親子間売買や夫婦間売買などの親族間売買でリースバックよりも圧倒的に安く住み続けることができる場合があるのをご存知でしょうか?
住宅ローンが払えない、これは困った、しかしさまざまな事情があり今の家には住み続けたい、近所にも家を売ることを知られたくないなどという場合に真っ先にリースバックを検討する方は非常に多いのですが、いざリースバックの話を聞いてみるとリースバックでは家賃が高く問題の根本的な解決がスッキリとできないケースが多いです。
そのような場合でも親子間売買や夫婦間売買などの親族間売買を行うことでリースバックよりも断然安く今の家に住み続けることができるのです。
病気やケガ、会社からのリストラや転職の失敗、昨今のコロナ禍の影響による残業手当や休日出勤手当の削減、ボーナスの削減やカットなどによる収入の減少が原因で、今まで払えていた住宅ローンの返済が厳しくなって毎月の支払いやボーナス払いが払えなくなっているという人が日に日に増え続けています。
そして住宅ローンは払えないもののさまざまな事情によって家にはこのまま住み続けたいがどうすればいいのか?と日々悩まれている人も同じように増え続けています。
しかし、一筋の希望を持ってリースバックを検討してみたものの、住宅ローンの返済が厳しいという今の状況をリースバックですっきり全て問題解決できるというケースは実はあまり多くはありません。
なぜならリースバックの場合はリースバックした後の家賃がそれなりに高くなりがちだからです。
毎月の住宅ローンの返済が厳しいからリースバックを行ってまでローンを完済したのに、その後の家賃が住宅ローンの毎月の返済額を超えてしまうようなこともよくあります。
その結果、あちこちのリースバックを取り扱っているという不動産会社などにあれこれ話を聞いているうちに時間だけがどんどん経過してしまい、債権者から競売申し立てをされてしまったという最悪のケースもありました。
実は、リースバック以外にも不動産を売却してそのまま家に住み続けられる方法は他にもあるのです。
それが親子間売買や夫婦間売買などの親族間売買です。
リースバックを専門に取り扱っていると大々的に宣伝している会社からは、親子間売買や夫婦間売買などの親族間売買を提案してもらえることはありません。
結局は現実を受け入れて仕方なくリースバックを行い、その後の高い家賃で泣く泣く家に住み続けているというケースも少なくないのです。
住宅ローンの返済が厳しくてもう払えない、しかし事情があり家にはそのまま住み続けたい、という場合にリースバックの話を聞いてもどうも根本的には問題解決になりそうにない、という際にはぜひ検討してみる価値がある問題解決方法が、親子間売買や夫婦間売買などの親族間売買なのです。
住宅ローンが払えないが家にはこのまま住み続けたいという場合にリースバックでは問題解決ができないことが多い理由はリースバックの『高い家賃』
住宅ローンが払えないが家に住み続けたいという場合に真っ先に問題解決方法として検討候補に浮上するのが、
『リースバック』
という不動産の売却方法です。
『リースバック』『売却後も住み続ける』などとインターネットの検索で打ち込むと数え切れないほどのリースバックを取り扱っている不動産会社のホームページがヒットすると思います。
リースバックとは簡単にいうと所有の不動産を第三者に売却してその第三者から元所有者が借り受けて賃貸でそのまま家に住み続けるという取り決めのもとで行う不動産売買のことをいいます。
ただこのリースバックで本当の意味で恩恵を受けられるのは、ほとんどの場合は住宅ローンが残っていない家を売却するようなケースです。
例えば、
- 住宅ローンを払い終わった家を所有しているが年金収入だけでは生活費が足りないorもう少しだけでも贅沢したい。しかし売却して引っ越すよりは慣れ親しんだ家に住み続けたい。
- 親から相続した家に住んでいて住宅ローンの支払いは無いが、親から相続した大切な家には住み続けたまま少しまとまった現金が必要になった。
- 自宅兼事業所として商売をしているので引っ越すのは面倒だが、売却して現金を得て事業の運転資金に回したい。
などのケースでは目的と利害が一致しますのでリースバックすることで希望を叶えられたり、抱えている問題の解決につながることが多いといえるでしょう。
上記のリースバックの恩恵が受けられる3つの例に共通していることはなんだと思いますか?
