不動産投資で成功した不動産投資家において良い収益物件をできるだけ多く仕入れることは永遠のテーマです。
もし良い収益物件を仕入れることができる独自の情報ルートを開拓すれば不動産投資のスタート地点である収益物件の仕入れで優位に立つことができます。
そして収益物件の仕入れで優位に立つということはそのまま良い収益物件を購入して不動産投資の規模を拡大できるということです。
しかし現実は自分のところに入ってくる収益物件の情報をいくら見ても、
- 購入を検討しようと思える物件が無い
- いくら情報が来ても良い物件を仕入れられない
などで頭を悩ませている人が多いと思います。
どうしたら良い収益物件情報を仕入れられるのでしょうか?
またせっかく良い収益物件情報が入ってきているのにもかかわらず、客観的に見れば良い収益物件なのではないかと思われるような情報を自らの思い込みなどで遠ざけてしまっていることがあります。
ないものねだりになってしまっていたり、意識の持ち方ひとつで良いかもしれない収益物件情報までスルーしてしまうことは是が非でも避けたいところです。
良い収益物件を仕入れのためのコツ①:収益物件情報を自身の判断基準を意識しながら見る
①-1:現地で物件を見る際に意識すること
現地で収益物件を見る際に考えるべきは、賃貸が入る物件なのかどうかという点に尽きます。
近隣物件の入居率や賃料を調べることはもちろん、現況のままで賃貸が入らないのであれば何にいくらくらいかけて改修すれば満室になるのかを考えることが基本になります。
例えば、共用廊下のイメージが悪く、これが賃貸付けの難易度を上げていると分かれば、それを若者に好まれるデザインに変えるにはいくらかかるのだろうという観点で考えます。
こういう場合に短絡的に共用廊下のイメージが悪いから買わないというのは正しくないということです。
古びた蛍光灯をおしゃれな照明に変えて、壁を塗装して、床を張り替えたら全部で数百万円かかりそうなら・・・
- それを購入価格に上乗せして試算する
- その分を物件価格から値引きしてもらう
というのが良い収益物件を仕入れる際の正しい考え方です。
どんなに印象が悪い収益物件でも相応な価格で手に入れられれば良い物件に変わるからです。
せっかく現地を見に行ったのに採算ラインも何も考えず指値もせずに辞退するというのは不合理でもったいないです。
①-2:設備の故障は物件選定の際に考えるべきではない
一方、エアコンや給湯器などのこまごまとした設備の故障する可能性は、売買価格や賃料収入に占める割合が相対的に小さいです。
仮に故障が発生しても誤差の範囲内の支出であるため、物件を買ってから考えても間に合うということです。
どんな収益物件を買って設備は故障するときは故障しますので投資戦略上の必要経費であるともいえます。
①-3:お金をかければ解決できる問題とそれ以外を切り分ける
お金では解決が難しい問題の例でいうと、
- 近隣の雰囲気が悪い
- 嫌悪施設がある
- 騒音
- 悪臭
- 間取りや賃料が地域の需要と合っていない
- 設計図書や検査済証がない
- 容積率・建蔽率オーバー
- 無断改築などの違法建築
などがあげられます。
逆にお金で解決できる問題の例でいうと、
- 修繕履歴がない
- 賃貸借契約書がない
- 境界が未確定
などがあげられます。
- 修繕履歴はなくても、自分で現場を調べて業者に聞くなどすれば、ある程度解決できる。
- 賃貸借契約書がなくても、多少の心付けをもって賃借人を訪問すれば書類を作ることができる。
などの方法をとることで解決できるからです。
良い収益物件を仕入れのためのコツ②:良い収益物件の情報は表には出回らないという色眼鏡をはずす
②-1:収益の上がる良い収益物件なのになぜ売りに出すのか?
収益物件を売却する理由は、なにも悪い物件だからということだけではありません。
収益物件の売却の理由は、
- もともと業者が転売目的で仕入れていた
- 相続や税金対策
- 管理が面倒
など、収益物件の良し悪しとはあまり関係のない売主の固有の事情によるものも多いものです。
もし仮に、
- そろそろ大規模修繕が必要だから売却したい
- あまり賃料が入らないから売却したい
など、都合が悪い物件だから売りに出ている様子ならその分安く購入できればいいという考え方です。
そういった事情からも、購入希望者が十分検討できる価格で売りに出している売主がいても不思議はありません。
良い収益物件の情報は表に出回るわけがないと普段から思っていると、いざ良い収益物件の情報が回ってきてもチャンスを見逃してしまいがちになるので注意が必要です。
②-2:良い収益物件だというならばなぜ業者は自分で買わないのか?
