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家賃滞納への考え方と家賃滞納督促から立ち退き裁判までの全手順

家賃滞納は空室より悪い!早期解決する督促~訴訟まで全手順

たとえ『うっかり忘れ』であっても、家賃滞納に甘い対応をしていないでしょうか?

家賃滞納は、

  • 不動産投資のトラブルの中でも発生率が高い
  • オーナーの損失が大きい
  • 滞納中で未回収であっても売上になり課税される
  • 回収に時間も費用もかかる
  • 回収できずに明け渡し訴訟になればさらに時間と費用がかかる

などと、ロクなことがありません。

家賃滞納は空室よりも悪いと言われる所以です。

家賃滞納が起きないのが一番ですが、起きた場合はできるだけ早期の解決に動かなければなりません。

この記事では、家賃滞納への考え方と家賃滞納督促から立ち退き裁判までの全手順をご紹介します。


家賃滞納トラブルを絶対に先送りにしてはならない3つの理由

理由①うっかり忘れから家賃滞納常習者になるのは早い

家賃入金日の翌日に確認をすると、だいたい1割程度の入金漏れがあるのが平均的です。

ただ、このときの家賃滞納理由は

『うっかり忘れ』

がほとんどの場合が多いので、すぐに連絡が取れれば解決できるケースが多いです。

しかし、家賃滞納者への確認連絡を怠っていたりすると、ついつい家賃入金が後回しにされてしまい、家賃滞納額が膨らんで支払えなくなってしまいます。

確信犯的に家賃滞納を繰り返す入居者も残念ながらいます。

このような入居者には迅速な対応が必要になります。

なぜなら、オーナーが何も言わないことをいいことに、さらに家賃滞納を重ねてしまうからです。

 

理由②家賃滞納者からまとめて複数月分を回収するのは難しい

もし丸1ヶ月以上家賃滞納してしまうと、実質全額回収するのはかなり難しくなると考えられます。

客観的に見ても、たとえば給料に占める家賃の割合が3割だったとすると、翌月に2ヶ月分の家賃をまとめて払えるでしょうか。

給料の半分以上の6割を支払わなければならないとすれば、まとめて支払うのはかなり厳しいことは想像に難くないはずです。

そもそもまとめて2ヶ月分払えるのであれば、今月も滞納はしないはずです。

 

理由③オーナーの支払いは待ってもらえない

オーナーにとって、家賃収入は不動産投資の売り上げのほとんどを占める重要な収入源です。

家賃滞納されているからといって、オーナーの借入金の返済や固定資産税の支払いが猶予されることはないのです。

入居者が家賃滞納することは、オーナーに対する債務であり、オーナーからの借金と同じことです。

債務が積み重なることは、入居者のためにも決してよいことではないので、早期に正常な状態に戻れるように働きかけるのは、オーナーの責務でもあり、絶対にうやむやにしてはならない重要な仕事だといえます。

 

家賃滞納は損失ではなく売上に計上される

滞納されている家賃は未回収なのに課税される

滞納家賃は回収できていないだけで、売上は上がっているので未収金となり、所得税の課税対象になります。

たとえば、会社間の取引の場合、商品やサービスを提供して売上計上していても、実際の代金回収は翌月末というケースは多いです。

滞納家賃もこれと同じで、実際の入金がなくても、債務を放棄しない限り売上として計上しなければなりません。

滞納家賃があるからといって所得税が少なることはないのです。

むしろ、回収の見込みがないのに、その分の税金はきっちりとられて、泣きっ面に蜂です。

 

家賃滞納の効果的な督促~裁判のプロセス

家賃滞納の効果的な督促プロセス

家賃滞納は適切に対応することで未収になることを未然に防ぐことができます。

オーナー自ら督促を行う場合は、入居者の情に流されないように注意が必要です。

入居者の不運に同情してしまい、なんの約束もせずに支払いをうやむやにしてしまうなどということはあってはなりません。

どのようにすれば支払いができるのか、きちんとお互いが納得する形で話し合い、それを覚書として残しておくようにしたい。

対応を徹底しなければ滞納者は同じことをまた繰り返してしまうからです。

管理委託しているのなら管理業者と、自主管理なら契約業務を担当した宅建業者と協力しながら対応していくことが重要です。

 

