賃貸管理・リーシング

空室のリフォームや原状回復への費用をどれくらいかけるかを見極めるための判断基準と考え方

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費用対効果の上がるリフォームや原状回復費用へのお金のかけ方

不動産投資をしていると入退去のたびに空室の原状回復費用がかかりますし、場合によっては大がかりなリフォームも必要になり、いくらくらいかけるのがよいのか悩まれたことはないでしょうか?

空室の現状回復やリフォームはお金をかければかけるだけその部屋は綺麗にはなりますが、当然その費用分だけ不動産投資の収益が圧迫されてしまいます。

空室のリフォームや原状回復にかける費用の見極めはどのように判断すればよいのでしょうか?

リフォームや原状回復費用も費用対効果で判断するのが基本となります。

決して自己満足でリフォームや原状回復にお金をかけてはいけないということです。

この記事では、空室のリフォームや原状回復への費用をどれくらいかけるかを見極めるための判断基準と考え方をご紹介します。

空室のリフォームや原状回復への費用をどれくらいかけるかを見極めるための判断基準と考え方

リフォームは『復旧工事』と』アップグレード工事』を区別するとよいです。

収益物件のリフォームは費用対効果を考えて行うのが基本です。

ここが自宅などの実需不動産との大きな違いです。

実需不動産に関しては、大理石を使った豪華な外国製システムキッチンを入れるなどで自己満足の世界で構いません。

しかし、収益物件はあくまでも投資なので、その工事でどれだけの効果があるかという視点が原則必要となります。

具体的には、

  • 不具合を正常化する『復旧工事』
  • 物件の価値向上を目的とした『アップグレード工事』

の二種類に分けて考えます。

『復旧工事』はマイナスをゼロに戻すもので、『アップグレード工事』は文字通りプラスアルファを考えて、賃料の維持やアップを目的とします。

 

空室リフォームの復旧工事とは?

『復旧工事』とは、水道から水が漏れているとか、網戸が破れているといった不具合の修繕のことを指します。

もっと大規模なものだと、外壁のタイルが剥がれ落ちる寸前で、そのままでは入居者や通行人に被害が及ぶ恐れがあるというような場合の修復工事などになります。

『復旧工事』はその工事をやるやらないという判断ではなく、やらなければ物件の運営に支障が出るものだといえます。

ただし、『復旧工事』においても、費用対効果の視点は重要なのでコストを抑える工夫は必要となります。

 

空室リフォームのアップグレード工事とは?

『アップグレード工事』は『復旧工事』とは異なり、必ず行わなければいけないというものではなく、費用対効果を考えてやるかやらないかを判断する必要があります。

たとえばキッチンを交換する場合に、現状のままと交換した場合とで比較して、どういった効果が得られるのかをきちんと考える必要があります。

賃料アップなどに効果が表れなければ、無意味なリフォームの支出となってしまいます。

工事を行う場合には、まずそれが『復旧工事』なのか、それとも『アップグレード工事』になるのかをしっかり考えたうえで行うことが大切です。

もちろん、『復旧工事』と『アップグレード工事』の両方が混在する場合や、はっきりと線引きできない工事もありますが、リフォームを行ううえで基本的な考え方として、費用対効果を考えることはとても大切です。

 

アップグレード工事を行う場合はかけた費用に対する利回りを常に考える

収益物件の管理を管理会社に任せているオーナーも多いですが、費用対効果=利回りという考え方の認識がない管理会社による不必要なリフォーム工事の提案を受け入れてしまっては、オーナーの利益を損なうことにつながるので注意が必要です。

また、リフォームの業者選定においても、コスト意識がなければ望む効果を出すことはできません。管理会社として、工事内容は各部材単価等も工事業者に指示できる知識が求められます。

工事業者は入居希望者の要望やオーナーの意向をすべて理解しているわけではないので、それらを踏まえて指示を出すことが重要になるからです。

 

利回り計算でリフォームの適切なコストを算出する方法

収益物件の運用は、

◎利益=(売却額ー取得額)+(収入ー支出)

を最大化することが目的です。

リフォームに関しても、この考え方を適用しなければ利益を最大化させることは難しくなります。ここでも費用対効果=利回りという考え方が重要となります。

  • 費用をかけることでどれだけの賃料を取れるか
  • 賃料の下落をどれだけ食い止められるか
  • 売却価格にどれだけ反映されるか

という費用対効果を考えることになります。

収益物件の運用は長期にわたるので、リフォームについても投資基準を持って行う場合と、持たないで行う場合では結果に大きな差が出てくると考えられます。

クロスひとつ見ても、同じようなデザインでも倍近い価格のものもあったりと、探せばいくらでも高価なものが存在したりします。

つまり、賃料上昇分を利回り計算し、物件購入時の利回りより高ければ、施工メリットは高いと判断できることになります。

◎リフォーム利回り=(賃料増加分×12ヶ月)÷工事費×100%

となり、物件購入時の利回りと比較することでリフォーム費用の費用対効果を判断することができます。

たとえば、和室から洋室への変更工事を20万円で行うことで、3000円の賃料下落を抑えることができるとします。

この場合、

リフォーム利回り=(0.3万円×12)÷20万円×100%=18%

となりますので、十分に費用対効果が高いと判断できます。

このようにアップグレード工事に関しても、利回りを考えることで、やるべきものとやる必要のないものの判断が明確になります。

 

