住宅ローンが払えなくなって滞納してしまい任意売却をせざるを得ない状況になってしまったとしても住み慣れた愛着のある今の家にそのまま住み続けたいというのが本音のところだという方が多いのではないでしょうか?
住宅ローンを数ヵ月にわたって滞納してしまい期限の利益を喪失すると月々の分割払いが出来なくなるので金融機関からは残金の一括返済を求められます。
そうなってしまうと取り得る主な選択肢としては
- 全額返済
- 競売
- 任意売却
の3択になってきます。
そもそも月々の住宅ローンの返済が厳しかったのですから全額返済は現実味が少ないですし、かといって競売にはなりたくないとのことで多くの方が任意売却での解決を望まれるのが現実です。
もちろん任意売却を行えば家を売却することになるので家の名義は第三者である購入者のものになってしまいます。
しかしそこでその購入者の第三者から家を賃貸で借り受ける方法があります。
当然家を賃貸で借り受けるので家賃は発生しますがそのまま住み続けることができます。
それが『リースバック』です。
任意売却で家を売却する際の出口としてあらかじめリースバックをして頂けるという購入者に対してアプローチを行えばそれも可能になるのです。
この記事では、住宅ローンを滞納してしまっても住み続けられる任意売却リースバックスキームについて説明します。
住宅ローンを滞納してしまっても住み続けられる任意売却リースバックスキーム
任意売却とリースバックを組み合わせることで住み慣れた家に今の生活のまま家賃を払って住み続けることができます
そして住み続けられる以外にも
- 引越し費用がかからない
- 新居を借りる費用がかからない
- 連帯保証人を頼まなくてもいい
- 固定資産税、都市計画税がかからない
- 任意売却したことを近所に知られにくい
- 将来的に買い戻すことも可能
などのメリットがリースバックにはあります。
住宅ローンの返済を滞納して任意売却になってしまったとしてもリースバックで住み慣れた家に住み続けながら生活を立て直していくことは十分可能です。
そして
- 自分が住宅ローンを滞納したせいで引っ越さなければいけないが子供の学校区が変わるから子供が困るし子供に申し訳ない
- 大きい犬や複数のペットを飼っていて賃貸マンションやアパートに引っ越すのは難しい
- 追われるように家を出る姿を子供や家族に見せたくないし近所にも知られたくない
- 任意売却での販売活動中に色々な人に室内を見られるのが嫌だ
- 体が不自由な高齢の親と一緒に住んでいて引越しが難しい
- 親の形見の土地なのでせめてその上で住み続けていたい
- 将来的に親からの相続でまとまった資金が得られるのでそのときまでは借りて住んでいて買い戻したい
などのお悩みを任意売却の出口をリースバックにすることで解決することができるというわけです。
まずはきちんと任意売却ができる不動産会社に相談する
何事も最初が大切です。
住宅ローンを滞納している場合はまずはきちんと任意売却ができる不動産会社に相談することが重要になります。
最初で失敗すると最後までうまくいかないのが任意売却だからです。
ここでよくやってしまうのがパソコンやスマホで『リースバック』と検索すると出てくる下記のような大手企業に最初に相談してしまうことです。
- ハウスドゥ
- インテリックス
- スターマイカ
- セゾンファンデックス
- ・・・他
などです。
たしかに上記の会社はリースバックを専門に行っていたりリースバック専門の部署を持っていて大々的に広告宣伝をしています。
しかしリースバックに関しては専門でも任意売却に関しては専門外なのです。
会社によっては
- 住宅ローンの滞納があったらリースバックを取り扱わない
- 金融機関や税金の差押え登記が入っていたらリースバックを取り扱わない
- 物件の評価額よりも住宅ローンの残債が多いオーバーローン状態ではリースバックを取り扱わない
- 借地上の物件ではリースバックを取り扱わない
などの一定の制約があることがほとんどです。
上記のような大手企業はどちらかというと
- 高齢者で家のローンは完済していて当面の老後資金が欲しい
- 住宅ローンを完済して当面の手元資金を持ちたい
などのケースで、物件価格がローンの残債を上回っているアンダーローンの状態でうまく機能します。
つまり物件価格がローンの残債を下回る『オーバーローン』の状態ではないというのが大前提の仕組みになっています。
なのでリースバックだけでなく任意売却についてもきちんとできる不動産会社に相談することが重要になるというわけです。
そしてオーバーローンの状態であれば通常の不動産仲介会社でも任意売却ができないので
- 残債分は売主で用意してください
- 買い替えをして買い替え先のローンに残債を含めましょう
という提案をされることが多いので、そもそも住宅ローンを滞納してるから相談している場合には残念ながら解決策にはなり得ません。
特に
- 競売開始決定の差押え
- 市税・県税・国税の差押え
- 管理費・修繕積立金の差押え
がなされている場合には任意売却に精通した不動産会社に依頼するほうが無難です。
債権者である金融機関との任意売却交渉と並行して上記差押権者との差押え解除交渉も行う必要があるからです。
任意売却とリースバックがきちんとできる不動産会社に依頼する
上記にてきちんと任意売却ができる不動産会社に相談することが大切とご理解頂けたと思いますが、もう一つ大切なのがリースバックの出口をきちんとつけられる不動産会社に依頼するということです。
なぜなら金融機関や税金と交渉して任意売却をまとめられても肝心の出口であるリースバックをして頂ける買主を見つけなければリースバックの目的は達成できないからです。
任意売却を専門にうたっている専門業者でも
- 出口である客付けは自分たちでは行っていない
- リースバックをして頂ける出口を持っていない
というところは実はたくさんあります。
