
住宅ローンの返済を続けていく見通しが悪くなった際に、
- 任意売却
- リースバック
などでなんとか切り抜けようと考える人は非常に多いです。
インターネットで検索するとそれこそたくさんの任意売却やリースバックのサイトがヒットするからです。
しかし任意売却やリースバックも万能ではありません。
場合によっては任意売却やリースバックをした方がその後の状況を悪化させてしまうケースもあるのです。
そういう場合に、
- 任意売却しない方がいい
- リースバックしない方がいい
と教えてくれる不動産業者はいないと思います。
不動産業者であればどうにかして不動産を売却する方向に持っていきたいという力が働くからです。
不動産業者も商売ですのでこれはいたしかたありません。
しかし無理に任意売却やリースバックに誘導されて任意売却やリースバックしたあとに苦しむのは本人だけです。
この記事では、無理に任意売却やリースバックをしないほうがいいケースについて見ていきます。
任意売却やリースバックはあくまでその後の生活の再建手段と考える
任意売却やリースバックをすることが目的なのではなく、任意売却やリースバックはあくまでその後の生活を立て直す手段だということです。
任意売却やリースバックを行ってもその後の生活が余計に厳しくなっては本末転倒だといえるからです。
しかし実際にそのような結果になってしまっている人はけっこういます。
やはり不動産業者まかせではなく自分自身でも判断できる軸を持っておくべきではないでしょうか。
無理に任意売却やリースバックをしないほうがよいケースとは?
無理に任意売却やリースバックをしないほうがよいケースとは、任意売却やリースバックをした後の生活コストが任意売却やリースバックを行う前よりも上がってしまうケースです。
住宅ローンの月々の支払いが例えば10万円以上あって任意売却して6万円の家賃の賃貸に引っ越すのであれば任意売却後の生活はだいぶ楽になるでしょう。
しかし住宅ローンの月々の支払いが6万円なのに無理に任意売却して10万円の家賃の賃貸に引っ越すのであれば任意売却後の生活コストは逆に上がってしまっているのです。
もちろん目先の住宅ローンの支払いが詰まっている以上、お尻に火がついていますから任意売却するしかないと考えてしまいがちですがここは冷静に考えるべきです。
極論ですがどこに行っても月々6万円の住居費はかかるのではないでしょうか?
実家で親と同居する、田舎に住宅ローンの支払いの終わった家があって空いているので引っ越す、などという場合を除いては、どこに移り住んでも家賃は発生するからです。
すでに代位弁済されていて一括請求されていて任意売却をするしかないという状況を除いて、これから住宅ローンの返済を延滞しそうだという場合は本当に任意売却をしてその後の生活が改善されるのかを考えてみることです。
またリースバックも同様で今の住宅ローンの月々の支払いが10万円で苦しいのにリースバックして家賃が12万円になったというケースは本当に多いです。
住宅ローンという借金のプレッシャーからは解放されますが結局月々の生活コストは上がってしまったという結果です。
住宅ローンの残債がある程度減っていて目先の家賃が上がっても手元にまとまったキャッシュが欲しいという場合はリースバックも有効な方法です。
しかし目先の住宅ローンの支払いが厳しいというだけで安易にリースバックを選択するとその後の生活が厳しくなって結局後悔することになります。
住宅ローン以外の借金が原因なら個人再生手続きが有効なケースがある
住宅ローンの返済が厳しくなっている原因が住宅ローン以外の借金の支払いにあるのであれば、住宅ローンを残してそれ以外の借り入れを圧縮して整理する方法があります。
それが個人再生手続きです。
個人再生手続きであれば家と住宅ローンの支払いをそのまま残して、住宅ローン以外のキャッシングやカードローンなどの借り入れを圧縮して整理することができるのです。
個人再生手続きは弁護士が裁判所に申請して裁判所が許可すれば認められる再生手続きです。
住宅ローンの支払いが月6万円あってこれだけなら全然払っていけるのに、カードローンやキャッシングが300万円あってそちらの返済が月10万円以上あってしんどいというケースを考えてみます。
この場合なら無理に任意売却して引っ越したりリースバックして家賃が増えるよりも、個人再生手続きをすることでそのまま住み続けることが可能になる可能性が高いです。
個人再生手続きが裁判所に認められれば住宅ローン以外の債務が5分の1に圧縮されます。
そしてそれを3年間で返済すれば他の債務の返済は免除されるという再生計画を組みます。
そうすることで月々10万円だったキャッシングやカードローンの支払いが3万円ほどになるとします。
すると住宅ローンの支払いと合わせても月々9万円で今の家に住み続けることができるという算段です。
このような場合は無理に任意売却やリースバックをする必要はないといえるでしょう。
おわりに
- 住宅ローンの返済に詰まると任意売却やリースバックを考える人は多いが状況によっては無理に任意売却やリースバックをしないほうがいいケースもある。
- 判断基準としては任意売却やリースバックをした後の生活コストが今の生活コストよりも上がりそうな場合は別の方法を考えるべき。
- もし住宅ローン以外の借り入れの返済が重たいなどの理由で住宅ローンの支払いが厳しい場合は、個人再生手続きで住宅ローンを残してそれ以外の債務を圧縮するほうがよほど生活は再建できる場合もある。