収益物件を取得する際に名義を個人にするのか法人にするのか、はたまた別の誰かにするのかの決め方というのはあるのでしょうか?
取得した収益物件の名義は、収益物件を購入したあとでは簡単に変えることはできません。
収益物件を取得する際の名義としては、
- 個人で取得する
- 法人で取得する
- 家族名義で取得する
などが考えられます。
収益物件を取得する名義によっては、
- 副収入が目的だったのに税金が高すぎて収入が残らない
- 節税が目的だったのに節税にならない
- 生命保険の補完をしたかったのに保険金が受け取れない
などのミスマッチを起こしてしまい考えていた目的を達成できないというリスクがあります。
なので、収益物件を取得する際の名義は各人の不動産投資の目的に応じてきちんと考えて決める必要があります。
この記事では、3つの目的別(①副収入②節税③生命保険物件)物件取得名義の決め方についてご紹介します。
目的が副収入を得たいという場合:取得名義は法人(資産管理会社)か家族がベター
不動産投資の目的が長期で副収入を得ることが目的の場合は、税率の一番低い名義で不動産を取得するべきです。
なぜなら、不動産投資の所得は他の所得と合算されますので、例えば役員報酬などが高額の人は不動産投資での収益物件の副収入と合わせた全体の税率がさらに高くなってしまうからです。
不動産投資での副収入が目的であれば、
- 自分より収入の低い家族(例えば妻など)の名義で物件を取得する
- 個人の資産管理会社で取得する
という方法が考えられます。
特に法人税は引き下げの傾向にあり、実効税率は個人の高所得者よりも低く設定されていますので、不動産投資での収益物件からの利益に対する課税を比較的少なくすることができます。
不動産投資からの副収入を貯蓄にまわしたい場合も同様です。
特に自分自身の個人の収入が高い場合は、物件取得時に簡単に不動産の名義を自分名義にせずに、節税ができて手元にもっとお金を残すことができる方法はないか考えることが大切です。
その上で総合的に判断して自分自身の個人名義にするのであれば構わないのです。
問題なのは、何も考えずに自分自身の名義にして後から税金が高くなったと文句を言っても後の祭りだということです。
せっかく不動産投資で利益を出しても税金を払ってトントンになってしまえば何のために不動産投資をやっているのか悲しくなるのと思います。
なので少しでも節税してキャッシュフローが出るようにトータルでの節税を考えた不動産の名義にしておくべきなのです。
目的が節税をしたいという場合:取得者本人の個人名義か経営会社がある場合は会社名義がベター
不動産投資の目的が節税メインの目的という場合はどうでしょうか?
高額の役員報酬を得ている人が個人の所得を節税したいとします。
この場合は、物件取得者本人の個人名義で取得して減価償却を多く取れる収益物件を活用して不動産投資における節税を図ります。
また、経営している会社の利益を圧縮して節税したい場合は、その会社名義で取得するほうが節税対策になります。
減価償却を用いて利益を圧縮する仕組みは法人も個人と同じです。
サラリーマンで年収600万円以上の給与所得がある人はすぐにトータルで年収800万円を超えてしまいます。
年収800万円を超えたところから個人の税率は上がっていきますのでそれから考えるのではなく最初から考慮しておくべきなのです。
また、相続税の節税の場合は個人で取得し、事業承継のための株価評価の引き下げが目的の場合は会社名義で取得しておいたほうがトータルでの節税対策になります。
目的が生命保険として利用したい場合:取得者本人の個人名義で団体信用生命保険に加入
不動産投資の目的が取得者本人の生命保険としてという目的メインの場合には、物件取得者本人名義で取得し団体信用生命保険に加入できる融資を受ける必要があります。
おわりに
不動産投資のプランニングにおいて複数物件を取得する場合には、それぞれの収益物件においてA物件は法人名義、B物件は個人名義、C物件は家族名義・・・などと収益物件を取得する名義を分散して複数の収益物件を保有することも不動産投資の目的達成に効果的です。
1棟目は個人の節税目的で個人名義、2棟目は会社の節税目的で会社名義、3棟目は長期の副収入と貯蓄が目的で家族名義など、各人それぞれの不動産投資プランにおける複数の目的を組み合わせて収益物件を取得することが不動産投資の目的達成にはとても有効です。
つまり、それぞれの物件の取得名義を不動産投資の目的に応じて分ければよいということになります。
いずれにしても、収益物件の取得を考える際は、その収益物件自体を『何を目的として』取得するものなのかをはっきりさせて、それぞれの不動産投資プランの目的を達成するために最も有利な名義で収益物件を取得することが重要だといえます。