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貸主側からの不動産の立ち退き請求時に立ち退き料の金額を左右する家主側の事情と借家人側の事情

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貸主側からの不動産の立ち退き請求時に立ち退き料の金額を左右する家主側の事情と借家人側の事情

貸主側からの不動産の明け渡し請求時

  • 立ち退き料の要否
  • 立ち退き料の金額

の決定にあたって考慮される家主側と借家人側の事情には具体的にどのような事情があるのでしょうか?

立ち退き料の要否および立ち退き料の金額を左右する事情として

  • 家主側の事情
  • 借家人側の事情
  • 賃貸借契約関係から生じる事情

の3つが考えられます。

古い収益物件などは立ち退きをかけて更地にして売却したほうが結果的に高く売却できる場合が多々あります。

不動産投資を行っていくうえで最終的に利益を確定させる売却時の出口戦略として立ち退きに関わる諸事情を知っておくことはとてもプラスになります。

この記事では、貸主側からの不動産の明け渡し請求時に立ち退き料の金額を左右する家主側の事情と借家人側の事情の比較を行いながら見ていきます。

貸主側からの不動産の明け渡し請求時に立ち退き料の金額を左右する家主側の事情と借家人側の事情

立ち退きに関する家主側の事情

家主側の事情①:家主自身が住居として使用する必要がある場合

家主側の事情として家主自身が住居として使用する必要がある場合はどのようなケースかというと、

  1. 家主自身の住居が借家や借地上の家屋で家主や地主から立ち退きを求められているような場合
  2. 長期の転勤や外国出張のため転勤先などに住んでいたが再転勤により戻ってきて借家人に貸していた家屋を住居として使用する必要が生じたような場合
  3. 家主の住んでいた家屋が焼失したり老朽化して使用できなくなった場合

など、家主の自己使用の必要性が認められるような場合です。

家主側の事情としては最も有力な事情といえます。

ただし家主が自己使用するからといって何でもかんでも立ち退きが認められるわけではありません。

借家人が家主以上に借家を必要とする事情があれば『正当事由』はないということになります。

家主が自分の住居の家主や地主などから立ち退きを求められているとしても、立ち退きを求められている理由のいかんでは家主の自己使用の必要性の程度には差が出てくるからです。

また、家主が住んでいる住居が老朽化して使用できないとしてもその程度により必要性の程度も異なりますし家主が他にも家屋を所有しているような場合は必要性は弱まります。

家主自身が借家住まいで賃貸家屋を立ち退かせた跡地に新居を建てたいという場合などは、家主の現住居の構造・規模、家族構成、生活程度、社会的地位などを考慮して必要性の程度が判断されることになります。

 

家主側の事情②:家主の家族や近親者の住居として使用する必要がある場合

家主自身ではなく家族や近親者であっても、家主に準じて賃貸家屋を使用する必要性が認められるケースがあります。

例えば子供が結婚するので結婚後の住居として使用したいので借家人に立ち退きを求める場合などが典型的です。

しかし子供が結婚適齢期で将来結婚することが見込まれるというだけでは具体化していないため家主側に必要性は認められません。

また、子供が家主と同居している場合には家主の住居の構造・規模などから結婚後も同居することが十分可能であれば、家主側の必要性の程度は弱くなります。

高齢の家主が老後の世話を近親者に見てもらうために立ち退きが必要という場合にも同様に家主の状況を総合的に判断することになります。

 

家主側の事情③:家主または家族が営業のために使用する必要がある場合

家主側がそのまま使用もしくは跡地に新築して営業目的で使用する必要がある場合であっても、家主側の自己使用の必要性が認められます。

例えば、

  • 貸店舗を立ち退いてもらってそこで商売を始める必要がある
  • 事業の拡張のために貸店舗を使用する必要がある

なその場合です。

家主側においてそこで商売を始めることが生計を立てるうえで差し迫っている事情があれば必要性の程度は高いといえます。

しかし事業の拡張のためだけでは有利な事情としては弱くなります。

どちらにしても借家人はその店舗において商売をしているので、借家人の営業の規模や業績、他に同条件の代替店舗を求めることができるかどうかなど借家人側の必要性の程度によってもパワーバランスは変わってきます。

