不動産投資を始めたら不動産投資にかかる費用を経費として落とすことができるようになります。
『旅費交通費』も不動産投資で認められる経費の一つです。
不動産投資をしていると自分の所有物件や新たに取得検討する物件を見に行くなどの目的ために、交通費や宿泊代を支出することがよくあります。
不動産投資の目的の不動産は全国津々浦々さまざまなところにある場合が多いので、物件の購入検討として仕事で地方に行くことも必然的に多くなってくるからです。
そういう場合にかかった交通費や宿泊費を旅費交通費として不動産投資の経費で落とすことができます。
ただし税務上の決まりで旅費交通費の経費計上のやり方にも一定のルールがありますのでその税務上のルールを逸脱しないようにだけ気を付けて旅費交通費を経費として損金計上して賢く節税しましょう。
税務ルールを無視して交通費を何でもかんでも公私混同して経費にしているといざ税務調査が入った時に釈明が苦しくなるので注意します。
個人で不動産投資を行っている場合の旅費交通費の経費計上の簡単ポイント
不動産投資にかかる旅費交通費の概要
不動産投資に関わる交通費や宿泊代は経費計上できます。
アパートやマンションの不動産投資家を対象としたセミナーなども、東京や大阪全国各地で開催されていますが、参加するための交通費や宿泊代も経費に計上することが可能です。
全国各地に不動産はあるので物件視察が全国可能なところがポイントとなります。
きちんと物件調査をする前提にはなりますがたとえば帰省する実家の近くの物件調査を行ったら、帰省する交通費を経費に計上することは事実上可能ということになります。
ただし、成果物などが何もなければ不動産事業と関係ない個人的な交通費だと税務署に疑われることもあるので、下記のようなエビデンスをきちんと保管しておくと、税務署から疑いをかけられずにすみます。
- 物件概要書
- 調査した時の調査写真
- できれば調査報告書
- 不動産業者が現地に来た場合は担当者の名刺
これくらいあれば税務署からの疑いの余地はなくなります。
下見をしたあと、実際に購入するかどうかは旅行後にじっくりと考えればいいことです。
交通費は、
- 電車代
- タクシー代
- バス代
- ガソリン代
- 駐車場代
- 高速代
などが経費として計上できます。
宿泊代もビジネスホテル旅館等の代金が経費となります。
交通費と宿泊代は勘定科目としては『旅費交通費』として計上することになります。
交通費の注意点
交通費については領収証が必要です。
領収証の出ない場合は、公共交通機関と自家用車については下記のような対策が必要となります。
領収証の出ない公共交通機関
旅費の精算書をエクセルなどのパソコンで作成しておけば問題ありません。
よく会社の経費精算などに使われているものです。
サラリーマンをしたことがある人は使ったことがある溜めると面倒なアレです。
自家用車を使う場合
所有物件をチェックしたり物件調査に行く場合は、直接不動産投資にかかったとみなされる経費は全額計上できるとされています。
しかし、自家用車の場合は私用と業務用がどうしても混在してしまうため、合理的な基準を設ける必要があります。
たとえば、1月から4月までの走行距離のうち私用と業務用でどれだけ使ったかを走行距離(私用:40㎞、業務用:60㎞)で分けます。
業務用で使った割合が6割であれば、
- 保険代
- ガソリン代
- 駐車場代
- 重量税
なども6割で経費計上します。
適当すぎて按分計算の根拠が正しくないと、つじつまが合わずに税務調査時に指摘される可能性がありますので、きちんとやっておくか、もしくはやらないべきです。
法人で不動産投資を行っている場合の旅費交通費の経費計上の簡単ポイント
個人では、旅費交通費はすべて実費が経費となりますが、法人は出張旅費規程を作成することで、個人よりもさらに節税できることになります。
不動産投資の出張旅費規程の概要
『出張旅費規程』とは、会社での出張旅費の取り扱いに関して、あらかじめ定めた規程のことをいいます。
出張旅費規程で節税とは?
出張旅費規程を作成してあると、出張時に支払う『日当』が経費となり、会社にとっては節税になります。
交通費や宿泊代に関しても、実費ではなく規程に基づいて支払うことで、規程の金額が経費となり、節税対策となります。
規程に基づいた交通費や宿泊代や日当は、役員・社員ともに所得税が非課税となります。
したがって、
- 法人は規程に基づく金額が節税できる
- 個人も非課税で交通費、宿泊代、日当などを受け取ることができる
ことから、二重に節税ができることになります。
不動産事業の場合、新規法人を立ち上げたばかりだとはいえ代表取締役などの肩書になるため、それ相応の宿泊費が規程でき、差額は非課税扱いとなります。交通費も代表取締役であれば、グリーンで規程しても立場的にはまったく問題ないことになります。
出張旅費規程のポイント
対象者は全社員にする
出張旅費規程は社長含め全社員が対象でなければならないと定められています。
また、社長や役員にだけ日当を出すのはアウトです。そして、規程がないのに日当を支給すると、給与手当とみなされ、支給された個人に所得税が課税されます。
出張旅費精算書を作成しそれを保管する
出張した場合は、『出張旅費精算書』を記入、作成して保管しておくことで出張のエビデンスとなります。
特に書式の決まりはありませんが、日時、場所、訪問先と担当者、用件などを記載します。インターネット上にもたくさんのテンプレートが無料で出ていますので、自分で使いやすそうなものを選んでもいいと思います。
ホテルやタクシーなどの領収証は、出張旅費精算書と一緒に保管します。
出張旅費規程の内容としては、
- 目的
- 規程の適用範囲
- 出張の定義
- 旅費の種類
などを定めます。
適正な水準を税理士と打ち合わせながら作成する場合が多いです。
おわりに
- 個人でも不動産投資に直接関わる交通費、宿泊代は経費計上できます。自家用車の場合は私用と業務用を基準を設けて比率を出し、共通の費用(ガソリン代・保険代・駐車場代・税金など)を按分できる。この際の按分計算は、税理士と合理的な根拠を作っておくことが必要です。
- 個人での不動産投資は、全国に物件があるので、楽しく全国に仕事として物件調査をしながら、節税もできるというところがポイントとなる。
- 法人化したら出張旅費規程を作成する。法人で出張旅費規程の金額で節税し、役員や社員は非課税で日当などを受け取ることができ、二重に節税できることになる。