任意売却後のリースバックが最終目的の場合は、任意売却がきちんとできることは当然としてその最終目的であるリースバックの出口をきちんとつけられる不動産会社に依頼する必要があります。
そうしないと任意売却の手続きを進めたものの最終的にリースバックの出口が見つからなければ
- 第三者に任意売却
- 競売
のどちらかになるしかないからです。
これではリースバックで住み慣れた家に住み続けるという目的は達成できないということになります。
依頼する不動産会社にはリースバックで住み続けたいときちんと意思を伝える
基本的に不動産会社は第三者に売る方が選択肢が広く売りやすいのでそちらを好む傾向にあります。
なので向こうからリースバックをしますかと持ち掛けてくることはリースバック専門でなければあまりありません。
なので最初にリースバックで住み続けたいという意思を伝えておくことが大切です。
もしそれで難しそうであれば時間がないので他の不動産会社をあたりましょう。
相談する不動産会社の選定が難しければ専門家として私も相談に乗ります。
メールだけでお問い合わせ可能です。
任意売却でリースバックが可能になる2つのパターン
第三者に家を買ってもらってそれを賃貸借することで、家賃を払いながら売却した家に住み続けることができるのがリースバックという方法です。
リースバックの最大のメリットは何と言っても引っ越さなくて済むということです。
しかし、いつでもどこでもリースバックができるということではありません。
リースバックが成立するためには整えなければならない条件があり、リースバックが成立したとしても居住期間などに一定の制約を受けるケースがありますので注意が必要です。
また、リースバック時の家賃が高すぎると結局支払いが苦しくなって何のためにリースバックを行ったのかわからなくなってしまいます。
任意売却リースバックパターン①:親子間売買・親族間売買
親や子供との親子間売買や親戚との親族間売買はリースバックでの自由度が一番高くなるメリットがあります。
親や子供、親戚に家を購入してもらうことで、長期間のリースバックが可能となるからです。
また、賃貸借契約の条件面においても家賃などにおいて融通が利くことが多いです。
デメリットをあげるとすれば、親族間売買はローンが付きにくいので購入時にある程度の現金を持っている必要が出てきます。
購入予定者の親族がすでに住宅ローンを抱えていればさらに難しくなります。
また、親族間であるがゆえに甘えが出てしまい家賃を滞納しがちになってしまうこともあります。
そうなることで、
- 親族間の関係が悪化する
- 親族間で住宅ローンの支払い苦が伝播する
などの弊害が出てきます。
結局のところリースバックという方法には、
『ローン名義の付け替え』
という側面があるからです。
せっかく助けようとして手を差し伸べてくれた親族をも最終的に裏切ることになるリスクを常に抱えているといえるのです。
任意売却リースバックパターン②:リースバック業者・投資家への売買
親族間売買ではなく、リースバックを専門に行う不動産業者や一般投資家に売却して賃貸借契約を結びリースバックを行う方法です。
リースバック業者や投資家とのリースバック契約のメリットは、他人なので融資が付きやすいので売買が成立しやすいということです。
特にリースバックを専門に行う不動産業者などは一応融資は使いますが包括的な融資でほとんど現金決済に近い形での売買取引となります。
その結果、話がまとまって取引が完了するまでがとても早いです。
こう見るとこの方法であればメリットばっかりだと思うかもしれません。
しかしやはりデメリットもあります。
基本的にリースバック専門業者や投資家はいずれ出口戦略として不動産を売却します。
そのため、
- 転売益を見込んだ購入価格となる
- リースバック期間が2〜3年程度の定期借家契約となる
ことが特徴として挙げられ、デメリットだともいえます。
転売時には内外装をきれいにバリューアップしますので、それまでの期間で賃貸を行うというイメージです。
なのでせっかくリースバック契約ができても、決められた期間が経過すればやはり出ていかなければならなくなり、永遠に住み続けることはできません。
この方法でうまくいったケースとして、
- 子供が中学や高校を卒業するまでは引越したくない
- 寝たきりの親を看取ってから引っ越ししたい
というケースがありました。
2〜3年のリースバック期間の間に目的が成就して、リースバック期間満了とともに引っ越されていきました。
任意売却でリースバックが可能になる2つのパターンとして、
- 親子間・親族間売買
- リースバック業者・投資家とのリースバック契約
が挙げられます。
しかし、思い通りにことが進むことが意外と難しいのもリースバックの特徴です。
運良く買い取ってくれる親や親族がいたりした場合に長期のリースバックが可能となる場合がありますが、ほとんどのケースは2〜3年の定期借家契約でのリースバックとなり、リースバク契約期間満了とともに退去して引っ越さなければなりません。
安易にリースバックができると考えていると良い条件で任意売却できる機会まで失ってしまうことすらあるのです。
リースバックはどちらかというとその限られたリースバック期間にどうしても今の家でやりたいことがあるというケースでうまくいくことが多いのです。
リースバックのご相談もお受けしていますのでリースバックをご希望ならぜひご相談ください。
おわりに
- 任意売却の出口をリースバックにすることで引っ越さずに住み慣れた家に住み続けることができ任意売却してことを近所に知られることもないメリットがある。
- 相談する先が大切で、任意売却がきちんとできることとリースバックの出口をきちんとつけられることの2つが重要なポイントとなる。
- 相談する際にはあらかじめリースバックで住み続けたいという意思を伝えておくとスムーズに進みやすい。