不動産投資を行っていく上で儲けである収益に直結する利回りについてきちんと理解できているでしょうか?
不動産投資の収益に直結する利回りの定義については確実に理解する必要があります。
この利回りの定義が理解できないと不動産投資を始められないと言っても過言ではありません。
不動産投資では常識的な用語ですが、間違って覚えていたり正確に理解できていない人も多いです。
利回りについては収益に直結するところでもありますので確実に理解することをおすすめします。
不動産投資における利回りとは?
まず、利回りとは、投資額に対してリターン(収益)がどれくらいあるかを測る尺度のことをいいます。
銀行に行けば、金利が1%とか表示されていると思いますが、預貯金や債券、株式などの金融資産と同じものです。
したがって、不動産投資における利回りは、投資額に対してどれほどのリターンが得られるのかを見極める投資指標となります。
ところが、不動産投資の世界では、利回りの概念が2つあります。
- 表面利回り(グロス利回り)
- 実質利回り(NET利回り)
です。
利回りという投資指標が表面と実質とついてなぜか2つあるのが、不動産投資の面白いところでもあります。
表面利回り(グロス利回り)とはどのようなものか?
不動産投資の表面利回り(グロス利回り)とは、収益物件をあつかっているポータルサイトで表示されている利回りといえます。
通常、会話などで利回りを10%、12%などと話す際には、この表面利回り(グロス利回り)を指していることが多いです。
この表面利回り(グロス利回り)が何かというと、年間の満室想定の家賃収入を物件価格で割った数字のことをいいます。
◎表面利回り(グロス利回り)(%)=年間の満室想定家賃収入/物件価格×100
これは投資する不動産の目安となる利回りです。
なぜ目安となるかなるか?
数式をよく見るといろいろ見えてくることがあります。
よく見ると、分子の家賃収入は満室想定となっています。
つまり、不動産業者が高く売るために空室の家賃想定を上げている可能性もあるということです。
そうなるとこの利回りは、不動産業者がつけた利回りであり、本当にその家賃収入が決まっているわけではないことになります。
したがって、この満室想定が正しいと思って不動産投資すると後で痛い目に遭います。
不動産投資は確定利回りの金融商品ではないからです。
そして、もうひとつ不動産投資では考慮しないといけないことがあります。
それは不動産投資にかかる経費です。
金融商品では経費を考える必要はないのですが不動産投資には大きく経費がかかります。
それも、どの収益物件も同じ経費がかかるわけではないことが重要なポイントとなってきます。
そのため、この経費を差し引いてみないと比較はできないよね、ということになります。
そこで出てくるのが実質利回り(NET利回り)となります。
実質利回り(NET利回り)とはどのようなものか?
不動産投資では、収益物件によって経費が大きく異なると言いましたが、どのような経費があるのでしょうか?