詐欺や架空の投資話の勧誘に対する断り文句で、『そんなに儲かるのなら人に紹介せずに自分でやったらどうですか』というのがあります。
実物の不動産投資に関してはそれは当てはまりません。
収益物件はひとつですが、その収益物件を良い物件と思う人もいれば悪い物件と思う人もいます。
また、同一人物でも、状況やタイミングによっては良い物件になったり、悪い物件になったりします。
業者は基本的に短期転売できる物件しか購入しません。
なかには長期保有で賃料収入を得ることを業務として行っている業者もありますが、良い物件が出るたびにすべてを購入するのは予算的に無理です。
そのため、転売するほど激安ではないが、現在市場に出回っている収益物件と比べても投資妙味があり、長期保有にも適しているという収益物件が一般顧客に紹介されることは十分にありえます。
『良い物件情報が出回ることは絶対ない』という色眼鏡をはずす意識をもつだけで、チャンスを逃さない確率がアップします。
②-3:レインズに掲載される前に水面下で収益物件を買うには?
非公開物件はすぐに買いそうな投資家にしか紹介されません。
非公開にする理由は、多くはレインズに掲載しなくても売れると見込んでいるからです。
業者は買主を自分で探して、売主・買主双方から手数料をもらう両手取引をまずは狙います。
そのような収益物件を紹介してもらうには、小さくても一度取引をするなど、業者との信頼関係を築くことが実は最も効果的だったりします。
業者は一度購入してくれた人は、もう一度買ってくれる可能性が高いことを経験上知っています。
信頼関係が出来上がっていれば、冷やかしもなく、予算もわかっていて、細かいところで及び腰になることもないため、話が早いからです。
そのために、いい収益物件が入ってきた際には、一番買えそうな顧客から順番に物件が紹介されることになります。
これに当てはまる顧客は意外にも地場の儲かっている不動産業者だったりもします。
- 細かい注文をつけず
- 手数料は満額支払い
- ローン特約もつけない
など、仲介業者から見ると一番話の早い上顧客になるからです。
一方で、本当に割安で良いと思う収益物件を初心者が見ると、『条件がよくないので買わない』ということも多々あります。
良い収益物件を紹介されているのに本人は気付いていないというケースです。
営業担当者がせっかく『これはすぐにでも買ったほうがいい』と思って紹介しているのに、その物件にケチをつければ目線の厳しい顧客だと思われ、次から新しい収益物件を紹介されるペースは落ちてしまうのが人情です。
- 自己資金は多くない
- ローンも通るかどうかわからない
という人は、『必ずその担当者から買う』という姿勢を見せれば、物件情報提供を優先してくれる可能性も上がります。
良い収益物件を仕入れのためのコツ③:将来的に保有棟数を増やしていく意識
単純な統計の原理で、数が多ければ多いほど入居率は当初の想定近似に収束するため期待値とのぶれは少なくなっていきます。
収益物件の投資ボリュームが増えれば、修繕支出も全体でみれば小さな金額となるため突発的な支出に対する耐性も向上します。
不動産収入にも本業の給与収入にもリスクはありますが、不動産収入が大きくなってくれば、リストラされて本業の収入がなくなっても、収入源が分散されているので影響が少なくなるという効果もあります。
『あまりローン残高が大きくなるのも怖いので、小さな物件をひとつだけやってみたい』
という考え方もわかるのですが、そこそこの規模の一棟マンション・アパートを複数棟所有している場合と比べて、期待収益率は低く、事務効率も悪く、その結果、思った通りにいかない確率は高くなると考えるべきです。
結局は①購入資金②購入意思③判断スピードがある人に良い収益物件情報は集まる
良い収益物件情報を紹介してもらうためには、
- 普段から関係先に『買える』ということをアピールして、根回しをしておくこと
- 取引中に購入意思がブレたり買付を簡単に撤回して不動産会社を困らせない
などが重要になります。
たとえば、物件情報を取得していてもなかなか物件的に買えないようなことが続く場合は、不動産会社の中での物件情報提供先としての優先順位が残念ながら下がってしまっている可能性があります。
ビジネスでは当たり前のことなのですが物件情報の提供の順番も『買える人』が最優先されるからです。
『買える』人というのは、
- 資金がある
- 購入意思が固い
- 判断スピードが速い
という3つの特徴があります。
そこをうまくアピールしていくことで、不動産会社内での物件情報提供の順位を上げていくことが、良い物件情報をつかむためには必要です。
ポイント①:資金がある
一番強いのは現金で不動産を買う人です。
1億、2億の現金を保有しており、そのお金で収益物件を買いにきた人です。
融資を使う人はどうしても銀行に融資が否決される可能性があるため、一番強いのは現金です。
とはいっても、常に現金で不動産を買える人はとても少なく1億を超えて現金で購入できる人は非常に少ないです。
現金で一度二度と購入するとさすがに現金不足になりますが、現金で購入できているうちはかなり優遇されます。
収益物件の場合は、
- 金額が大きい
- 節税対策になる
- キャッシュを手元に残す
という面から融資を使うことは全く問題ありません。
ここで重要となるのは、融資を引っぱる力です。
