任意売却

土壌汚染対策法の4つのポイントと任意売却における留意点

土壌汚染対策法のポイントと任意売却における留意点

平成15年2月に施行された土壌汚染対策法をご存知でしょうか?

土壌汚染対策法の施行後、日本の不動産取引の慣行は大きく変わりつつあります。

それに伴って任意売却にも土壌汚染対策法のさまざまな影響が現れてきています。

この記事では、土壌汚染対策法のポイントと任意売却における留意点をご紹介します。


土壌汚染対策法の4つのポイントと任意売却における留意点

土壌汚染対策法の4つのポイント

ポイント①土壌汚染状況調査

特定有害物質である鉛、ヒ素、トリクロロエチレンその他の物質を製造し、使用し、処理にかかる工場または敷地であった土地の所有者や管理者または占有者は、その特定施設を廃止したり用途を変更する場合に、汚染の状況についてその結果を都道府県知事に報告しなければならないとされています。

また、都道府県知事は土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査を、その土地の所有者等に調査させてその結果を報告させることができると定めています。

 

ポイント②指定区域の指定

都道府県知事は土壌汚染状況調査の結果、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないと認める場合には、当該土地の区域をその土地が特定有害物質によって汚染されている区域として指定するものとし、その旨を公示し指定区域の台帳を調整すると定めています。

 

ポイント③土壌汚染による健康被害の防止措置

都道府県知事は土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康にかかる被害が生じまたは生ずるおそれがあると認めるときは、その土地の所有者等に対し相当の期限を定めて当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他必要な措置を構ずべきことを命ずることができると定めています。

 

ポイント④土地の形質の変更の届出および計画変更命令

指定区域内において、土壌の採取その他の土地の形質を変更しようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の14日前までにその方法等を都道府県知事に届け出なければなりません。

 

土壌汚染土地の任意売却における留意点

売買価格に及ぼす影響

銀行をはじめとする金融機関債権者にとって最大の担保は不動産です。

土壌汚染問題は担保価値を下落させる要因となり得るという点で大きな問題となっています。

汚染された担保不動産の評価としては、汚染のない評価から土壌浄化費用を控除し、さらにそこから心理的減価を控除するのが一般的です。

心理的減価というのはたとえば、

  • 土壌汚染のない土地A
  • 土壌汚染はあったが土地改良された土地B

が同じ価格であったなら、心理的にどちらを選ぶかという問題で、ほとんどの人は土地Aを選ぶと想定され、心理的な減価が明らかに土地Bには存在するという考え方です。

土地浄化費用は、その汚染状況や浄化工事の方法によりピンキリですが、莫大な費用になると想定されます。

場合によっては不動産の素地評価を超える場合もあり、そうなると担保権者への配当はなく、任意売却が成立しないケースもあり得ます。

売買価格の妥当性の検証については、不動産鑑定評価書を取るなど客観的に評価できる資料を準備する必要がある場合が多いです。

土壌汚染に関する不動産の鑑定については取引事例が徐々に蓄積されてきていることから信頼度は高まっていると考えられます。

また売買価格の妥当性の根拠として競売を実行してみるというのもひとつの方法であるとも考えられます。

最近では競売事件においても、土壌汚染があるかもしれないので、その調査をするため競売予納金の追加を求められるケースもあり、競売の評価にも土壌汚染コストが加味される時代になってきたといえます。

 

調査の方法および費用

任意売却物件を現地調査することは大切なことですが、土壌汚染に関して言えばそのポイントは、

  1. 過去の土地の使用状況に関する近隣での聞き取り
  2. 登記簿謄本等での過去の履歴調査

などがあげられます。

しかし現実問題としては、素人が調査を行うには無理があるので専門の業者に依頼するのが確実な方法といえます。

一般的に調査の段階は、

  1. フェーズ1(地歴調査)
  2. フェーズ2(地質調査)

に分けられています。

フェーズ1の地歴調査は、

  • 行政期間の窓口などでの調査
  • 不動産登記簿による調査
  • 過去からの地図や写真による調査
  • 近隣へのヒアリング調査

などを行います。

そこで分かるのは汚染可能性の有無です。

その費用はケースバイケースですが、目安としては10〜50万円程度です。

フェーズ2の地質調査は立ち入り調査で地質のサンプルをとって汚染の程度を調査します。

費用は汚染状況や規模、調査のレベルや方法にもよりケースバイケースですが、目安としては100〜500万円程度です。

実際の任意売却ではこれらの調査費用について諸費用として控除するケースがありますが、任意売却に本当に必要な経費なのかをよく吟味する必要はあると考えられます。

 

土壌汚染土地の任意売却の留意点

【1.不動産所有者の協力】
任意売却の場合、不動産所有者と担保権者である銀行等との関係が悪化しており、土壌汚染調査の立ち入り調査をすることが困難な場合があります。
不動産所有者に対しては、任意売却をすることで競売に比べて債務が大きく減るというメリットをよく説明し理解してもらう必要があります。
また、土壌汚染の調査費用を不動産所有者が別途捻出することは、現実的にはあり得ません。
任意売却により担保権者にとって経済的利益が大きい場合は、調査費用を不動産の売買代金から拠出するなどして任意売却を進める必要があります。

【2.すべてが汚染土地ではない】
土壌汚染対策法が一人歩きをし始めて、すべての不動産売却に土壌汚染の調査が義務付けられるかのような錯覚に陥ることがあります。
任意売却を行うほとんどの物件については土壌汚染対策法は関係がありません。土壌汚染浄化ビジネスが過熱していることもあり注意が必要です。
土壌汚染対策法の指定地域については、各地域を管轄する自治体の指定区域台帳を閲覧して、任意売却物件が指定区域の所在地に該当するか否かを確認します。
指定区域については、インターネットでも検索確認ができます。

【3.不動産媒介業者の調査義務】
不動産媒介業者は土壌汚染等の物的瑕疵についてどの程度までその調査義務を負うのかというと、専門分野に関する特段の注意義務までは課されていないものの、ある程度の調査義務は課されているものと考えられます。
たとえば、不動産登記簿による記載事項の変遷や、近隣の聞き取りによる地歴調査、行政機関の窓口での調査程度の調査は要求されていると考えます。
宅地建物取引業法も改正され、土壌汚染対策法上の指定区域内であるか否かを調査して、その指定区域に該当する場合は重要事項として説明しなければならないとされています。

【3.担保権者としての責任】
銀行等の担保権者は、貸金の担保として抵当権等の担保を設定しているだけにすぎず、土壌汚染の責任を取ることはありません。
土壌汚染対策法においても、土地の所有者や管理者または占有者に義務がある旨明記されており、担保権者にはその義務がないことは明らかです。

まとめ

土壌汚染対策法が施行されてから、不動産取引においても土壌汚染に対する調査義務が課せられることになりました。

宅地建物取引業法でも重要事項説明に明記するように改正されています。

基本的な考え方として、売主買主当事者双方が契約の目的を達し得るように配慮し、事前に当該物件に関して契約の目的を達し得ないような瑕疵がないかどうかについて調査し、依頼者に不測の損害を生じることのないよう誠実に業務を行う媒介義務に沿って行動することでトラブルを未然に防ぐ努力義務が不動産会社にはあるということです。

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