不動産投資においての節税対策を行うポイントはどこにあるのでしょうか?
また不動産投資においてどこまで経費を出せば目的とする節税になるのでしょうか?
不動産投資は帳簿上の利益が出やすいため何も考慮していないと大幅な黒字となり税金を多額に払わなければならないケースがよくあります。
逆に経費を使い過ぎて赤字決算になってしまうこともあるかもしれません。
納税申告の直前で、
- 思ったよりも利益が出そう
- 赤字になりそう
だったりに気付いてもその時点からではできることは限られてしまいます。
不動産投資における課税所得と税率を把握し、経費によりどこまで利益を圧縮したいかを前もって検討する必要があります。
また専業大家ではなく他にも収入がある場合はその収入とのバランスを取ることも重要です。
この記事では、不動産投資における節税対策のポイントとして課税所得と税率の関係を理解する重要性をご紹介します。
不動産投資の必要経費を増やすメリット
課税所得を圧縮する
簡単にいえば必要経費を増やすことで課税される税金が安くなるということになります。
サラリーマンの給与収入でいえば社会保険料や配偶者控除などを差し引いた所得に対して税金がかかっています。
つまり、
◎課税所得=家賃収入-必要経費
となります。
家賃収入1,000万円に税金をかけるわけでなく、その収入を得るのに費やしたお金を必要経費として差し引くことができます。
必要経費には、
- 固定資産税などの税金
- 原状回復や建物修繕にかかったリフォーム費用
などもあり家賃収入から必要経費を引いた金額が所得=課税所得となります。
この課税所得が低ければ低いほど支払う税金は安くなるということです。
個人・法人の課税所得と税率
個人の課税所得と税率
課税所得金額 | 所得税率 | 住民税率 | 合計 |
195万未満 | 5% | 10% | 15% |
195万超330万以下 | 10% | 25% | |
330万超695万以下 | 20% | 30% | |
695万超900万以下 | 23% | 33% | |
900万超1800万以下 | 33% | 43% | |
1800万超4000万以下 | 40% | 50% | |
4000万超 | 45% | 55% |
中小法人の課税所得と税率
課税所得金額 | 実効税率 |
400万以下 | 21.4% |
800万以下 | 23.2% |
800万超 | 36.1% |
個人、法人を問わず、課税所得が低ければ税率は低くなります。
特に、
- 法人の課税所得800万円を境にした税率の違いは大きなものになる
- 高額所得になると個人の税率は法人の税率に比べてかなり高くなる
ことがわかります。
節税対策には必要経費を増やすだけでなく、個人の課税所得が1,800万円を超えてきたら法人設立による節税をしたほうがいいことも上記の表を見れば一目瞭然となります。
不動産投資でも節税をやりすぎると脱税扱いになるデメリット
不動産投資で節税がしたいからといってこの課税所得を減らすことに一生懸命になりすぎて、節税から脱税にならないように気を付けなければいけません。
課税所得を減らすには、
- 家賃収入を減らす
- 必要経費を増やす
のどちらかか、もしくは両方を行うことになります。
そこで家賃収入をごまかして減らしたりしてはダメです。
友達と飲みに行った費用や遊興費などをどんどん必要経費にしていると、つじつまが合わなくなり税務署からお尋ねがきて加算税・延滞税を高額に請求される可能性もあります。
必要経費を減らしていけば課税所得は減るのですがやみくもに課税所得を減らしていくと、
◎課税所得が少ない=利益が少ない
という結果になります。
利益が少なくても構わない、とにかく節税がしたいという場合は、必要経費にできるものは最大限増やしていけばいいことになります。
ただし、赤字決算にすると税金がかからなくなるかわりに新しく銀行融資を受けることが厳しくなりますので不動産投資の拡大戦略とのバランスをとってどのような方向性でいくのかを明確にした上で節税に取り組むのが賢い不動産投資の節税対策となります。
おわりに
- 税金を計算する大もととなる、課税所得と税率の関係を把握して、経費によってどこまで利益を圧縮したいかを検討する。
- 節税ばかりに目が行くと、経費を必要以上に積み上げてしまい、やりすぎると税務署からお尋ねがきて、最悪の場合は加算税や延滞税を請求されるケースもある。
- 課税所得ごとの個人と法人の税率を理解し、経費積み上げ後の課税所得を把握しながら、バランスの取れた節税対策を行う。