これに有効なウルトラC級の対策はほとんどありません。
身近な銀行には片っ端からあたっていく努力が必要です。
都銀、地銀、信金、信組、信販などいろいろありますので、まずは自分がどこまで融資を受けられそうか事前に確認することです。
大きな声では言えませんが、ダミーの収益物件情報をもって銀行に審査依頼をしてみると自分の融資ラインがわかります。
ただしダミー収益物件は最低でも現在流通している収益物件にします。
そうすれば銀行は購入を検討していると思いますので、その情報をもとに自分がどこまで融資が受けられそうなのかを自分なりに目安を持つことができます。
なぜなら、そのような実際に現場で知った目安を持たずに、不動産会社の営業担当にハッタリで『私は2億までなら融資を受けられます』というような話をしても、ほぼ見破られてしまうからです。
ある程度の目安があったうえで、適宜ハッタリを使うことが必要です。
ポイント②:購入意思が固い
購入意思が本当にあるかどうかは、不動産会社やその営業担当者にとってとても重要です。
ひやかしの客に情報を流して収益物件への案内までして成約できなければ投資対効果はゼロであり、不動産会社はボランティアになってしまうからです。
不動産会社の営業担当者も、本音では効率よく仲介したいと思っていますしビジネスなので当然のことです。
そして一番困るのが、買付を出したあとにやっぱり購入するのを止めたいと言われることがあります。
買主にも様々な事情があるのですが、契約するまでに奥様の反対にあって契約できなかったケースなども含まれます。
買主側の担当者は売主側と交渉するにあたって、良い買主がいるので譲ってくれという交渉をしています。
その買主が買付を出した後にやっぱり購入をやめるということになると、売主の心証を一気に害してしまいます。
下手をすると売主側の業者から、買主側の業者自体と今後取引をしないということもあり得ます。
つまり高額の収益物件を扱う不動産会社として買主の購入意思さえ見抜けなかったということで実力を低く見られることにより、取引をまとめる力がないと判断されてしまうのです。
不動産会社は業者間の信用や信頼を失うと商売にならなくなります。
そのため購入意思がブレたり、買付を出したけど取り下げるなどを頻繁に行うと、買主側の業者からも取り引き中止や情報が一切もらえないという状況になりますます収益物件を探しにくい状況になってしまいます。
下記の2つのルールは最低限のマナーとして確実に守って、不動産会社との信頼関係を毀損させないようにしたいところです。
- 買付を出した場合は、買付が通れば本当に買う意思があること
- 買付を出す際に、成約条件を明確い記載し、買付を取り消す際は、その条件の範囲内で行うこと
これが守れないと、自然に不動産会社は離れていってしまいやりとりできる先が先細りになって物件情報収集に不利になっていきます。
ポイント③:判断スピード
判断スピードは、良い物件を獲得するためには非常に重要になります。
良い収益物件は朝一番で出した情報が昼までには買付が入っていて売り止めとなっているくらいのスピード感です。
収益物件が出てから、遅くても1日程度で判断して買付を出さないと乗り遅れます。
いくら現金があっても、購入意思があっても、判断に1週間もかけていたら、良い収益物件は売れてしまっているでしょう。
自分にとって取得したいと思う良い収益物件は、その他大勢の収益物件を探している人達にとっても欲しい物件であるのは当然です。
理由は他人が欲しい収益物件であれば、売却時に困らないからです。
いくら、古い物件が好きで投資をしていても、売却するときに人気がないのであれば、安く買いたたかれる可能性があるからです。
他の人が欲しい物件を他の人よりも先に買わないといけないことになり、基本的に競争は激化します。
その時に最終的に勝負を決めるのが判断スピードです。
判断が早い人は、購入の意思も固いことが多く、融資付けも準備万端であることが多いのは、不動産会社もわかっています。
なので早く買付を出せるだけでもかなりのアドバンテージになります。
判断スピードを上げるために、日ごろからシミュレーションをして、銀行の融資目安も把握し自分だけの評価軸を持つことが必要です。
おわりに
- 現地を訪問する際は、お金で解決する問題と、お金では解決しない問題に切り分けて考える。賃貸付け、修繕の状況など、収支に影響の大きな要素から重点的にチェックする。金額換算して大きくない要素にこだわらず、大きな視点で全体を見る。
- 『良い収益物件は売りに出るはずがない』『良い収益物件はすべて業者が買ってしまい、レインズ掲載物件や個人投資家に回ってくる物件に良い収益物件はない』という色眼鏡は、せっかく回ってきた物件情報を活かすチャンスをみすみす見逃す原因となる。
- 収益物件を多く所有することは、大数の法則により期待収益と実現収益との差を減らし、当初想定した付近に収益を収束させる効果があり、投資リスクの低減につながる。
- よい収益物件を購入するためには、『買える人』であることを示す必要がある。
- 『買える人』とは、①資金力(融資力)②購入意思③判断スピードのポイント3点が高レベルにある人のことを指す。
- 判断スピードが速い人ほど資金力もあり、融資の準備もぬかりなく、購入意思も固いので不動産会社からは物件情報提供先として優遇されやすくなる。