
住宅ローンを滞納してしまい住宅ローンを借りている金融機関から代位弁済や一括請求をされて放置しているとそのうち競売の申立をされてしまいます。
競売の申立をされてしまって競売手続き中からでも任意売却はできるのでしょうか?
結論から言うと、競売手続き中であっても競売の取り下げに債権者が応じるのであれば任意売却を行うことは可能です。
住宅ローンの滞納中に再三金融機関から催告されて任意売却をすすめられても任意売却の意思表示をしなかった物件所有者でも、いざ競売を申し立てられるとさすがにまずいと思ったのかそれを契機に任意売却を検討し始める場合もあるからです。
ただし競売手続きを金融機関からされたということは今までの再三の催告を無視し続けたということになるため金融機関によっては任意売却には応じずそのまま競売で処理されることしか受け付けないという場合もあります。
その代表的な金融機関が住宅金融支援機構です。競売になってしまったら全部が全部任意売却がダメということではありませんが個別の対応でダメな場合はいくら交渉しても任意売却を受け付けません。
住宅ローンを滞納し始めてからかなりの時間が経過していて競売の申立をされてしまったという方は一刻も早く専門家にご相談することをおすすめします。
目次
競売手続き中の任意売却を成功させるポイント①:競売の取り下げはいつまで可能かを確認する
競売手続きの仕組み上は競売で落札した一番札の人の買受の申出(代金納付)までは競売取り下げは可能となっています。
しかし、買受申出人決定前である期間入札の開札前であれば自由に競売の取り下げができますが、買受申出人決定後は入札者の同意を取り付けなければ競売の取り下げはできません。
実際の現場では、競売入札期間に入ると入札参加者という新たな利害関係人が増えることになりトラブルの恐れが増えるため、期間入札前の競売取り下げが望ましいといえます。
競売申立をした債権者である金融機関も期間入札に入る前までなら競売の取り下げに応じるというところがほとんどです。
競売申立をされてから任意売却を進める場合には必ず債権者にいつまでなら競売の取り下げをしてもらえるのかの確認を何をさておき行っておくべきです。
なぜなら任意売却を行うには債権者の競売取り下げが可能な期間までに不動産売買の決済を行わなければならないので、期日から逆算した任意売却のスケジューリングが必要になるからです。
期間入札に入る直前に任意売却で購入希望者が現れたとしてもお金がすぐに用意できなければ決済ができないためそのまま入札期間に入ってしまい競売の取り下げをしてもらえないのです。
競売手続き中の任意売却を成功させるポイント②:競売入札期日の延期はできるのかを確認する
ギリギリになって任意売却で処分できそうになった場合に競売入札期間の延期は受け付けてもらえるのでしょうか?
これは裁判所によって運用が異なります。
一切受け付けない裁判所もありますし受け付けてくれる裁判所もあります。
受け付ける場合でも、任意売却による解決が確実であるとする延期申請書を売買契約書とともに提出し、裁判所が認めた場合に延期を認めるケースが多いです。
競売手続き中の任意売却を成功させるポイント③:競売3点セットを取り寄せて確認する
- 現況調査報告書
- 物件明細書
- 評価書
は『競売3点セット』と呼ばれています。
これを調べることにより、裁判所が調査した物件の評価や詳しい明細が分かります。
現況調査報告書は、裁判所の執行官が競売物件について占有状況などを調査したものをまとめたものです。
物件明細書は、競売物件に関する裁判所の法的問題に関する考えをまとめたものです。
評価書には、評価人が競売物件の価格を評価した結果が記載されています。
競売中の物件の任意売却は、このような裁判所の資料も参考にしながら競売にかかった費用などと天秤にかけながら進めていくことになります。
任意売却でも競売と同程度か少し高い程度では、そのまま競売で進めていくほうが費用対効果が高く債権者の回収率も上がるからです。
競売までの期間がまだある場合はじっくり任意売却を検討してくれる債権者も多いですが、競売が進んで残りの期間が短いと少しくらいのことではそのまま競売で進めたがる債権者もいますので、買受人が見つかっても必ず任意売却ができるわけではありませんので注意が必要です。
以前に競売入札期日の数日前に買主を見つけたことがあって債権者に任意売却を持ちかけたところ、
『もう入札期日が近いので競売取り下げはしません。その人にも競売で入札してもらってください。』
と言われたこともあったくらいですのでフタを開けてみるまで分からないというのが実態です。
おわりに
競売中の物件の任意売却も競売入札期日前であれば可能です。
しかし入札期日直前では任意売却の買受人が見つかったとしても競売取り下げに難色を示す債権者もいるので注意が必要です。
また入札期日直前に任意売却での買受人が見つかっても、現金決済できなければ物理的に入札期日前の決済ができないので結果的に任意売却できないということになります。
あくまでも契約ではなく決済ベースで入札期日前にできるかどうかというのが一つの判断基準となります。