不動産投資で融資を受ける銀行との取引のスタンスには、
- メイン1行だけと取引し他行を一切排除する『1行取引』
- 何行かと並行して取引する『複数行取引』
がありますが、どちらのほうがいいのでしょうか?
それぞれメリット・デメリットがあるのですが、個人の不動産投資家においては不動産投資のステージ段階にもよりますが1行取引にこだわる必要はないと考えます。
逆に法人の場合はメイン銀行の1行との関係性を深める方が有利に働くことが多いです。
この記事では、銀行とはメイン1行取引がいいのか複数行と取引したほうがいいのか?をご紹介します。
不動産投資で融資を受けたり急な資金需要の際に有利なのはメイン銀行
不動産投資を長年行ってきての1行取引となると取引銀行にはメイン銀行としての融資責任や取引責任が100%ありますので、そう簡単に融資を謝絶するということはできなくなります。
なので不動産投資において融資を取り付けるには1行との取引が長く金額が多いほど有利に働くことは事実です。
もちろんその分双方が責任感を持って取引銀行とのつながりを一層強固なものとするように双方が努力しなければなりません。
そして関係性が深まるほどメイン銀行もそれ相応に融資先の不動産投資の方針に口を挟むようになってきます。
また万が一にもメイン銀行で突然融資を謝絶しますということになるとサブ銀行がないだけに窮地に立たされるという懸念もあります。
通常今まで1行取引だった借入主が突然サブ銀行に融資を打診する場合、サブ銀行となる他行の反応はウェルカムの場合ばかりではないのが現実です。
メイン銀行が融資謝絶となると何か相応の理由や問題でもあったのではないか?と勘繰られることも考えられるからです。
これが、1行取引にこだわることを極力避けた方がいい理由といえます。
通常、不動産投資における一棟収益物件の購入の段階においては
- 1物件
- 1融資
- 1銀行
となりますので取引様態は外見的には1行取引のようになります。
そして2棟目の購入に関しては既存取引銀行に相談するのがセオリーです。
しかし、その1行に固執することなく他行にも相談して問題はありません。
結果的に既存取引銀行から融資してもらうことになるかもしれませんし、2棟目は他行からの資金調達となり2行との取引が始まることになるかもしれません。
確固たる根拠はないのですが、1個人に対する1銀行の融資の上限はやはり無いわけでは無いといえるからです。
不動産投資で収益物件を運用する上で将来的に修繕や改修工事などで相応の資金調達が必要になるかもしれません。
また不測の事態で急きょ資金が必要になる場合もあるかもしれません。
そのときになって他行にその資金調達を依頼するのは銀行的には厳しいといえます。
相談された他行の審査部は当然に
- なぜメインバンクに相談せずに当行に相談するのか?
- メインバンクが支援するのが当然なのではないのか?
とメインバンクで支援を受けられなかった理由を聞いてくるのがセオリーだからです。
さらには将来的にその収益物件を売却することになった場合、関係する銀行が1行である方が交渉もスムーズに進みますし、抵当権関係も複数行が複雑に絡まっていると時間はもちろんのこと売却の前に関係銀行の交通整理の手間暇がかかってくるという問題があります。
なので、結果的にメインバンクだけではなく複数の2~3行との銀行取引を行っておくほうが後々になっても理想的な銀行との取引につながるといえるのです。
メインバンクで引っ張るだけ引っ張るほどそのあとにサブバンクに当たるといろいろ勘繰られて大変になるということです。
それならばある程度初期のころから並行して複数行との取引を持っておいたほうが将来的な規模拡大には有利になってくるということです。
不動産投資ではメイン銀行では融資が難しくても他行では融資OKなことはよくある
例えばメイン銀行で1億5000万円程度の融資残高がある場合です。
2棟目の購入にあたりさらに1億の融資相談を行った際、メイン銀行では融資が困難であったのに他行に融資相談して、1億2000万円の融資が通る場合もあります。
この例の場合では1個人の借入総額が2億7000万円となります。
この個人に対する3億弱の融資を1行だけで背負うにはリスクが重すぎると審査で判断されがちなのです。
それを2行で背負うとなるとその分だけメイン銀行のリスク負担が軽減されます。
そしてメイン銀行的には自行1行だけで引き受けるよりも貸し手責任が緩和されるといえます。
さらに3棟目4棟目と買い増していく場合には一層各銀行とのバランスが重要になってきます。
中小企業貸出ではメインバンクやサブバンクといった概念もあるのですが、不動産投資に関しては融資残高にもよりますが、1物件1融資1銀行が上記のような理由からもスムーズだといえます。
そして物件ごとに1行あたりの融資総額をにらみながら各行の融資残高のバランスを取りながら打診していく形になります。
そしてたとえ取引銀行が1行であっても複数行であっても、それぞれの銀行との信頼関係の構築・維持については十分大切にしていくように努める必要があります。
おわりに
- 銀行取引や銀行融資に関しては、将来の資金調達も想定したある程度の余裕を残した取引であることが望ましい。メインバンク1行に頼り切るのではなくサブ銀行を不動産投資の初期の段階から持っておくと後々まで何かと融通が利くことになる。
- 不動産投資に関してはメインバンクから目いっぱい融資を引っ張るのではなく、1物件1融資1銀行で銀行側の貸し手責任を分散させることで融資を引き出しやすくする方法もある。