保険

長期契約一括払いへの保険の見直しは本当にお得なのか?

長期契約一括払いへの保険の見直しで損をしない簡単な考え方

大規模災害や異常気象などの影響で、火災保険の保険料は今後も上がっていくことが想定されています。

そこで今のうちにと長期契約への保険の見直しを言われるがままに検討してしまってはいないでしょうか?

長期契約への保険の見直しについては、メリットばかりが強調されますが、隠れたデメリットがあることを理解して取り組まなければ、結果的に損をすることになりかねないので注意が必要です。


なぜ保険が値上がりしていくのか?

最近ではニュースでも目にする機会が圧倒的に増えたと実感する、

  • 台風の巨大化による浸水
  • ゲリラ豪雨
  • 地震の頻発

などにより、過去の損害発生率から想定されていた災害の発生確率よりも、現在の災害発生確率が大きく上昇してきていることが原因です。

現在の保険料は過去の災害発生確率から算出しているので、そのままでは損害保険会社の採算が合わなくなってきたことが、保険料値上げの理由とされています。

そのため、損害保険会社はリスクを織り込むため、

  • 保険料を値上げしていくこと
  • 今まで最大36年の長期契約を最長10年までの保険期間とする

ことで対応していきます。

これは損害発生確率が変化していく中で、現行の保険料の維持と36年もの長期契約が難しくなったためです。

 

保険料見直しの際に謳われるメリットの分析

火災保険・地震保険の値上げは今後も実施されていくと思われます。

そうなると、火災保険・地震保険の掛け金が上昇することとなり、慌てて見直しをされる方もいますが、焦って保険会社の言いなりで結果的に損をしないようにきちんと検討する必要があります。

保険料見直しをすることでよく言われるのが、

  • 今のうちに長期契約をすればお得
  • 今のうちに長期契約で掛けていると、返戻金もあるのでさらにお得

といった点になると思います。

ただし、これらの点には一部大げさな部分もあります。

 

長期契約にすれば本当にお得なのか?

まず、長期契約できるのは火災保険です。地震保険は最長で5年までしか契約できません。

つまり、保険の見直しで効果がでるかもしれないのは、地震保険以外となります。

 

火災保険

確かに長期契約するとお得になります。

なぜなら、火災保険料は長期契約の一括払いをするほど、1年あたりの保険料単価が割安になるからです。

最長36年契約の一括払いでは、1年契約の約25年分の保険料で契約が可能となります。

割引率は保険会社ごとに多少違うと思われますが、

  • 25年契約一括払い・・・26%の割引率
  • 26年契約一括払い・・・31%の割引率

のようなイメージです。

ここ前を見るととてもお得です。

1年ごとにかかる費用(2.7万円)の36年間合計が100万円とすると、36年一括だと70万円ほどしかかからない計算になります。

一見とてもお得に見えますが、ここで重要なポイントが抜けています。

損害保険会社に、36年分の保険料を一括で払うことになります。不動産投資家にとって重要な資金を先に前払いすることになるのです。

ここで不動産投資家として考えないといけないのは、その前払いで払った金額で実際に得をした利回りと、その資金を自分で運用した時の利回りとの差を考えなければいけません。

36年間で得をする30%の割引率とはどれくらいの利回りなのかということを計算してみます。

考え方をシンプルにするために、36年後の将来価値100万円を、現時点で70万円で買ったという計算をします。

すると、利回りとしては、ざっくりですがたったの1%です。

利回りで1%で運用したのと同じ効果です。

不動産投資家として、不動産投資家として、さすがに1%以上では自分でも運用できると思うはずです。

つまり、損害保険会社に一括で保険料を前払いする利回りよりも、不動産投資の利回りのほうが圧倒的に利回りが高いといえるのです。

そのため、保険が長期契約で割引になるといっても、今しかそれができないと言われても、不動産投資をしている立場からすると、それほど飛びつくような話ではないのです。

これが、お金を生むわけではない実需の住宅ならば、一括払いでそれだけ安くなるのならと考えることは間違いではないということです。

あくまで投資家であれば、限られた資金をどのように運用するのが利回りが良いのかという判断基準になるということです。

 