また、家主が借家人を立ち退かせた後で跡地に賃貸アパートを建ててアパート経営をするなどの営利目的の事情がある場合には、借家人が住居としている家屋の立ち退きを求めることになるので家屋が朽廃していて倒壊の危険があるなどの特段の事情がなければ、立ち退き料を提供しても正当事由を補完することは困難な場合が多いです。

 

家主側の事情④:賃貸家屋が老朽化しているため大修繕または新築する必要がある場合

家屋が古くなり倒壊した場合には借家関係は当然に終了することになります。

しかし家屋は老朽化していても住居としての耐用年数が認められる場合には、老朽化の程度により新築または大修繕の必要性の程度が判断されることになります。

建築基準法に基づく勧告などを受けている場合には大修繕をする必要性が強く認められます。

しかし借家人の家屋を使用する必要性をそれで否定することはできません。

いくら老朽化しているとはいっても建物の耐用年数が残っているのであれば、家主側からの老朽化を理由とする立ち退き請求に正当事由があると認められるのは難しくなります。

ただしこのような場合には立ち退き料の支払いにより正当事由を補完する事例が多く認められています。

 

家主側の事情⑤:その他の家主側の事情

その他の家主側の事情として、相続により家主の地位を承継した相続人が相続税を支払うために借家人が借りている家屋とその敷地を売却する必要が生じ借家人に立ち退きを求める場合のように、借家および敷地を高く売るために立ち退きを求める場合があります。

借家人が住んでいると買い手を求めることが比較的困難になるようなケースでそのほうが売買価格が安くなるような場合に借家人に立ち退きを求めることになるのです。

このような場合では、他に処分すべき財産がないとか借家人がいる状態では買い手を探すことが困難な状況であるという場合でなければ家主側の必要性の程度は弱くなるといえます。

また、借家を買った新家主が借家人に立ち退きを求める場合には、特別の事情が認められない限り新家主側の必要性は弱いと判断されることが多いです。

なぜなら旧家主のもとで安定した生活をしていた借家人が家主が新しくなったために突然に立ち退きを求められるならば、借家人の地位はきわめて不安定なものとなってしまうからです。

新家主であるということが家主側において不利な事情と考慮されるケースです。

 

立ち退きに関する借家人側の事情

借家人側の事情①:借家人が住居として使用する必要がある場合

借家人は現実に賃貸家屋に住んでいるので借家人の必要性は認められることが大半です。

家主側からの立ち退き請求に対する借家人の最も有利な事情となります。

しかし、借家人がほかにも住居を構えていて賃貸家屋を家財道具置き場として使用しているに過ぎないと認められる場合などは、借家人において将来的にその賃貸家屋に住居を移す意思があったとしても必要性の程度は弱くなります。

これは借家人がほかに所有家屋を持っている場合にも同様に当てはまります。

また借家人において代替家屋を購入できる資力があるとか、他の賃貸家屋に転居できる資力があるという事情があれば、その賃貸家屋を必要とする程度は弱くなります。

逆に借家人にその資力がなければ必要の程度は強くなります。

借家人が転居先を求めることができるかどうかは住宅事情にも影響されます。

戦後のような極度の住宅難の状況では代替家屋を探すことが困難で借家人の必要性の程度はきわめて高かったといえます。

しかし最近の住宅事情は住宅難が緩和されていることから借家人の必要性は家族構成や賃貸期間や資力の有無により判断される傾向が強くなっています。

借家人に家屋を必要とする事情がある場合に、家主側にも必要性が認められるときは、借家人の移転に要する費用や一定期間の差額賃料に相当する金額の立ち退き料の提供によって正当事由が補完され立ち退き請求が認められる事例が多くなってきています。

 

