住宅ローンが払えなかったり住宅ローンを滞納してしまったというときにとりあえず家を売却してしまおうと考えることがあると思います。
家を売却してしまえばその売却代金で住宅ローンを返すことができるのですが、問題はその際の売却価格です。
家の売却価格が住宅ローンの残高を上回っているか下回っているかで売却方法は大きく変わってくるからです。
家の売却価格が住宅ローンの残高を上回っている場合はおめでとうございますそのまま売却できます。
売却価格から住宅ローンの残高と仲介手数料などの売却諸経費を差し引いて残りが出ればそれは全て手取り金額となります。
家の売却の際に問題になるのは家の売却価格が住宅ローンの残高を下回っている時です。
例えば住宅ローンの残高がまだ3000万円残っていて家の売却価格相場が2500万円というような場合です。
この場合の考えられる売却方法として、
- 3000万円で買い手が見つかるまで売却活動する
- 2500万円で売却して差額を手出しする
- 2500万円で売却して住み替え先を探して住み替えローンで差額を捻出する
- 任意売却で2500万円で売却する
の4つがあげられます。
それぞれのメリットやデメリッットを見ていきましょう。
目次
住宅ローン残高が家の売却価格より多く残っている時の売却方法①:住宅ローン残高以上で買い手が見つかるまで売却活動をする
例えば住宅ローンの残高が3000万円あるので売却相場は2500万円ですが3000万円で売りに出すというケースです。
家を売却する際にいくらで売りに出すかというのは売主の自由です。
変な話ですが1億円で売りに出すこともできます。
しかし家を売却するということは買い手がつくということで買い手があって初めて成立するということです。
いくらで売りに出すかは売主の自由ですが売れるかどうかは買い手あっての話だということです。
そして家の売却価格はその地域や物件ごとにだいたいの相場ができあがっていますのでそこから大きく逸脱して高く売りに出してもなかなか買い手がつかないことがほとんどです。
買い手の気持ちになって考えればわかると思いますが相場以上にお金を出して購入するのであればそれなりの理由というか動機が必要です。
例えば
- 隣地なので売ってもらえるなら買いたい
- 同じマンションに住んでいて身内を同じマンションに住まわせたい
- 子供の学校区や教育環境などの事情がある
などの買い手にとってどうしてもその家が欲しいという事情があれば、その買い手の欲しい度が強ければ強いほど高く売れます。
私の経験上もさすがにこの売却価格では買い手はつかないだろうという価格で売りに出したところ、どうしても欲しいという買い手が現れて売れてしまったというケースは少なからずあります。
まさに売主さんにとってはしてやったりという感じでした。
しかしこの高めで売りに出す売却方法では注意があります。
それは売却期間が長期化しやすいことです。
売りに出してから上記のようなのっぴきならない事情があって高くても買いたいという買主さんが出てこなければ通常の買主さんからは高いなと思われてスルーされてしまうからです。
よくずっと売りに出ている家があると思いますがだいたいがこの理由で住宅ローンを完済できる価格でじっくり売りたいというケースが多いです。
そして売却理由が住宅ローンが払えないからという場合は特に注意が必要です。
売却期間が長期化すると住宅ローンの返済がさらにどんどん厳しくなってしまいます。
つまり住宅ローンが払えないから家を売ろうとしているのに家が売れるまで住宅ローンの返済が持ちこたえられないという事態になってしまいます。
そうこうしているうちに家が売れる前に住宅ローンが払えなくなって滞納してしまったという方からのご相談はとても多いのです。
住宅ローン残高が家の売却価格より多く残っている時の売却方法②:住宅ローン残高を下回っても相場価格で売却して差額を手出しする
例えば住宅ローンの残高が3000万円あるが売却相場の2500万円で売りに出すというケースです。
この場合のメリットとしては売却相場価格で売りに出していますので買い手が早期につきやすいということです。
デメリットとしては2500万円で買い手がついたときに差額ほ500万円を用意して手出しをしなければ引き渡しができないということです。
なぜなら住宅ローンの抵当権を外してもらわなければ買い手に引き渡すことができないからです。
誰も他人の住宅ローンの抵当権つきで家を買いたいとは思わないでしょう。
しかもほとんどのケースでは買い手も住宅ローンを使いますのでその条件として売主の抵当権は外さないと住宅ローンは貸せませんとなっているからです。