地震保険

地震保険は5年を超える契約を結ぶことができません。

そのため、地震保険では、5年の一括払いで効果を狙う以外はないことになります。

また、木造とは違い、RC造などの耐火構造は火災保険金額が安く、地震保険の割合でいくと、地震保険のほうが高いエリアがあります。

その場合、地震保険の見直しは長期での見直しができないため、火災保険しか長期で見直すことができないことになります。

RC造の場合、火災保険で長期契約で3割下がるといっても、火災保険部分しか効果がないため、全体としては1割程度しか効果が出ない場合もあります。

したがって、火災・地震保険全体で見ていくとなると、火災保険を36年間一括前払いしても、全体の効果としての利回りは、0.3%~0.4%/年しかないケースもあり得ることになります。

こうなると、保険の見直し自体にそれほど大きなコストメリットがあるとは言えなくなります。

 

長期契約すると損が発生する補償特約関連

火災保険を長期で見直す際に、一番問題となるのが補償特約部分になります。

それは、5年契約までなら火災保険の補償特約としてつけられるのですが、5年を超える契約になると特約ではなく、単品の保険商品として契約する必要があるからです。

例えば、5年を超える火災保険契約からは、施設賠償保険特約が外れます。

補償特約扱いから単品の保険商品として施設賠償保険に切り替えると、保険料が大幅に上がってしまいます。特に、エレベーターがついていると、数倍まで保険料が上がります。

したがって、保険を長期で見直すときには、補償特約で外れる施設賠償保険などの金額もあわせて検討する必要があります。

火災保険単体では長期契約で3割下がっても、特約から外れる施設賠償保険を考慮すると、36年間トータルでは1割引きにもならないケースも散見されるからです。

保険の見直しは、火災保険だけでなく、補償特約の見直しでの保険料増加を加味して判断する必要があるということです。

これではRC造などの耐火構造でエレベーターのある物件では、ほとんど見直しによる効果は出なくなると考えられます。

つまり、長期で保険を見直しても、投資効果を利回り換算すると、効果のあるケースは少ないといえます。

 

返戻金があると本当にお得なのか?

保険の長期契約には返戻金があるので、それが本当に得なのかどうかですが、シミュレーション上は35年で掛けた保険を5年で解約すれば、返戻率からすると1年ごとの掛け金はさらに安くなることになります。

たとえば、大手保険会社の35年一括で支払った時の5年後の返戻率は89%となっています。

それを見てピンときた人もいると思いますが、35年のうち5年分の保険料を払ったということは、割合にして1/7=14.2%分に相当します。それが、11%しか引かれず、89%分が返ってくることになります。

35年の一括払いで3割引きで割安に保険に入り、さらに、解約時点の返戻金も考慮すると、単年度あたりの効果がとても大きくなります。

しかし、ここで考えないといけないのは、不動産投資家として、返戻率を計算して、ドンピシャのタイミングで物件の売却をコントロールできるのかどうかという点です。

物件の売却はその時その時のマーケットに左右されるので、数年で売ることもあれば、しばらく保有することもあるのです。

最初から売却する時期を決めていればいいですが、それができないのであれば返戻率を織り込んで得かどうかを判断することはできないからです。

ましてや、保険のために物件を相場よりも安く売却するなど考える方はいないとは思いますが、保険の得した部分など、物件を少し安く手放すだけで簡単に吹き飛びます。

 

長期契約ができなくなった際の考え方

今後、10年までしか保険が掛けられなくなった場合の考え方ですが、よほど資金に余裕がない限りは、

  • 1年契約
  • 5年契約の単年度の分割払い

がおすすめです。

10年を一括で支払う場合には、保険の補償特約を単品の商品で契約しなくてはいけないデメリットを考えると、コストメリットはほぼないといえます。

5年契約の場合は、一括払いか単年度の分割払いを選択できる保険会社が多いです。

当然一括払いの方が割引率が大きいですが、前払いしたことによる利回りはたいしたことはないので、単年度の分割払いの方が、不動産投資家としてはより効果的に資金を使うチャンスがあるといえます。

 

まとめ

  • 保険の見直しによる長期契約一括払いの割引率も、利回り計算では1%程度になる。
  • 長期契約の返戻率を考慮するにしても、売却時期のコントロールなどより難しい判断をしなければならなくなる。保険のために相場より安く物件を手放せば返戻率によって割引になった部分以上が簡単に吹き飛ぶことになる。
  • 今後の保険に対する考え方は、5年契約の単年度の分割払いがおすすめとなる。

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