答えは、リースバックで不動産を売却することで、ある程度の『まとまったお金が入ってくる』ということです。
住宅ローンが残っていない上記の例のようなケースでは、リースバックで売却した売買代金から諸経費を差し引いた分が丸々手元に入ってくることになるからです。
あとはリースバックで不動産を売却したときに取り決めた賃貸借契約に基づいて家賃を払っていけばいいだけということになります。
しかし、『住宅ローンが払えないがなんとか家には住み続けたい』という今回のケースではどうでしょうか?
住宅ローンが払えないということは当然住宅ローンの残高は残っていて、しかもよほど住宅ローンを前倒しで返済していたというケースを除けば住宅ローンの残高はそれなりの金額であることが多いです。
つまり、リースバックで家を売却しても結局手元には1円も残らないということです。
リースバックでの売買代金は全て住宅ローンの残高の返済に回ってしまうからです。
任意売却とリースバックを組み合わせた場合でも当然のことながら手元には全くお金は残りません。
家に住み続けられるだけマシとはいえ、リースバックではなく普通に売却していればもっと高い金額で売却できたかもしれず、住み続けたいという理由だけでリースバックを選択してしまうと結果的に損をしてしまっているケースも往々にしてあるのです。
そしてもう一つの特筆すべきことが、リースバックで家を売却したときの家賃の高さです。
リースバックで家を売却する場合に、購入者であり大家さんでもある買主はほとんどのケースで不動産投資物件として購入します。
不動産投資物件ですので家賃設定は購入価格に対する利回り計算で設定することになります。
そしてリースバックで購入する際の利回り計算は多くの場合で年利8%から10%程度のことが多いです。
例えば、2000万円でリースバックで家を売却したとすると、
- 利回り8%:年間家賃160万円・月額家賃13.3万円
- 利回り10%:年間家賃200万円・月額家賃16.6万円
となります。
こうなってくると払えなくなった住宅ローンの月額返済額よりもリースバック後の家賃のほうがはるかに高いというケースも多くなってきます。
下手すると住宅ローンの返済額よりも倍くらいにリースバック後の家賃の支払額が増えてしまったというケースもザラにあります。
しかも先述の通り、住宅ローンが払えなくなってリースバックをする場合は、手元にまったくお金は入ってきません。
結果的に家には住み続けられたものの、住宅ローンの返済が家賃の支払いへと形を変えただけというならまだマシなほうで、払えなかった住宅ローンの返済額よりもリースバック後の家賃の支払額のほうが圧倒的に高いという本末転倒な結果となってしまうのです。
これではなんのために売却してリースバックをするのかわかりませんよね。
それなら無理してでも住宅ローンを払っていたほうが月々の支払額は安かったのに・・・となってしまいます。
さらに言うと、住宅ローンなら頑張って払えば自分自身の家の住宅ローンの残高が減っていき自分のための支払いになりますが、リースバックの家賃はどれだけ一生懸命に払ったところで大家さんの借金を返しているか大家さんの懐をあたためているだけで大家さんのために払っているだけのことになるのです。
損得勘定だけで言えば、リースバックではなく普通にできるだけ高く売却して、リースバックの設定家賃よりも安い賃貸住宅を探して引っ越した方がその後の生活はめちゃくちゃ楽になるということです。
そこに気付かずに家に住み続けたいという一心で安易にリースバックに飛びつくとトータルでは大損になってしまうということです。
大損だけで済めばいいですが、ほどなく高いリースバックの家賃が払えなくなって結局は家を出ていかなければならなくなったとしたら・・・というような泣くに泣けない結果となってしまうのです。
これが、住宅ローンが払えないが家には住み続けたいという場合にリースバックでは問題解決ができないことが多い最大の理由なのです。
親子間売買や夫婦間売買など親族間売買でリースバックより安く住み続けられますがローン付けできるかが成功の肝となる
では、住宅ローンが払えずに困った時に家に住み続けるにはリースバック以外でなにか良い方法があるのでしょうか?