初回:おたずね連絡

家賃の滞納は、滞納の事実が発覚したその日に対応することが重要です。

初回は自宅や携帯電話に『おたずね連絡』します。

この段階では『お忘れではありませんか』程度のソフトなアプローチを行います。

不在の場合は留守番電話にメッセージを残しておきます。

同様の内容のメモをポストに投函したり、電子メールでの連絡でもよい。

この段階で、内容証明郵便を送るなどの法的手続きをとるようなことはご法度です。

うっかり忘れていただけなのにという入居者の余計な反感を買い、余計な退去希望予備軍を作ってしまうことになるからです。

もし1~2日で連絡がとれる場合はうっかり忘れが多いので、すぐに解決することが多いです。

 

2回目:おたずね再連絡

初回のアプローチで連絡が取れない場合、再度おたずねの連絡を行います。

郵便ポストにメモを投函していたなら、それがなくなっているかどうかを確認します。

もしメモがなくなっていたら入居者は滞納の事実を確認しているはずだからです。

確認しているにもかかわらず、入金がない場合は『うっかり忘れ』ではなく、別の理由が想定されるので、より慎重に対応していく必要があります。

 

3回目:電話連絡

この時点でも連絡がとれない場合には、引き続きこまめに電話連絡をします。

携帯電話では居留守を使われる可能性もあるので、状況によっては勤務先に連絡しなくてはならなくなります。

この段階だともうついうっかりではなく、なにかしらの事情で家賃が払えないことが想定されます。

入居者にもしものことがあったかもしれないし、夜逃げという事態になっているかもしれません。

まずは連絡を取ることを第一に考え、根気強くアプローチを続けなくてはなりません。

 

4回目:連帯保証人に連絡

この段階になってもまだ家賃の入金がない場合は、連帯保証人に連絡をとります。

連帯保証人には債務者である入居者に連絡することなく、債務者の支払いを連帯して負わなければならないという義務が法律で定められているが、ここで連帯保証人に連絡するのは、入居者の代わりに家賃を払ってもらうのが目的ではありません。

仮に連帯保証人に滞納家賃を払ってもらっても、入居者が支払っているわけではないので、根本的な滞納問題の解決にはならないからです。

そこで、連帯保証人にはオーナーの味方となってもらい、連帯保証人から入居者に家賃を払うように連絡してもらいます。

もし連帯保証人から滞納者に連絡が取れれば、ほとんどの場合は家賃が入金されるはずです。

 

5回目:滞納原因の確認と対応策の検討

滞納の事実が発覚し2週間が経過しても家賃の入金がない場合は、直接自宅を訪問し事情をうかがわなくてはなりません。

たとえば、職場を退職していて収入がなくなってしまったという場合なら、次の就職先が決まっているのか、給料が入る日や家賃が払える日はいつか、などを直接確認する。

家賃滞納が一時的な問題なら、連帯保証人や家族、友人知人から工面できないか提案したり、分割払いで対応する旨を提案してもいい。

一番してはならないことは滞納の事実を先送りし、うやむやにすることです。

  • 事情によっては支払いを猶予することも提案
  • 債務の事実を認識させ支払いを約束させる
  • 口約束にはせず、覚書等の書面を取り交わす
  • 親元に帰ることやより安い家賃の物件に転居することも提案
  • 場合によっては引っ越し費用をオーナーが立て替える

多少の出費をともなっても、早期退去をうながさなければ、オーナーだけでなく滞納者にとってもよいことではないからです。

 

話し合いを続けたが家賃滞納が解消しない場合は裁判へ

話し合いを続けたが家賃滞納が解消しない場合は訴訟へ

どうしても払えない場合は裁判で退去せざるを得ない

家賃滞納の原因が一時的な理由でない場合は、残念だが裁判で退去していただく方向で交渉しなければなりません。

ただし、家賃が支払われないからといって、すぐに立ち退かせることはできません。

また家賃滞納が続くからといって、オーナーが勝手に部屋の鍵を交換したり、部屋に立ち入って荷物を出すようなことは絶対にしてはいけません。

このような行為は民法の規定である

『自力救済の禁止』

に抵触し、入居者から損害賠償請求されるおそれがあるためです。

【自力救済の禁止】

法治国家である以上、紛争の解決は裁判所の関与のもとに行われるべきであり、私人が実力行使によりこれを行うことは原則として禁じられている。これを自力救済の禁止という。

強引な取り立て行為も厳禁です。

もしオーナーが部屋を訪問する場合は、20時以降の取り立て訪問は法律で禁止されています。

このようのな点に留意しながら早期退去の方向で動かなければなりません。

 

