スルガ銀行の一件からスルガ銀行に限らず全ての銀行で不動産投資案件への融資姿勢が厳しくなっているのはなぜなのでしょうか?
そしてこの融資姿勢の厳格化はいつまで続くのでしょうか?
スルガ銀行がかぼちゃの馬車などのシェアハウスに対する融資において、不動産業者がエビデンスを改ざんしていることを知っていて不正に融資を実行し続けていたということが大問題となりました。
そしてその不正融資疑惑はかぼちゃの馬車などのシェアハウスに限らず全ての不動産投資への融資案件にまで広がっていきました。
最終的にはかなりの部分で不正な融資が横行していたという金融庁の立ち入り調査結果となり、スルガ銀行には重い業務停止処分が科せられました。
銀行をはじめとする日本の金融機関は金融庁のおひざ元で横並び体質であり、スルガ銀行が金融庁や世間に叩かれまくっているのを横目でみながら自らの融資姿勢を顧みているはずです。
スルガ銀行がリタイアしたからじゃあうちの銀行がバンバン不動産投資案件に貸し出そうとは絶対にならないということです。
逆に現在では全ての金融機関が戦々恐々で、西武信金や群馬銀行などスルガ銀行問題がフォーカスされた後も積極的に不動産投資案件に融資していた金融機関に金融庁が立ち入り検査に入るという状況になってきています。
なので今回の件で特に不動産投資案件に対する融資姿勢の厳格化はしばらく続くと考えられています。
この記事では、スルガ銀行が業務停止期間終了に伴って不動産投資向け融資を再開するが融資の厳格化は避けられない見通しとなっている現実についてご説明します。
目次
スルガ銀行が業務停止期間終了に伴って不動産投資向け融資を再開するが融資の厳格化は避けられない見通しは本当か?
スルガ銀行が業務停止処分明けに不動産投資向け融資を再開すると発表
金融資産の改ざんなどで不正融資が多数発覚したスルガ銀行は金融庁からの業務停止命令期間の最終日となる4月12日に不動産投資向け融資を5月中旬に再開すると発表しました。
スルガ銀行が不動産投資向け融資を5月に再開するといっても、いままでの評価基準での貸し出しはありえないので期待はできないと思われます。
つまり昨年からの金融機関の全般的な融資厳格化は相変わらずの状況が続くと想定されます。
某都銀では今までレオパレスへ物件への融資が多かったことから今年は不動産投資への融資は難しくなってしまったと言っている担当者もいます。
神奈川の某地銀も評価基準を変更して自己資金が2割以上出せないと本部承認が下りないという融資厳格化への仕組みに変更されたとお聞きしています。
自己資金2割というと、
- 物件価格が1億円で自己資金が2千万円必要
- 物件価格が2億円で自己資金が4千万円必要
ということになりこれでも収益物件を買えるという人は一気に減少します。
ひとつの収益物件を買うのに何千万円も出していたら資金効率が悪すぎると考えるからです。
収支が回っているのなら自己資金をせめて物件価格の1割程度にしないと物件価格への影響が大きくなってしまいます。
金融庁が引き締めを指示すると物件価格が下がるのはいままでもさんざん繰り返されてきています。
なので収益物件の価格は融資次第、金融庁の金融緩和次第ということです。
決して景気の影響ではないのです。
不動産投資への融資姿勢厳格化を主導しているのは都銀
何度もこの光景をみていますが物件価格を主導しているのは都銀の融資厳格化が原因です。
某都銀はリーマンショック前には年収500~600万円の人にも1億越えの融資をしていたことで有名です。
そしてアベノミクスの2016年ころはスルガ銀行と並び不動産投資への融資ではかなりの積極姿勢でした。
その某都銀の担当者に話を聞きましたが、現在ではサラリーマンへの融資はストップしており、たとえ現預金が2億あっても相続対策でないと融資が厳しいというありさまです。
4月からは自己資金3割の原則も徹底しているとのことでほとんどの不動産投資家が使うことが難しいレベルまできています。
その担当者が言うには不動産投資への融資をする銀行がなくなり収益物件の価格が下がってきている中で、自分の銀行が積極的に融資をしていいのかという点でも否定的にならざるを得ないということです。