それがとっておきの方法が実はあるのです。
リースバックではなく、俗に言う『親族間売買』です。
親族間売買には、親子間で売買する『親子間売買』や、夫婦間で売買する『夫婦間売買』、身内や親戚で売買する『親族間売買』、はたまた離婚した元夫婦間で売買する『元夫婦間売買』などが含まれますが、基本的には全て同じです。
リースバックであれば第三者に家を買ってもらってリースバック賃料という形で家賃を毎月他人に払って家に住み続けることになります。
しかし、『親族間売買』の場合は親子間や夫婦間、親戚や身内間での売買になるため第三者の赤の他人に売却するリースバックよりもいろいろな面で融通がききやすく、その後の生活が楽になることが多いのが最大のメリットです。
例えば、一番簡単なのは親族間売買で現金で買ってもらうことです。
そうすれば名義は買主である親族に変わりますが、払えなくなっていた住宅ローンは完済されてなくなり、その代わりにお金を出してくれた親族に計画的に返済していくなりの対応となるのです。
ただし、これをやるには買ってくれる親族に潤沢な現金があることが条件になってきますので、現金がなければ当然できません。
住宅ローンが払えないという段階で身内に現金で買ってくれないかと相談している人もいるため現金で買ってもらうという選択肢は最初から無い場合もあります。
そこで次に検討するのが、購入者となる親族で住宅ローンを組んで家を買ってもらいそのまま住み続けさせてもらうという方法です。
夫婦間であったり、親子間であったり、親戚であっても構いません。
仕事をしていて住宅ローンを組める人が協力してさえくれれば、親族間売買で自身の住宅ローンが払えない大ピンチを切り抜けられる可能性が広がるのです。
そして親族間売買で協力してくれた親族の住宅ローンの返済分を毎月その親族に払っていけば、協力してくれた親族に迷惑がかかることもほとんどありません。
そして何よりもここで特筆すべきは、親族間売買での月々の支払額がリースバックよりも圧倒的に安く済む可能性が高いことです。
先述の通り2000万円の住宅ローンを完済するためにリースバックで家を売却した場合は、月々のリースバック家賃は13.3万円から16.6万円でした。
それが親族間売買で親族が2000万円の住宅ローンを組んで買ってくれた場合は、住宅ローンの金利や借り入れの年数にもよりますが、月々の住宅ローンの返済額はざっくり6万円前後となります。
この住宅ローンの返済額の6万円を親族間売買で協力してくれた親族に変わって払っていけば安心して住み続けることができるというわけです。
リースバックと比べていかがでしょうか?
親族間売買であればリースバックと比較しても半分以下の月々の支払額で慣れ親しんだ家に住み続けることができるのです。
しかも家の名義はリースバックでは第三者である赤の他人で、いくら家賃を払っても第三者のために払っているだけでしたが、親族間売買であれば協力してくれた親族の住宅ローンを払い終えれば名義は親族ではあるものの最終的には住宅ローンのない家を残すことができるのです。
この違いはものすごく大きいと思いませんか?