なのでこのケースでの売主は手元に資金があれば追い金をして売却することになります。
わざわざ手出しをしてまで売却するのですから売主側に早く売りたいという事情があることがほとんどです。
住宅ローンが払えないから家を売却したいというときは手元の資金も余裕がないということが多いと思いますのでこの売却方法は現実的ではないかもしれません。
住宅ローン残高が家の売却価格より多く残っている時の売却方法③:相場価格で売却して差額を住み替え先のローンに組み込む
例えば住宅ローンの残高が3000万円あって売却相場の2500万円で売却して差額の500万円は住み替え先の住み替えローンに組み込むという売却方法です。
この場合は住み替え先の購入契約と家の売却契約を同時期に行うことが必要になります。
家を売りに出しながら住み替え先の内覧に行ったりと何かと忙しいですが住み替えたいという動機が強ければこの方法が一番合理的だったりします。
そして住み替え先が3000万円の家だったら住み替えローンとして3500万円の住宅ローンを組んで売却時の500万円の差額を支払うことになります。
住み替えローンを使った売却でのメリットは家の売却時の差額を手出しする必要がないということです。
デメリットとしは、最近ではこの住み替えローンの審査基準が少し厳しくなっていますので売主の収入状況によってはローンの審査が通らないということです。
また買い換え先に物件の相場以上のローンを組みますので、その後にもし売却したいとなったときにまた同じ問題が出てくるということです。
買い換え先の家の売却相場が上がらないかぎり売却しようと思った時に同じようにまた500万円の差額が出てくることになります。
また住み替えローンは審査がありますので、今の住宅ローンが払えてなく滞納しているという状況では住み替え先を購入するローンが通らないので物理的に難しくなりますので注意が必要です。
住宅ローン残高が家の売却価格より多く残っている時の売却方法④:任意売却で売却相場で売却する
最終手段として任意売却で売却相場価格で家を売却することができます。
例えば住宅ローンの残高が3000万円あって売却相場の2500万円で売却して残りの500万円は売却後に払っていくといケースです。
この場合は住宅ローンを借りている金融機関に交渉して、売却後に残りが500万円出ますがそれを払っていくので2500万円で抵当権を解除してもらうということに応諾してもらう必要があります。
任意売却で家を売却する場合は住宅ローンが払えない、住宅ローンの返済をすでに滞納してしまっているといす状況がほとんどです。
住宅ローンを貸している銀行にとってはこのまま住宅ローンの滞納が増えていけばいずれ家を競売にかけなければならなくなります。
そうなると競売の落札価格は通常の相場の売却価格よりもかなり低くなることがほとんどですので、そんな安い価格で競売で落札されてしまうよりは、全額を返済してもらえないまでも任意売却で相場の売却価格で売却したほうが銀行にとっても回収額が大きくなるのでメリットがあるのです。
例えば住宅ローンの残高は3000万円で売却相場価格が2500万円、競売だと1800万円くらいで落札されそうという場合です。
銀行が今までのように住宅ローン残高全額の3000万円の回収にこだわっていると、競売になってしまって1800万円でしか落札されなければ未回収が1800万円に膨れ上がってしまいます。
それならば善後策として任意売却で2500万円で売却して未回収を500万円におさえておいて500万円に関しても少しずつ払ってもらうという約束のもとに抵当権を外して任意売却を成立させるというわけです。
多いのは上記の①〜③の方法で家の売却を試みていたものの買い手が見つからずとうとう住宅ローンが払えなくなってしまったというケースです。
そもそも最初の段階から銀行が2500万円で抵当権を外してくれればいいのですが、銀行が任意売却に応じる大前提として競売より回収額を増やすという大義名分があります。
なのでこのまま放っておくと競売になる、すなわち住宅ローンの返済が滞納されているという状況が銀行が任意売却に応じる条件となるというからくりです。
おわりに
住宅ローンが払えないという理由で家を売却しようとするときは、普通の不動産業者だけからしか話を聞いていないと、上記①〜③の売却方法しか提案できずに時間だけを無駄に使ってしまいがちです。
住宅ローンが払えないという理由で、しかも住宅ローンの残高が家の売却価格を上回っているときは、ぜひご相談ください。
行き当たりばったりではなく、あなたにとって一番良い形でのきちんとした解決方法をご提案させて頂きます。