
任意売却で不動産を売却するとブラックリストに載るのでしょうか?
また、競売で不動産を処分されるとブラックリストに載るのでしょうか?
そして、任意売却や競売の後に自己破産するともっと重たいブラックリストに載るのでしょうか?
などというご質問は住宅ローン返済トラブルを抱えてしまったご相談者様たちから非常に多く頂きます。
そりゃそうですよね。
これからの人生を考えた時に、ブラックリストに載ったことでもし一切お金が全く借りられなくなってしまえば、かなりの不自由を強いられることになるのは目に見えています。
それだけ多くの人がブラックリストに載るのは嫌だと考えているということですが、ブラックリストに関する様々な情報の中には都市伝説のようなものまであり、何が本当か分からないというところだと思います。
実は任意売却したからブラックリストに載るとか自己破産したからブラックリストに載るとかそんなことはまったくありません。
というかそもそもブラックリストなるものは存在していないというのが事実です。
勘違いの元となっているのが『個人信用情報』です。
俗にいう『個信』というデータベースです。それは確かに存在しています。
- CIC(指定信用情報機関)
- JICC(日本信用情報機構)
- KSC(全国銀行個人信用情報センター)
という3つの個人信用情報を取り扱う機関があり、金融機関やクレジット会社が借入の申込を受けた際にこのデータベースにアクセスして、借入申込者の今までの借入履歴や事故歴などを見て審査を行うということです。
なので任意売却で不動産を売却する際に住宅ローンを延滞したという事実や代位弁済されたという事故歴は個人信用情報には登録されることになります。
延滞歴や事故歴が個人信用情報に登録されていれば次に借入をしようとしたときに金融機関がデータベースにアクセスして審査で落としてしまうので借入ができなくなるというわけです。
なのでブラックリストというものは存在しませんが返済履歴はもちろん延滞や事故の事実は個人信用情報のデータベースに登録されるということは覚えておく必要があります。
任意売却や自己破産をするとブラックリストに載って一生棒に振るのではなく任意売却や自己破産は人生のやり直しの手段です
冒頭でも申し上げましたが任意売却をするからブラックリストに載るとか自己破産したからブラックリストに載るということはありません。
そういうブラックリストというものはそもそも存在しないからです。
しかし個人信用情報というデータベースには借入関係の履歴が全て登録されています。
- 借入をした履歴
- 返済をした履歴
- 延滞をした履歴
- 代位弁済された履歴
- 自己破産や債務整理をした履歴
などが記載されていきます。
なので全く借り入れがないとかクレジットカードを持ったことがないとかいう人を除けば、ほとんどの人が自分のデータベースがありその中に1と2の登録はあるということです。
任意売却した履歴は残らないが延滞や代位弁済されたり自己破産した履歴は個人信用情報には残る
任意売却で不動産を売却する場合は、任意売却に至るまでに住宅ローンの延滞から代位弁済をされている状態になっています。
なので個人信用情報には延滞歴や代位弁済歴が登録されることになります。
そしてこのようなネガティブ情報が登録されると次に借入をしようとしても貸し手側の金融機関がネガティブ情報を見て断ってくるという仕組みになっています。
問題はいつまでこのようなネガティブ情報が登録されるかということだと思います。
基本的に一度登録されたネガティブ情報は消えることはありません。
ただし金融機関が審査の際に個人信用情報のチェックを5~6年分遡って行うと言われています。
なのであまり昔のネガティブ情報は借入の審査では引っかかってこないということです。
任意売却で家を手放しても5年以上経過すれば普通に借入ができるようになったり新しくカードを作れたりするのはこのためなのです。
自己破産したというネガティブ情報は10年以上遡って調べることが多いと言われています。
なので自己破産だけは次の借入ができるようになるまでに少し時間がかかるということになります。
しかし自己破産すれば全ての借入が免責となって債務がゼロになるので借入は必要なくなることが多いです。
任意売却や自己破産をしたとしても復活は可能
ぶっちゃけた話をすると、昔に自己破産をしてから10年以上たってから再度住宅ローンを借りて家を買えたというケースはよくあります。
そして自己破産後に買った家がまたしても任意売却になったというケースもありました。
任意売却や自己破産したら人生終わりくらいのイメージに考えられていることが多いですが、任意売却や自己破産はあくまでも膨らんだ債務を整理して復活するための手段なのです。
そして任意売却や自己破産をしたとしても一定のペナルティ期間を過ぎて復活したらまた普通に借入ができるということです。
逆に言えば無理な支払いをずっと無理して行うより、見切りをつけていったん整理した方がよほど楽になることも多いといえるのです。
考えどころはその見切りをどこでつけるかということだけだと思います。
おわりに
- 任意売却で不動産を売却したり自己破産をするとブラックリストに載ると思われていることが多いが、そもそもブラックリストというものは存在しない。
- 金融機関が借入の審査時に照会する個人の信用情報に全ての人の借入履歴や延滞歴や事故歴などが記載されているだけのこと。
- 個人信用情報に延滞や代位弁済、自己破産などのネガティブ情報が記載されていれば当然借入審査で引っかかることからブラックリスト入りしたと言われているだけのこと。
- 金融機関はネガティブ情報を5~10年ほど遡って調べるためその期間だけ借入が出来ないがそのペナルティ期間が経過すれば復活できる。
- 任意売却や自己破産はあくまでも膨らんだ債務を整理して復活するための手段なので、しんどいままずっとやっていくのか見切りをつけていったん整理するのかが一番の考えどころとなる。
追伸:自己破産すると官報に掲載されるのでブラックリストで10年間は住宅ローンの審査は通らない
任意売却だけなら事故歴だけなので5~7年ほどでまた住宅ローンの審査が通るようになることがあります。
自己破産をすると官報に掲載された履歴が残ってしまうので10年間は住宅ローンの審査は通りません。
なぜなら銀行の住宅ローンの審査は全銀協(全国銀行個人信用情報センター)を必ず照会しますので、全銀協には官報履歴が10年間は掲載されるためです。
ただどちらにしてもこれからの人生でずっと借入ができないわけではありませんので、自己破産して免責を受けて残りの債務を免除してもらった方が復活しやすいのであれば自己破産することも視野に入れるべきです。
あくまで自己破産は債務整理の最終手段であって人生終わりの処理ではないからです。
若い時に事業で失敗したり無理な住宅ローンを組んでいて自己破産したことがある人でも、10年以上たってから住宅ローンの審査が通ったというケースは現実に多くあります。