借家人側の事情②:借家人が営業のために家屋を使用する必要がある場合

借家人が貸店舗を借りている場合、営業上これを必要とする事情は借家人に有利な事情となります。

住宅の場合は借家人が立ち退くことにより被る損失は、経済的不利益だけではなく生活上の不利益が問題となりまうs。

しかし営業用建物の場合には経済的不利益のみが問題となります。

とはいっても個人商店や中小零細企業の場合には、店舗立ち退きが直ちに生活上の死活問題となります。

また店舗兼住宅の場合には住宅の賃貸借と同様に経済的不利益だけでなく生活上の不利益も問題となります。

営業用建物の賃貸借の場合には住宅の場合と比較して立ち退き料の支払いにより正当事由を補完できる場合が多く認められるといえます。

 

借家人側の事情③:借家人が賃貸家屋を長期間使用してきた場合

借家人が賃貸家屋を長期間にわたって使用してきたという事情は借家人側の有利な事情となります。

借家人が住居として長期間住んでいれば近隣地域における借家人の人間関係も形成され生活の本拠としての必要性がより強くなっているからです。

仮にほかに転居先を求めることが簡単な住宅事情があったとしても、同一地域に同条件の代替家屋を探すことが困難な場合が多くあります。

そのような場合には借家人を保護する必要性の程度が強くなるといえます。

家主が長屋式建物に住む各借家人に立ち退きを請求する場合に、立ち退き料の算定に際して借家人の居住期間を考慮するのもその理由からです。

 

賃貸借契約関係から生じる事情

事情①:賃貸借契約時に家主側に具体的事情が生じたら立ち退く旨の約束がある場合

例えば賃貸借契約時に

  • 家主からの申出により賃貸期間を5年間とすることを約束
  • 家主の子供が結婚するときには無条件で立ち退くことを約束

などをしていたとしても、借家人に不利益な特約は無効とされます。

家主側は無効なのでこれを理由に立ち退きを迫ることはできません。

しかし正当事由を判断する事情としては賃貸借契約時の約束は考慮されることになります。

さらに上記のような内容であれば特約としては無効ですが約束はしているとのことで家主側に有利な事情として考慮されます。

 

事情②:家主側と借家人との間の借家関係に影響を及ぼす事情がある場合

家主側と借家人との関係は継続的な契約関係とされ双方の信頼関係を基礎とするものとされています。

借家人に契約上の債務不履行が明らかにある場合にはそれを理由に家主は賃貸借契約を解除することができます。

しかし借家人の義務違反が双方の信頼関係を破壊するまでには至らず、債務不履行にもならない場合には即解除とはできず、借家人の不利な事情となるにとどまります。

例えば、

  • 借家人が家賃を滞納することが多く家主が催告すると数か月分の賃料を払う
  • 賃貸家屋を乱暴に使用している
  • 借家人が家主に無断で増築や改築、模様替えなどをしている

などの事情がある場合、それ自体は債務不履行や信頼関係の破壊までは至らないとされても借家人に不利な事情として、家主側からの解約申し入れの際の正当事由の判断材料となります。

 

事情③:家主側が代替家屋を提供した場合

借家人側の賃貸家屋を使用する必要性は、他に転居先を探すことが容易か否かが重要な要素となることが前述した通りです。

家主側が代替家屋を提供した場合には、借家人が転居先を探す必要がなくなるのでこれにより借家人が賃貸家屋を必要とする程度は弱まり家主側に有利な事情となります。

しかし代替家屋が賃貸家屋と比較して構造・規模、賃貸条件などにおいて劣る場合には、必ずしも家主に有利な事情として考慮されるものではありません。

賃貸家屋と代替家屋を総合的に比較、考慮して代替家屋が適当なものであるかどうかが判断されることになります。

 

まとめ

  • 貸主側からの立ち退き請求で立ち退き料を明確に算定する基準はないが、家主側と借家人側の事情、そして賃貸借契約関係から生じる事情を総合的に考慮して立ち退き料の要否や立ち退き料の金額が判断されることになる。
  • 家主側は自身が使うからと言って簡単に立ち退きができると思っている人も多いが借家人が拒否した場合にはそれだけでは弱い。
  • 借家人側は昔ほど住宅事情は悪くないため相応の条件や代替家屋が用意されるなどの家主側からの立ち退き交渉に応じるケースが増えている。

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