一棟収益の物件資料を見る際に何に気を付けてどこに注目して見ればいいのでしょうか?
一棟収益物件の物件資料を見る際に特に気を付けたいポイントは4つあります。
- 違法建築かどうか
- 物件の積算価格
- 返済比率
- 現況稼働率
の4ポイントをまずは確認し、それで問題がなさそうならレントロールなどの詳細資料を取り寄せたり現地確認に行くのがいいでしょう。
この記事では、一棟収益物件の物件資料必須チェック4項目①違法建築②積算価格③返済比率④稼働率をご紹介します。
物件資料必須チェック項目①:違法建築もしくは既存不適格かどうか
物件資料の備考欄などに、
- 再建築不可
- 建ぺい率オーバー
- 容積率オーバー
などと書かれている違法建築物件は投資初期では手を出さないほうが賢明です。
- 再建築不可の場合・・・建物を取り壊した場合、次の建物を建てられないことを示しており、建物が古くなってくるとどうにもできなくなってしまいます。
- 建ぺい率オーバー・容積率オーバーの場合・・・法律で定められた建ぺい率や容積率を超えてしまっている建物であることを示し、違法建築物として金融機関からの融資が厳しくなります。
- 再建築不可・建ぺい率オーバー・容積率オーバーの違法建築・既存不適格物件は、融資が厳しいことから利回りが高く設定されていますので魅力的に見えますが、上級者になるまでは、購入対象から外しておいたほうがいいといえます。
ただし、大阪では、
- 建ぺい率オーバー
- 容積率オーバー
の違法建築物件に融資をする信用組合なども多く存在しますので、例外的に購入対象としても大丈夫なのですが、大阪以外のエリアに収益物件の購入を予定しているのであればやめておいたほうがいいです。
物件資料必須チェック項目②:物件の積算価格の確認
物件資料の土地の権利・面積から計算します。
- 土地の権利・・・所有権か借地権かは確認します。基本は所有権のみが対象です。借地権は建物の所有者と土地の所有者が異なっていて、建物の所有者が土地の所有者から土地を借りていることをいいます。借地権の物件は利回りは高くなりますが、銀行融資が難しく、地主との法律的な関係が出てくるので初心者は避けたほうがいい物件です。
- 土地の評価・・・路線価×土地㎡(商業系の用途地域の場合は1.1~1.2倍)
その次に建物構造、建築面積、築年数から計算します。
- 建物構造・・・RC造・鉄骨造・木造の確認をします。
- 築年数・・・耐用年数-築年数=残存耐用年数なので、RC造:47年、鉄骨造34年、木造22年の耐用年数は常に頭に入れて、残存耐用年数を計算します。
- 建物面積・・・面積1部屋当たりの面積も重要なチェックポイントとなります。建物面積から部屋数で割り戻し、1部屋当たりの面積を算出しておきます。1Kで15㎡を切る部屋がある場合は、十分にリサーチします。15㎡を切ってくる部屋はかなり狭く感じますので、賃貸付けで苦労する可能性があります。
- 建物の評価・・・再調達価格(RCなら20万円/㎡)×建物面積×(法定耐用年数-経過年数)/法定耐用年数
②-1:積算評価の確認
◎土地の評価+建物の評価>物件の売買価格
になっているかを確認します。
銀行は積算評価が好きです。
積算評価が十分にあると融資が出やすくなります。
都心部ではこれを満たす収益物件はほとんど出ないので、積算評価が売買価格の8割程度でも可とします。
余談ですが、路線価や固定資産税評価は、都心部や駅に近いところだけを高くして、駅から遠い地域や地方を低くし過ぎると税金がとりにくくなることから、差がなだらかになるようになっています。
- 都心部では路線価が低く設定され過ぎていること
- 地方の土地は高く評価されている
ことがままあります。
そこは銀行も理解していますので、都心部に関しては、
『路線価×土地㎡ではなく実勢価格×土地㎡』
で対応している銀行もあります。
物件資料必須チェック項目③:返済比率を確認する
土地と建物を合わせた売買価格が表示されていますが、これはあくまで売主が希望する価格です。
構造、築年数、利回り水準から逆算して買える金額を計算します。
目標となる売買価格が出せないと値交渉のしようがないからです。
構造を確認し残存耐用年数を出す・・・RC造で築20年であれば、法定耐用年数47年-経過年数20年で融資年数は27年となります。
購入したい目標の価格は、上記の融資年数と金利2.5%(元利均等)で借り入れした場合、満室想定家賃収入に対する返済比率が50%以下になっているか確認します。
初心者や地方物件の場合は満室想定家賃収入に対する返済比率は40%内が理想ではあります。
物件資料必須チェック項目④:現況稼働率の確認
レントロールを見て現況稼働率が満室時の70%以下になっていないかを確認します。
通常銀行は稼働率70%以下の収益物件に対して融資基準が厳しくなるためです。
そのため、現況稼働率は90%以上が望ましく、悪くても80%以上の稼働率ラインが欲しいところです。
おわりに
- 物件概要書から、まず投資として問題ない物件かどうかの違法性を確認し、積算価格を出し、積算価格が売買価格を上回っているかを確認する。
- 満室想定家賃に対する返済比率をが50%を下回っていることを確認し、現況の稼働率が80%以上あるか確認します。