しかしながらよくよく考えるともともと自ら価格を吊り上げそして融資姿勢を厳格化させて自ら価格を下げているようにしかみえません。
収益物件の価格は間違いなく下がるので安く仕入れるチャンスではある
とはいえこの融資の厳しい時期に収益物件を取得できれば安く仕入れることができるのは間違いありません。
自己資金はある程度必要ですが融資をする銀行もまだ残っています。
担当者ごとの強弱も以前より強くなっています。
同じ銀行でもある支店ではアパートローンを縮小しているが、他の支店ではアパートローンも以前の通りやる支店もあります。
したがってある支店でNGといわれたからといってすぐに諦める必要はないということです。
他の支店に持ち込めばやる気のある担当に出会える可能性も残されています。
今までは不動産業者に融資を任せていれば融資がついていましたが、銀行が不動産業者を警戒していて出入り禁止になっているところも多くあるので注意が必要です。
自力で融資付けするノウハウと行動力がますます必要な時代になっていくと思われます。
自ら銀行を回って融資を引き出せるところを辛抱強く開拓する必要があるということです。
もしくは信頼できる専門の不動産業者の担当者に依頼するのが一番安心です。
融資が付きやすい区分収益を売る不動産業者が増えてきている
そして気を付けて欲しい点としては昨年から不動産業者が1棟ものよりも区分収益の取り扱いに力を入れるようになっています。
それは、単純に一棟収益ものより融資が付きやすいからです。
不動産業者にとっては融資が付きやすい=売れやすいとなり、売れれば仲介手数料や転売差益が懐に転がり込むからです。
いくら高額の一棟収益を取り扱っていても売れなければ一銭にもならないということです。
個人の収入がある程度高い人は、区分収益マンションが買いやすくなっています。
しかし区分収益マンションでキャッシュフローを得るのはかなり難しいので気を付ける必要があります。
区分収益マンションは、管理費・修繕積立金の割合が高くなるため、それらが家賃の3割以上を占めることもあります。
こうなるとキャッシュフローはほぼ出ないと予測できます。
たとえ現金で買ったとしてもキャッシュフローはたいして出ないというのが現実です。
区分収益マンションの仲介が今後最も伸びると思いますが、キャッシュフローベースで成長したい人は融資を受けて金融機関から借りてまで投資する価値はないと思います。
融資が付きやすくなっている今では完全に区分収益マンションが高値になっています。
一棟収益不動産投資に対しての融資が厳しくなると区分収益マンション投資や海外不動産投資などが流行ります。
しかしキャッシュフロー投資としては区分収益マンション投資や海外不動産投資は難易度が高いといえます。
区分収益マンション投資で成功するには現金購入がベストです。
しかしいまだに区分収益マンションの価格自体が上がっているので単に融資がつくというだけで購入すると後々キャッシュフローが回らず失敗する可能性が高くなるので注意が必要だと言えます。
とにかく不動産業者が熱心に勧めてくるから購入するということではなく自分の頭で考えて取るべきリスクは取って不動産投資を行うリスク管理が必要だということです。
まとめ
- スルガ銀行が不動産投資への融資を業務停止処分が明けたのちに再開すると発表しているが昨今の不動産投資への銀行の融資姿勢の厳格化の流れはしばらく止まらないと考えられる。
- フルローンやオーバーローンはほぼ不可能で自己資金を物件価格の2割以上準備する必要がある銀行がほとんどとなってくる。
- 融資が付きにくくなるので一棟収益物件の価格は下がってくる。
- ある程度の現金と条件の良い融資を引き出すことができれば逆にチャンスとなる場合がある。
- 融資が付きやすいからといって不動産業者に言われるままに区分収益マンション投資や海外不動産投資に安易に手を出すと失敗する可能性が高い。
- 知識を持って自分自身でリスク管理を行って取るべきリスクは取りながら不動産投資を行う本来の投資市場へと向かっている。