部屋の明け渡し請求の裁判の難易度は高い

民事調停と通常訴訟

滞納が一時的ではなく長期化しそうな場合、なぜ早期退去の方向で動かなくてはならないのでしょうか。

それは、建物の明け渡し請求と滞納家賃の請求とでは、法的手段の難易度に大きな差があるからです。

基本的に、家賃不払いによる建物の明け渡し訴訟と滞納家賃の請求訴訟は、別々の裁判を行わなければなりません。

しかも普通借家契約では入居者に継続して住みたいという意思があり、家賃の不払いがあっても支払う意思があれば継続して居住させなければならず、1ヶ月程度の家賃不払いでは明け渡し訴訟を起こすことはできません。

過去の判例でも、滞納がおおむね3ヶ月以上となって初めて法的な明け渡し請求ができます。

また、滞納家賃の請求訴訟で勝訴しても、退去させるには家賃不払いによる建物明け渡し訴訟と強制執行の申し立てが必要になり、大変な時間と費用がかかってしまいます。

建物を明け渡してもらうためには、

  • 民事調停
  • 通常訴訟

の二つの方法しかありません。

民事調停なら低額な費用で解決できますが、入居者に簡易裁判所に出向いてもらうなどの協力が必要になります。

入居者の出廷協力が得られない場合は明け渡し訴訟による解決しかなくなります。

 

明け渡し訴訟は期間と費用がかかる

明け渡し訴訟では、勝訴判決をとってから明け渡しの強制執行手続きという手順を踏まなければならず、提訴から完全な明け渡しまでに、

  • 1年ほどの時間がかかる
  • 強制執行まで含めると費用も100万円ほどかかる
  • 係争中はさらに滞納家賃がかさむ

など、長い期間と多大な費用がかかります。

解決の見込みがない滞納トラブルは、時間をかければかけるほどオーナーの損失が甚大なものになってしまいます。

もし滞納トラブルが長期化しそうな場合は、すぐに弁護士等に相談し、訴訟の準備を始めたほうが得策になります。

 

少額訴訟で滞納家賃を回収

少額訴訟とは、60万円以下の少額の金銭の支払いについて、費用も少額(実費で数千円)で短期間(訴えを提起してから約40日前後)で決着できる訴訟制度です。

再三請求しても支払ってもらえない場合、通常訴訟のように費用や時間をかけることなく、迅速に解決を図ることができます。

少額訴訟は手続きが簡単で費用も安くしかも早いという便利な制度なのですが、逆にオーナーが被告にもなりやすい制度であるともいえます。

たとえば敷金返還トラブルが起きた場合は、入居者に敷金返還請求訴訟を起こされやすいということです。

もしオーナーが敗訴した場合は、定められた支払いを履行しないでいると、賃貸していた不動産の住所や家賃の振込口座も明確なため、強制執行による不動産差し押さえや預金差し押さえが容易にできてしまいます。

少額訴訟だからといって甘く見ることなく、訴訟は訴訟として対応することが大切になってきます。

 

長期不在者への対応

入居者と連絡がとれないからといって、勝手に部屋に入り家財などの処分をするのは『自力救済の禁止』に抵触し違法行為となるのは前述のとおりです。

しかし、連帯保証人に連絡しても長期不在で安否不明な場合は、部屋を確認しなければならないケースも出てきます。

そこで、やむを得ず入室する場合には、トラブル防止のためにも必ず親族や連帯保証人、または警察官立会いのもとで入室します。

部屋を確認後、もし今後も入居者不在が続くようであれば、親族などに家財を引き取ってもらえるかどうか相談してみてもいいでしょう。

まとめ

  • 家賃滞納トラブルを先延ばしにしてうやむやにしてはならない。滞納家賃は会計上の損失とはならず、売上として計上されるため、未収金となり、所得税の課税対象となる。
  • 家賃支払日に入金がない場合、即日おたずねの連絡を行う。うっかり忘れ以外の場合には長期化しないようにできるだけ早期の決着を図る。
  • 部屋の明け渡しは自力救済の禁止の原則から訴訟により裁判所にて係争する。概ね期間は1年、強制執行も含めて100万円程度の費用がかかり、係争中の滞納家賃もかさみ、オーナーの損失は甚大なものとなる。
  • できれば訴訟ではなく話し合いで退去の方向を探るのが善後策となる。

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