広告費とリフォーム費用の効果を比較するのもよい考え方

広告料を出すくらいなら、しっかりとしたリフォームで入居率を高めたい。

できれば賃料も上げたいと考えるオーナーは多いかもしれません。

しかし、リフォーム費用も広告料も入居者を獲得するためのコストには変わりありません。

たとえば、賃料5万円の部屋があったとして、5万円のリフォーム費用をかけるのと、広告料を5万円増やすのとでは、どちらが高い効果が出るのかという問題です。

入居希望者を紹介してくれる賃貸仲介会社の営業マンは、常に報酬額を気にしています。

これは毎月厳しい営業成績を求められているためです。極端なことを言えば、どんなに綺麗な部屋だったとしても報酬が少なければ案内しませんし、少々汚い部屋でも報酬の高いほうに入居希望者を案内します。

実際にも、リフォームをかける選択肢と、リフォームをかけずにリフォーム費用相当額を広告料に充てるという選択肢の中で、リフォーム費用の部分を広告料に充てて入居率を高めた事例は数多くあります。

なので、ただ単にリフォームすればよいということではなくて、リフォームした場合と広告料を上げた場合の費用対効果の比較が重要になります。

あくまでも利益を最大化する視点で支出をコントロールするということです。

また、広告料を多く出した場合は、早期退去の対策も必要です。広告料が多いために仲介会社が無理やり入居者にすすめて入居させるため、短期解約が多くなると考えられるからです。

たとえば、1年以内に入居者が退去となった場合のペナルティとして、仲介会社や入居者への違約金を契約書に付記するなどで、早期退去への対策をしておくべきです。

 

費用対効果を考えれば賃料を下げることも選択肢の1つになり得る

利回りで考えた場合は、賃料を下げるのも費用対効果の高い方法の1つとなります。

たとえば、リフォームをして募集をかけた場合の賃料が10万円で、工事費用は50万円だったとします。

リフォームをかけずに募集した場合、賃料が9万5000円で、リフォームをした場合との差額は5000円というケースです。

この場合、年間賃料が5000円×12ヶ月=6万円の賃料アップとなるので、

◎リフォーム利回り=6万円(賃料アップ分)÷50万円(リフォーム費用)×100=12%

となります。

しかし、この工事費用が100万円かかる場合は、リフォーム利回りは半分の6%になってしまいます。

この際の判断基準として、物件購入時の利回りと同じか、または上回っているかという点に注目します。

仮に物件を12%の利回りで購入したのであれば、このリフォーム工事によって収益性を下げてしまうという判断となります。

この場合は、リフォーム工事を行わずに賃料を5000円下げたほうが収益性の点からはメリットがあるということになります。

50万円以下の工事費用であれば、リフォーム利回りは12%以上となるので、物件購入時の利回りと同水準以上となり、リフォーム工事を行うことで収益性の維持・向上が期待できることになります。

このように、利回りという基準で考えれば、賃料を下げるのかリフォーム工事を行うのかが明確になり、素早く的確な判断を下せるようになります。

 

入居者からの賃料減額交渉も退去の場合の利回りと比較して考えるとよい

契約年数の長い入居者から現在の募集賃料との差額を理由に、賃料減額交渉が入るというケースは今後増えていくと考えられます。

これはインターネットの普及により賃貸情報の検索が用意になったことが原因だと考えられます。

昔であれば、嫌だったら出ていってくださいで済んでいましたが、入居者一人あたりの募集コストやリフォーム費用、原状回復工事の費用を考えると、そうは言っていられないという事情があります。

そのような交渉が入った場合にも、入居者からの希望賃料値下げ幅と退去後のリフォーム費用、新規募集コストを比較することで適切な対応を取ることができます。

ただし、物件の売却を想定している場合、賃料総額が低下してしまえば、売却価格の下落につながってしまうので注意が必要です。

物件売却も含めた利益の最大化という視点から判断する必要が出てきます。

また、賃料交渉や退去などは、発生しないことが一番です。日頃から入居者の満足度を高める努力(入居者への各種提案、物件清掃の徹底、素早いクレーム対応)など、攻めの賃貸経営を行うことで、賃料値下げ交渉や、退去の確率を下げることができます。

 

リフォーム費用を借り入れで行うことも考え方の一つ

リフォーム費用でも大規模で高額なものに関しては借り入れを行うことも方法の1つです。

現在は金利も安く10〜15年の借り入れができます。

これによって手元資金を崩すことなく、賃料収入で返済していけるので、無理なく収益物件の運用ができることになります。

提携リフォームローンも管理会社の力に応じて提供を受けています。

管理戸数、入居率といった管理実績に応じて信販会社は商品を提供します。

つまり、金利や借り入れ年数などは管理会社の力によって決まってくるということです。

取引の多い管理会社には、低金利で長期の融資を提供します。

そのために、ここでも管理会社の力が重要になってくるということがいえます。

 

おわりに

リフォームや原状回復にかける費用の見極めの判断基準として、

  1. 復旧工事とアップグレード工事に区別する
  2. 復旧工事はできるだけコストダウンする
  3. アップグレード工事はリフォーム利回りを計算して、物件購入時の利回りと比較して収益性への影響を考える

を理解することで、利益を最大化することができます。

リフォーム利回りを計算することで、

  • 仲介会社に払う広告料との比較
  • 募集賃料を下げる場合との比較
  • 入居者からの賃料減額交渉との比較

を行うことができ、収益性を考えて費用対効果を高めることができます。

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