住宅ローンのない家であれば売却すればまとまったお金にもなりますし、その時の状況次第ですが協力してくれた親族と売却して入ってきたお金を分けることもできるというわけです。
リースバックであれば第三者の赤の他人が所有しているので、賃貸契約を解約して退去すればもうそれまでの関係なのです。
ただし親族間売買はいいとこばかりというわけではないのです。
これだけメリットの大きな親族間売買ですが、不動産の売買としての難易度が決して易しくはないということが最大のネックとなります。
一番難しいのが買主として協力してくれる親族の住宅ローンの審査を通すことです。
夫婦間であれば奥様もしくは主人、親子間であれば子供もしくは親、元夫婦間であれば元夫もしくは元妻が協力者となって買主となり、不動産の売買契約とともに住宅ローンを借りる手続きを金融機関に対して行わなければならないからです。
この住宅ローンの審査をパスして住宅ローンが借りられないと全ては絵に描いたもちになってしまいます。
しかも住宅ローンの審査は一発勝負ですので不備が無いように細心の注意を払って『コト』を進めていく必要があるのです。
なので、『親族間売買』のような難易度の高い不動産売買は個人間で勝手に進めようとしてもなかなか難しいです。
不動産売買取引と住宅ローンの両方に精通した任せられる不動産会社に依頼することが大切です。
ちなみに多店舗展開しているような大手の不動産会社はこういった親族間売買などの難易度の高い不動産取引は苦手だったり取り扱わないことが多いです。
なぜなら不動産仲介での仲介手数料は法定で上限額が決められており、どれだけ手間がかかったとしても同じだからです。
つまり親族間売買で苦労して住宅ローンをつけて取引をしても、普通の中古マンション売買の取引をしても売買価格が同じであれば仲介手数料も同じなので手間ばかりかかる親族間売買をやるよりも簡単に売買できるほうを優先するほうがコストパフォーマンスが高いと考えているということです。
親子間であれば親子間の、夫婦間であれば夫婦間の、元夫婦間であれば元夫婦間の、親族間であれば親族間での住宅ローンの審査の通し方があるのです。
住宅ローンを申し込む前にいろいろと下準備が必要なことも多いです。
そのまま住宅ローンを申し込んで玉砕することだけはなんとしても避けなくてはいけません。
住宅ローンの審査が通る可能性をできるだけ高めた状況を作ったうえで住宅ローンの審査に申し込むべきなのです。
そして最後に、どうやっても親族間売買でなかなか住宅ローンの融資がつかない時に使う最後の奥の手があります。
それは間に入っていた不動産会社が一旦購入して、その不動産会社から協力者である親族が購入することです。
そうすることで協力者である親族は第三者である不動産会社から新規で物件を購入するために住宅ローンを組むという住宅ローンの申し込みになるため、住宅ローンの審査はものすごく通りやすくなります。
そういったことまで含めて先を見越したプランニングができる不動産会社に相談できれば鬼に金棒です。
相応の取引経験や住宅ローンの担当者との良い関係を持っている不動産会社であれば、行き当たりばったりの不動産会社ではできない親族間売買で家に住み続けるというプランニングができるはずです。
こればっかりは本当に成功経験がものを言う世界です。
やったことない人が手探りでやっても、まず成功しませんので注意が必要なのは言うまでもありません。
おわりに
住宅ローンが払えないなどの理由で家を売却しなければならないが諸々の事情で家に住み続けたいとう場合に真っ先に検討候補に上がるのが『リースバック』です。
インターネットで検索するとリースバックを取り扱っている不動産会社などがたくさんヒットして、ホームページには結構いいことばかり書かれていますが、現実はそんなに甘くありません。
リースバックの場合、そのまま住み続けられる代わりに家賃が高くなってしまうケースが多いのです。
下手すると払えなくなった住宅ローンの月額返済額よりも高額になるケースも多くあります。
それでは結局のところ一時しのぎでしかなく、遅かれ早かれ家賃の支払いに行き詰まるようになるのは火を見るより明らかです。
そうならないように、住宅ローンが払えないが家に住み続けたいという場合は、リースバック以外にも親族や身内に協力者がいる場合にはぜひ『親族間売買』を検討するべきです。
『親族間売買』であれば月々の返済額はリースバックの家賃よりも半分以下で済む場合が多いので、長い目で見ても十分支払っていけますし、いずれは支払いが終わって協力してもらって親族の名義の家が残ることになるので払った分も無駄にならないのでダブルでお得です。