不動産投資で収益物件を銀行融資で増やしていくためには狙う収益物件のイメージをできるだけ鮮明にすることが大切といえるのではないでしょうか?
- 銀行評価の出る物件
- 満室想定家賃に対する返済比率50%以下の考え方
がわかると、銀行融資で物件を増やしていくためにはどのような収益物件を狙えばいいのかがわかってきます。
ローンで収益物件を増やしていくのであれば、
- 銀行が好む融資基準をクリアしながら
- キャッシュフローを出していく
ことを狙うと、購入検討できる物件の条件は自ずと絞られてきます。
この記事では、銀行融資で不動産投資の規模を拡大するために狙う収益物件はローンで有利なRC造かS造の中古物件が王道であることをご紹介します。
銀行融資で不動産投資の規模を拡大するために狙うとよい収益物件
不動産投資で規模拡大に有利な物件①:中古RC造
- 構造・・・RC造もしくはSRC造
- 築年数・・・平成築もしくは築20年程度以下
- 利回り・・・8%~
- 物件価格・・・1億~2億程度
多くの不動産投資家が最も狙っているゾーンになります。ダントツで人気があります。
銀行融資には2億以上と5億以上で基準が厳しくなるラインが段階的にありますので、2億までの物件価格が融資付けしやすい反面最も人気のある価格帯になります。
不動産投資で規模拡大に有利な物件②:新築RC造
- 構造・・・RC造もしくはSRC造
- 築年数・・・新築(残存耐用年数47年!)
- 利回り・・・6%~
中古のRC物件より難易度が高くなります。
土地から仕入れて建物を建てるので土地を見たらどれくらいの建物が建てられるか、収支が合うかをはじき出す必要があります。
購入時に土地を先に決済する必要があるため、建物建築費のローンでつなぎ融資を受ける必要も出て来ます。
なので土地持ちの方以外はファイナンスアレンジメントの難易度が格段に上がります。
新築でRCが建てられて利回りがあるていど取れれば、返済比率から見てもキャッシュフローが出やすく、新築のため建物の問題が当面出ないというメリットがあります。
また将来的に売却する際も、残存耐用年数が多く残りやすい(築20年で売却しても残存耐用年数27年!)ので、次に買う人が融資を引きやすく、当然好条件にて売却しやすくなります。
デメリットとしては、スキルが求められることと、土地を先行して買うことになるため、土地の返済を建物が建つ前から払っていくことになり資金に余裕がないと取り組むことが難しいことです。
不動産投資で規模拡大に有利な物件③:新築鉄骨造
- 構造・・・鉄骨(S)造
- 築年数・・・新築(残存耐用年数34年!)
- 利回り・・・7%~
新築RCと同様に難易度が高くなります。
RCよりは若干安くなるのはメリットですが、デメリットも多いことに気を付けたほうがいい物件です。
RCであれば築15年経過しても残存耐用年数が32年残っているため次に購入する人も30年ローンで借り入れすることが十分に可能です。
鉄骨造で築15年経過すると残存耐用年数が19年となるため、次に購入する人のローン期間も19年程度と短くなります。
そのため、買い手からするとローンが19年しか組めないので高い利回りを要求することになります。
その結果買い手側の要求利回りが上がるので当然ながら物件価格は下がることになります。
RCは次の購入者が30年ローンを組める範囲だと、エリアにもよりますが、新築時と同じ程度の利回りでも売却できる可能性があります。
その他の木造などの構造の収益物件はどうなのか?
