不動産管理の委託をした不動産管理会社に対して不動産管理会社の選定を間違えたなと思った場合はどうすればいいでしょうか?
不動産管理会社に対してこちらからいろいろ要望を出してみてそれで希望に近づけば継続すればいいと思います。
しかしながらいくら要望を出しても改善の見込みがなくどうにもならないような場合には、思い切って不動産管理会社を変更する決断も不動産投資家としては必要な判断となります。
不動産管理会社選定時にいろいろ気を付けて検討しても、任せてみなければ分からないところもたくさんあるのでやむを得ない部分もあります。
一番いけないのは不満を抱えたままずるずると継続して賃貸運営のクオリティを落としてしまうことです。
それはすなわち不動産投資事業全体の収益を落とすことに直結するからです。
不動産管理会社を変更するときにはいくつかの問題点はありますが、恐れず不動産管理会社を変更していくことが不動産投資上の判断として必要ならば遅滞なく行うことです。
ポイント①:管理会社を変えると入居者に振込口座変更の労力がかかり嫌がられる
新しい不動産管理会社へ変更するときは、現在居住している入居者に家賃振込先口座の変更をお願いすることになります。
不動産管理会社変更時に入居者への負担となるのはこの作業だけですが、住んでいる側からすると不動産管理会社が変更になるのは心理的に負担となります。
- サービスが低下するのではないか
- いろいろうるさく言われるのではないか
などという感じです。
そのため、不動産管理会社変更に関わる家賃振込口座変更の連絡をした後退去につながるケースもあります。
入居者へのサービス向上ひいては不動産投資事業の収益力を上げる為に不動産管理会社を変更するのに、そのために入居者が退去してしまってはかえってダメージが大きくなり本末転倒になってしまいます。
解決策としては、新しい不動産管理会社変更通知をするときに現行より良くなるメリットを記載して入居者が安心できるようにします。
例えば、
- 清掃を月2回であったのを週1回に変更するのでより快適に過ごせます
- 今までなかった緊急時の駆けつけを24時間対応のサービスに変更します
など入居者のメリットとなることというようなことです。
また、
- 家賃振込先口座の変更を無事完了したら商品券1,000円分をプレゼントします
などというような入居者に対するサービスを打つとより効果が高くなります。
これだけでも、不動産管理会社の変更をした際の入居者の心理的な負担を大きく軽減できます。
入居者のことを思って管理会社を変更していると思ってもらえるようにすることです。
ポイント②:管理会社を変えると家賃保証会社との契約が切れる場合がある
家賃保証会社の契約が切れる場合があるのが不動産管理会社変更時の最大のデメリットであり問題点だといえます。
管理会社が指定している家賃保証会社の規定次第ではあるのですが、新不動産管理会社へ変更するときに引き継げない場合があります。
こうなると滞納補償としての家賃保証が切れてしまうことになるのでオーナーにとってここが一番の悩みどころになるのです。
解決策としては、
- 事前に移管可能な家賃保証会社を探して利用しておく CASAなどの家賃保証会社では、不動産管理会社が変更しても引き継ぎは可能となりますので事前にこちらの保証会社を利用しておく。
- 新たに家賃保証会社に入ってもらう ややハードルが高くなるのですが、不動産管理会社変更後に新たに保証会社に入ってもらいます。ただ、契約の途中段階で保証会社が加入をOKするところはほぼないので、契約を新規に作成し保証会社の審査を通す方法があります。この方法の場合、入居者への労力が多大にかかることから、保証会社費用はオーナー負担で進める必要があります。
- 最終的には空室が多い場合などは、リスク覚悟で保証なしで進める場合もあります。もしもの際に弁護士などと連携して迅速に回収できる段取りをしておくなどのリスク回避をしておけば、既存入居者が少なければそれほど恐れるような状態になることも少ないともいえます。
ポイント③:旧管理会社の解約通知後から解約までの間の動きが悪くなる
オーナーからの解約通知後から解約までの間の動きが悪くなる管理会社があるようです。
解約通知日から実際の解約までは概ね3ヵ月間程度はありますので、その期間に関してまともに募集活動をしなくなる可能性はあります。
また、清掃や点検作業なども手を抜く可能性はあります。
しかし、よく考えて頂ければわかるのですが、そのような嫌がらせをする不動産管理会社は、所詮その程度のレベルの低い会社だったと見限り、切り替えができてよかったと考えてよいと思います。
程度の低い不動産管理会社は、募集業務の質も低いし、フォームコストなども高いことが多いからです。。
解決策としては、
- 募集活動は、新不動産管理会社で積極的に行ってもらう。先日付でも管理委託契約があれば、問題なく募集活動ができる。
- 旧不動産管理会社がどこまで非協力的になるかによりますが、新不動産管理会社が決めた部屋については、不動産管理会社切り替え日までは、旧不動産管理会社で契約書を作成する必要がありますが、これを新不動産管理会社で契約を結ぶことができます。その時は、旧不動産管理会社には、決まったその部屋については、『オーナー使用』であると告げておきます。これは、『オーナー使用』にすると、その部屋については何もしなくてよいというメッセージになるからです。その場合、新不動産管理会社に部屋単位に管理をお願いしてもいいですし、一部の部屋に関してのみ自主管理のような方法を2ヵ月から3ヵ月だけ経過措置として行うこともできます。
- 入居している方を追い出して別物件に移動させるような悪質なことをする旧不動産管理会社の可能性がある場合は、解約通知を送る際に、『既存入居者へ退去を促すようなことをした場合には、法的措置を講じる』旨を記載しておいたほうが念のため安心です。
ポイント④:管理会社変更の時期は繁忙期を避ける
不動産管理会社変更の時期は、繁忙期は避けたほうがいいです。
賃貸仲介の繁忙期は、
- 1月~3月
- 9月~10月
と言われています。
新不動産管理会社で契約をスタートする日は、繁忙期を避けて設定するとスムーズにことが運びやすくなります。
新旧両方の管理部門が忙しいとスムーズな引き継ぎに支障が出やすいからです。
- 4月~5月に解約通知、7月~8月に新管理委託スタート
- 7月~9月に解約通知、11月~12月に新管理委託スタート
くらいがスムーズに引き継ぎしやすいですし、入居者の入れ替わりも落ち着いている時期に当たります。
おわりに
- 現在の管理会社の解約を決めてから、新管理会社への引継ぎを行い管理をスタートするまでには、既存入居者に対して家賃振込口座の変更手続きをしたり、家賃保証会社の契約が切れる場合は新たな家賃保証会社と契約しなおしてもらうなどの労力がかかりるが、どれも解決できる問題と考える。
- 空室や収支を改善すると決めたら、恐れずに管理会社の変更にトライしていくほうが、ダメだと分かっていることをずるずると続けていくよりも結果的に良くなることが多いし、実際に思っているほどリスクがあることでもない。