任意売却で売却するには当然買い手をみつけなければいけません。
しかし任意売却しようとする物件に心理的瑕疵や問題がある訳あり物件の場合は買い手がなかなか現れず任意売却で売却しにくいということがよくあります。
任意売却で売却できなければいずれ競売になってしまうのですが、
- 自殺や殺人事件や孤独死などがあった事故物件
- 土地が土壌汚染されている物件
- アスベストが吹きつけられている建物がある物件
などの問題がある訳あり物件でも任意売却で売却することはできるのでしょうか?
一般的には自殺や殺人のあった事故物件を好んで買いたいという人はいませんし、土壌汚染やアスベストがあれば調査や改良・撤去費用が莫大にかかってくるのが売却時にネックとなります。
なので上記3つの条件がある不動産は任意売却で売却したくても買い手がつかずに任意売却が不調に終わってしまう可能性もあります。
こういった個別の不動産の瑕疵に関する部分はお金を貸し付けている金融機関でも完全には把握できていないことがほとんどです。
通常の価格では売却しにくいので、任意売却の依頼を受けた不動産会社がきちんと金融機関に対して客観的に事実を示すことで債権者である金融機関と合理的な金額交渉をする必要があります。
任意売却で売却しにくい訳あり物件①:自殺や殺人事件などの事故物件『心理的瑕疵物件』
不動産の中には自殺や殺人事件の現場というような不動産がまれに含まれます。
そのような自殺や殺人事件のあった不動産を一般的に事故物件といいます。
普通に考えれ、ばそのような物件をわざわざ手に入れようとする人はいないように思いますが、不動産の世界は不思議で実際には格安であればそんなことは気にしないという人も実はいるのです。
任意売却の場合は所有者が借金苦に耐え切れず自暴自棄になり自殺をしてしまうことがあります。
そのような場合でも仲介不動産業者が重要事項説明書に自殺物件であることを明記して説明し、通常相場よりも格安な条件になりますが処分できる可能性はあるのです。
購入する人もそのことを理解してそれでも購入しますので、こちらが思っているほど深く考えておらずそれほど気にならないという人もいるくいらいです。
自殺や殺人事件などのあった事故物件は競売事件になるケースが多いのですが、競売でも入札が入りやはり落札されていきます。
ちなみに事故物件の競売の価格は通常の競売評価からさらに3割程度減額されることが多いです。
つまり、任意売却でも同じように通常の3割程度の減額を目安に債権者と協力して進めることができれば、購入したい人が現れて任意売却が成立する可能性が高いということです。
任意売却で売却しにくい訳あり物件②:土地に土壌汚染がある物件
最近の傾向として土壌汚染についてとても厳しくなっています。
ひとたび土壌汚染が発見されると、その土地の浄化に莫大な費用がかかることが見込まれます。
担保不動産を任意売却しようとしても土壌改良費用が土地の価格を上回ってしまうことすらあり、マイナスになってしまうケースもあり得ます。
土壌汚染があるかどうかを机上で調べるには、
- 過去の住宅地図でその土地の履歴を調べる
- 法務局で閉鎖登記簿謄本を取って過去の所有者等の履歴を調べる
などの方法が考えられます。
また、
- 官公庁で土壌汚染対策法5条の指定地域になっていないか
- 水質汚濁防止法に定める特定有害物質使用施設になっていないか
なども調べることができます。
しかし、本格的に調査を行うには専門の業者に依頼するしかありませんが結構な費用がかかります。
土壌調査の専門業者にも2種類あって、
- 土壌汚染を見つけて土壌改良を行うことを主な目的とする業者
- 次の開発のための土壌汚染の調査を主な目的とする業者
がありますので、購入希望者の用途によって使い分ける必要があります。
かかる費用は大幅に1>2です。
任意売却ではできれば工場であればそのまま工場として使う人に売却するなどで、土壌汚染のリスクを知った上で相当な水準で処分するのがベストな選択肢だと考えられます。
任意売却で売却しにくい訳あり物件③:建物にアスベスト使用のある物件
最近ではアスベストの問題がよくニュースでも取り上げられていますので知らない人はあまりいないと思います。
アスベストは発ガン物質なので大きな問題になっているのです。
昭和の時代に耐火被覆材として大量に使用されて経緯があり、古い鉄骨造の建物に使われていることが多く特に注意が必要です。
建物を取り壊す際に飛散して近隣に二次被害があることも報告されており、アスベスト飛散対策をするために建物取り壊しの際に多額の費用がかかる可能性があります。
おわりに
自殺や殺人事件のあった事故物件であっても、相応の水準の価格であれば購入を希望する人は出てくる可能性があります。
現実に競売でそのような事故物件も落札されていっているからです。
ただし競売でも通常の競売評価のさらに3割減の価格水準となることが多いです。
土壌汚染やアスベストのある物件は環境問題に厳しくなっている現在ではそのままでは売却できず、改良や撤去に莫大な費用がかかることが見込まれます。
この場合でもかかるであろう費用を見越して任意売却の価格を調整できれば売却できる可能性はあるといえます。