【運営経費(ランニング費用)】
- 空室損失費用
- 管理料
- 修繕積立金
- 固定資産税
- 都市計画税
- 水道光熱費
- リース料
- 出張費用など
この運営経費で、物件の種類で差が出てくるのが、区分マンションや1棟RCマンションです。
区分マンションは管理料、修繕積立金が占める割合が大きく、この経費を差し引いた利回りを見ていかないと収支が合うかは判断できないからです。
簡単に区分マンションでの下記2つの比較事例を見てもらえば分かりやすいと思います。
表面利回り(グロス利回り)と実質利回り(NET利回り)の比較事例①
※物件価格600万円、家賃6万円、管理費1.5万円、修繕積立金2万円
表面利回りの計算は下記となります。
◎表面利回り=家賃6万円×12ヵ月/600万円=12%
これだけを見るとかなり高い利回りですが、管理費と修繕積立金を差し引いた利回りを計算すると、
◎実質利回り=(家賃6万円-管理費1.5万円-修繕積立金2万円)×12ヵ月/600万円=5%
となり、12%から5%に利回りが落ちてしまいます。
表面利回り(グロス利回り)だけ見て12%だからいいなと思ってみたけど、管理費と修繕積立金を除いただけで5%まで下がってしまう結果となりました。
表面利回り(グロス利回り)と実質利回り(NET利回り)の比較事例②
※物件価格800万円、家賃8万円、管理費0.8万円、修繕積立金0.7万円
表面利回りの計算は下記となります。
◎表面利回り=家賃8万円×12ヵ月/800万円=12%
これだけ見ると比較事例①の物件を同じ表面利回りです。
しかし、管理費と修繕積立金を抜いた利回りを算出すると、
◎(家賃8万円-管理費0.8万円-修繕積立金0.7万円)×12ヵ月/物件価格800万円=9.75%
こちらの事例では、管理費と修繕積立金を差し引いても10%近い利回りとなります。
表面利回り(グロス)が同じでも経費の額の違いでここまで収支が変わってくるという良い例だといえます。
これが、表面利回り(グロス利回り)と実質利回り(NET利回り)の差と言われているものです。
いろいろな物件を比較するときに、実質利回り(NET利回り)を出さないと比較できないという意味が理解できると思います。
今回の事例では、簡単にするため管理費と修繕積立金しか経費に織り込んでいませんが、本来の実質利回り(NET利回り)の計算は、他の経費も含まれることになります。
実質利回り(NET利回り)の計算方法
不動産投資における実質利回り(NET利回り)を計算する際に織り込む経費は、
- 物件の運営経費
- 物件購入時の経費
が含まれることになります。
【運営経費(ランニング費用)】
- 空室損失費用
- 管理料
- 修繕積立金
- 固定資産税
- 都市計画税
- 修繕費用
- 水道光熱費
- リース料
- 出張費用など
【購入経費(初期費用)】
- 仲介手数料
- 司法書士手数料
- 印紙
- 登記費用など
運営経費と購入経費を織り込んだ計算式は下記のようになります。
◎実質利回り(%)=(年間家賃収入-年間運営経費)/(物件価格+購入経費)×100
この実質利回り(NET利回り)が計算できると、手取りが正確に計算できるようになります。
物件の利回り比較が容易になり、投資対象の選別に活用できるようになります。
ところが、この計算式は、簡単そうに見えて、実は難しい問題を含んでいます。
実質利回り(NET利回り)計算上の問題点
表面利回り(グロス利回り)よりも実質利回り(NET利回り)は現実的な数字になり、収益物件どうしの比較が容易になります。
しかし、空室損失費用や修繕費用をどのように計算に含めるのか、という難しい問題があります。
立地、間取り、設備、環境、築年数などから予測する必要が出てきます。
とはいえ、この空室損失費用や修繕費用を正確に見積もることは難易度が高く、この計算式に当てはめるためには、相当な労力がかかってしまいます。
そのため、この数式の意味合いは理解しておくとして、計算式通りに、検討が前に進むかまだ分からないような物件のために、実質利回りを計算することはあまり現実的ではないといえます。
実質利回りの経費は、あくまでも予測しないといけない空室損失費用や修繕費用があり、正確な登記費用などの慣れない計算をすることは、ハードルが高いと考えられるからです。
この部分が難しくて、実質利回り(NET利回り)はよくわからないということになってしまうことが多いのです。
まずは表面利回り(グロス利回り)と実質利回り(NET利回り)の違いを、上記比較事例①②の例で理解することが重要だといえます。
おわりに
- 表面利回り(グロス利回り)と実質利回り(NET利回り)の違いについて、表面利回り(グロス利回り)はあくまでも販売側の業者が提示している見込み利回りにすぎないといえる。
- 収益物件の利回りは表面利回り(グロス利回り)で比較することはできず、経費を差し引いた実質利回り(NET利回り)で比較するべきである。
- しかし、実質利回り(NET利回り)を正確に算出しようとすると時間と労力がかかり、すべての経費を正確に出すことも難しいことから、おすすめはできない。