が必要。
  • 入居時期によって家賃のばらつきが多いのはファミリータイプで、新築当初から入居している人は現況の募集家賃よりもかなり高い家賃で入居している可能性がある。
  • 店舗は相場を把握しにくく、多少賃料が安い物件が見つかったからといって簡単に移転できないため、高めの賃料でも入居を続けている場合が多い。
  • 法人の一括借りは高めの賃料で比較的長期の契約であり、不動産投資にとっては好都合であるが、一斉退去したときのダメージも大きいので、購入検討物件が法人一括借りの場合は慎重に検討する。

などがあげられます。

そしてレントロールの表面的な数字だけをを漠然と見るのではなく、ポイントを絞ってレントロールを読むことが必要です。

具体的には、

  • 賃料水準の妥当性の確認
  • 入退去履歴のチェック
  • 入居率が低い原因追究

の3点チェックを行うことで利回りを偽装された物件を購入して後で困ることを防ぐことができます。

レントロールを机上で素早く精査したい場合は、

  • レントロールは収益物件の購入検討に非常に重要なものであるが、机上で確認するポイントがある。ひとつはレントロール記載の収入が正しいかどうか、もうひとつは、その収入自体が適正かどうかという点を確認する。
  • 家賃は昔から入居している入居者ほど高いままになっているので、現状の相場家賃に引き直すことが必要。これを怠って物件を購入すると、入居者の退去が出て新しい入居者に入れ替わるたびに、家賃収入が減り、利回りが低下することになる。
  • 店舗・事務所比率が高いと個人向けのアパートローンは厳しくなるので、店舗・事務所比率が30%以下であるかは必ず確認する。

などのポイントを押さえるとスピードアップがはかれます。

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