その他の構造の物件をいろいろシミュレーションしてみても、なかなか合うものが少ないのは計算をしてみるとわかります。
※残存耐用年数19年=ローン年数19年、借入金利2%とします。
- 返済比率50%水準・・・12.6%
- 返済比率40%水準・・・15.8%
利回り12.6%ということは・・・返済比率50%水準でもぎりぎり市場に出るか出ないかです。
鉄骨造で15%以上あると、法人の節税用等のニーズもあり川上で売買が終わってしまい市場には出てこないでしょう。
以上から鉄骨造の築浅物件は候補になり得るのですが市場には出てきににくい水準といえます。
木造はそもそもの耐用年数が22年しかないため長期での投資対象にはなりにくいのですが、新築時のみは不思議と30年のローン付けが可能な銀行が多いため新築木造投資も可能ではあります。
ただし、売却時に残存耐用年数が短くなるため、買い手の要求する利回りが高くなり物件価格は下がりがちなので、出口戦略まで見た場合のトータルのリターンがどうしても低くなってしまいます。
新築収益物件が中古収益物件より銀行融資を引きやすい理由
新築物件と中古物件とでは、銀行の融資の通りやすさに違いはあるのでしょうか?
新築物件と中古物件を比較して、単純に融資の稟議書を書く銀行担当者の立場からすると、新築物件のほうが稟議自体は書きやすいというのが本音です。
中古物件よりも新築物件のほうが銀行担当者の稟議作成が楽です。
新築物件と中古物件を比較すると、実際に稟議書を書く銀行担当者の立場からすると新築物件のほうが稟議自体はシンプルで書きやすいようです。
新築物件の場合は設定家賃も入居率もある程度は多めに見積もることもできるのですが、中古物件では現状のレントロールがすでにあるので入居率や家賃設定を引き上げることはどうにも困難だからです。
それは、現状の入居率や設定家賃を引き上げて家賃収入をアップするだけの現実性のある根拠を稟議書に記載しなければならないことになります。
例えば、
- 入居率が悪いのは売却を想定していたため募集活動を止めていた
- 社宅として数室をまとめて借り上げされていたが最近解除になり一時的に入居率が下がった
- 今月契約更新予定の部屋が解約の申し出があり、来月からの入居者では現在よりもいくら高い家賃月いくらで契約予定である
など、中古物件では現状よりも評価を上げようとするととにかく理由付けが必要になってくるということです。
不動産融資に明るい担当者や不動産融資に積極的な銀行支店であれば、なにかとアドバイスをくれてこういう理由で本部審査に掛け合いますという感じでなんとか稟議を通そうとしてくれますが、不動産融資に明るくない担当者や銀行支店ではそうはいかないことが多いです。
新築であれば本音のところは、
『新築物件は入居者募集を始めてみなければ実際にいくらの家賃でどれくらいの入居率になるのかなんて誰にも分からない』
というものが根底にあります。
今までの履歴が無い分新築物件のほうが銀行担当者にとっては稟議が書きやすいともいえるでしょう。
そして、稟議が書きやすいということは銀行担当者も自分の融資成績のために融資が通るように本部に対して頑張ってくれるということにつながります。
中古物件で満室想定ではそこそこ良くても現況の入居率で引き直すと審査で落ちてしまうということはあり得ますが、新築物件の場合はあまりありません。
おわりに
- 市場で最も可能性のある物件の候補としては、中古RC造物件が狙うべきターゲットとなります。中古RC造物件は多くの投資家が探していて競争が厳しいところではありますが、ここで勝負していくのが不動産投資の王道といえる。
- RC造や鉄骨造の新築は、土地から購入し建物を建てるのですが、建物を建てる工務店が予定通りに建設してくれるか、倒産しないか、建物が出来上がって入居して家賃が入ってくるまで時間がかかるためにそれまでの資金繰りが問題ないかなど、中古のように買ってすぐ収益が上がらず注意すべき問題も多くなる。
- 他の構造や築年数がダメなのではなく、キャッシュフローが出にくいので初期や投資拡大期にはおすすめできないということ。残存耐用年数の短い物件は不動産投資が拡大した後の節税対策の対象物件にはなり得る。
- 新築物件と中古物件での銀行融資の通りやすさの違いは、銀行の担当者が稟議を書きやすいという部分で新築物件に軍配があがる。
- 中古物件は今までの履歴があるために現況の入居率や家賃設定にそれなりの説明が必要になってくるので稟議書が複雑になりやすい。
- 中古物件の場合は上記の理由から不動産融資に明るい担当者や支店であるかどうかで融資の通りやすさがかなり変わってくるのが実情となる。