なぜ銀行預金などの金融資産があるほどローン審査が有利になるのでしょうか?
不動産投資を進めていくうえで、現金投資でない限り銀行などのローンを利用することになります。
ローンを利用するということは銀行から融資をしてもらうわけですから、そのためには金融資産をある程度持っていないことには銀行からは満足な融資は引けません。
保有している預金などの金融資産の金額からどれくらいの価格の収益物件が購入できるかはおのずと決まってきます。
どのくらいの金融資産があれば銀行から融資がどのくらい引けるのかがポイントとなります。
この記事では、不動産投資の銀行融資審査で頭金が物件価格の2割以上あると有利になる理由と頭金に入れなくても良い理由をご紹介します。
不動産投資の銀行融資審査では頭金が物件価格の2割の用意があると強い
金融機関のローンを依頼するのであれば物件価格の最低2割以上の金融資産が必要になることが多いです。
銀行によっては物件価格の最低3割以上が必要と言われるケースもあります。
そのため保有する金融資産の額によって買える物件の額は決まってくるということがいえるのです。
例をあげると下記のようになります。
- 金融資産500万円⇒物件価格1,600万円~2,500万円
500万円/20%(2割頭金相当)=2,500万円
500万円/30%(3割頭金相当)=1,666万円 - 金融資産1,000万円⇒物件価格3,000万円~5,000万円
1,000万円/20%(2割頭金相当)=5,000万円
1,000万円/30%(3割頭金相当)=3,333万円 - 金融資産2,000万円⇒物件価格6,000万円~1億円
2,000万円/20%(2割頭金相当)=1億円
2,000万円/30%(3割頭金相当)=6,666万円 - 金融資産3,000万円⇒物件価格1億円~1億5,000万円
3,000万円/20%(2割頭金相当)=1億5,000万円
3,000万円/30%(3割頭金相当)=1億円
こうしてあらためて見ると驚く数字になっています。
金融資産が500万円の人は普通にいくと2,500万円くらいしか購入できないということになります。
これが実態でありそのために不動産業者も金融資産をどのくらい持っているのかをローンを打診する際の確認で聞いてくるのです。
不動産投資の銀行融資審査で金融資産2割以上を求められる根拠
銀行では金融資産が2割もしくは3割程度の資金がないと審査の土俵にのらない理由は大きくわけて、
- 諸費用が払えるか
- アパートローンで頭金必須の場合がある
- お金を貯めていることを評価する
の上記3つです。
諸費用資金=物件価格の7%
不動産を取得するには物件価格だけでなく様々な費用がかかります。
- 不動産の売買手数料
- 契約書関連の印紙代
- 登記費用(登録免許税、司法書士手数料など)
- 不動産取得税
- ローン設定費用
- 火災保険
などです。
銀行によってローン設定費用は異なります。
このような物件取得に関する諸費用を一般的に物件価格の7%程度で見積もります。
実際には木造は安くRC造が高くなる傾向にありますが、おおよそ7%程度を見積もっておくと間違いが少ないです。
不動産売買手数料だけで、物件価格の3%超を不動産会社に支払うことになりますので7%は想像しやすいと思います。
銀行によっては諸費用分まで融資するオーバーローンもありますが、預金などの金融資産を持たない人に最初からフルローンやオーバーローンは出さないです。
金融資産をたくさん持っているし物件もよいのでそれなら諸費用まで出しても大丈夫だと銀行は判断するからです。
書籍や情報商材やブログやセミナーなどで、派手な宣伝文句などをうたっているものを目にしますが、同じように自分にもできると思い込まないほうがいいです。
アパートローンで頭金必須の場合
アパートローンはパッケージローンと呼ばれ条件が細かく設定されている規格商品です。
条件が一致した場合には融資を引けるのですが、その条件の中に融資額に条件が規定されていることがあります。
どのような条件が規定されているかというと、
『融資金額は物件価格の9割まで』
です。
この条件がついているアパートローンはよくありスルガ銀行なども同様です。
また、物件価格の3割は頭金を入れてくださいと言われる銀行もありその場合は物件価格の7割までしか借りられないことになります。
したがってスルガ銀行から借りる場合には頭金が1割は必須になります。
そして、諸費用=物件価格の7%も必要になりますので、おおよそ物件化価格の2割程度は資金がないと物件が取得できないということになります。
金融資産=お金を持っていることを評価する
お金を持っていることを、銀行はとても評価します。
なぜかというと・・・
- 年収2,000万円あって貯蓄が100万円しかない人
- 年収500万円でも貯蓄が2,000万円の人
がいたら、どちらが銀行からの評価が高いのでしょうか?
一見すると、年収の高い人はとても属性が高い人に見えますが、年収の割には貯蓄が100万円しかできない浪費家と見られます。
対して後者は、年収500万円でも貯蓄2,000万円を貯められる堅実な人と銀行は評価するのです。
そして、もうひとつ銀行の立場から見ると、お金を持っていれば、その分はいつでも返済可能なお金として見ることができるので融資の安全性が高くなるからです。
そのため、もし年収が300万円しかなくても金融資産で2億円持っていたら、2億円以内の物件であれば銀行は融資しやすくなります。
なぜなら、2億の現金で返済が十分に可能だからです。
したがって、銀行がお金を持っていることを評価する基準として、物件価格の2割や3割という金融資産の目安を提示していることになります。
不動産投資の銀行融資審査において金融資産は必ず頭金に入れないといけないか?
金融資産として物件価格の2割や3割が必要と申し上げましたが、頭金として現金を充当しないといけないという話では必ずしもありません。
銀行としては、融資の審査の土台として金融資産をどれくらい持っているかを確認しますがそれを頭金に全額入れないといけないことは全くありません。
そのため、銀行によっては、アパートローンの規定で1割、2割は必須で入れる場合もあれば、金融資産の確認だけしてフルローンで物件価格全額を貸してくれる場合もあります。
手元にある金融資産を1棟目の物件に頭金として投入してしまうと大きく金融資産が減ってしまいます。
もし物件価格の2割も頭金を入れてしまったら物件購入後は金融資産がほとんどなくなってしまい次の物件を購入するまでに4、5年かかってしまいます。
これではなかなか不動産投資を拡大できないので金融資産を減らさないということがとても重要な投資戦略となってくることが理解できると思います。
もちろん、返済額を減らしてリスクを減らしたい投資戦略方針であれば、頭金にあるだけ資金をつっこむことも問題ありません。
おわりに
- 不動産投資において、貯蓄した金融資産があるということは、銀行からの融資を引き出すための必須条件となる。
- 物件購入の際に、概算で諸費用が7%必要となり、物件価格の9割までの融資額という条件のアパートローンも多いことから、物件価格の2割程度の金融資産は必要な計算となる。
- 銀行は保守的でお金を貯めていることを非常に評価する。年収が高くて高属性で貯蓄が少ない浪費癖のある人よりも、年収が低くても貯蓄が多い堅実な人に貸したいという考え方を銀行は根底に持っている。
- 金融資産は必ずしも2割、3割を物件購入時の頭金に充当しなければならないというわけではない。不動産投資を拡大するためには、できるだけ手元の金融資産を減らさないという考え方が必要で、そのために金融資産を銀行に提示することで、フルローンに近い融資を引き出せることがベストな投資戦略となる。