レバレッジが効いている状態⇒K%(調達コスト)<FCR(総収益率)<CCR(自己資本配当比率)の状態

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レバレッジのポイントはK%<FCR<CCRかつDCRとのバランス

不動産投資をしていれば『レバレッジを効かせる』という言葉は日常的に使われると思います。

では『レバレッジが効いている』という状態は具体的にはどのような状態をいうのでしょうか?

それは、不動産投資指標を用いて簡単に説明することができます。

不動産投資において『レバレッジが効いている』状態とは、不動産投資指標で、

K%(調達コスト)FCR(総収益率)CCR(自己資本配当比率)

の状態になっていることをいいます。

この記事では、不動産投資において『レバレッジが効いている』とはどのような状態なのかを不動産投資指標を用いてご紹介します。

不動産投資のレバレッジとは?

そもそもレバレッジ(ファイナンスによる収益効果)とは、

『他人(銀行など)のお金を使うことによって、全額自己資金を出すよりも、効率の良い投資をすることができる』

ということを言います。

上記を投資指標に置き換えると、

『収益物件の生み出す収益率FCR(総収益率)が、K%(調達コスト)を上回っていれば、その状態になる』

ということです。

このFCR(総収益率)ですが、全額現金で投資した場合の収益率でもあります。

たとえば、FCR(総収益率)が7%で、そこを現金ではなく銀行のお金を使うことによって、仮にK%(調達コスト)が5%になり、その結果、自己資金の利回りCCR(自己資本配当比率)が10%になったとすると、

◎K%(調達コスト・5%)<FCR(総収益率・7%)<CCR(自己資本配当比率・10%)

となり、この状態が、

『レバレッジが効いている』

ということを表しています。

全額現金で投資していたら利回りがFCR(総収益率)の7%の投資が、銀行のお金も使うことによって、自己資金に対する利回りがCCR(自己資本配当比率)の10%になります。

結果的に効率の良い投資になっており、その状態をレバレッジが効いていると表現されます。

また、レバレッジを効かせるためには、借入をうまく利用して、少額の自己資金で物件を購入するという見方もできます。

レバレッジを効かせることだけを考えれば、

  • 借りれるだけ全額借入れをする
  • できるだけ長期の返済期間にする
  • できるだけ自己資金を少なくする

ことで、K%(調達コスト)を抑えて、CCR(自己資本配当比率)を高めることが理論上は可能となりますが、それがすべて正しいと言えるでしょうか?という問題があります。

そこを次章で検討したいと思います。

 

不動産投資におけるレバレッジが効いているシミュレーション事例

物件価格に対して90%ローンの場合

引き直し賃料(月額)
引き直し賃料 ¥720,000
 ▲空室損5% ¥36,000
収入合計 ¥684,000
支出の部(月額)
BM管理費 ¥10,000
共用部光熱費 ¥5,000
固定資産税・都市計画税 ¥31,683
賃貸管理料 ¥50,274
CATV ¥6,300
支出合計 ¥103,257
収支(年額)
GPI ¥8,208,000
▲OPEX ¥1,239,088
NOI ¥6,968,912
▲ADS ¥5,405,319
 CF ¥1,563,593
投資分析
LTV 93.58%
CCR 12.41%
FCR 6.87%
表面利回り 9.09%
K% 6.08%
レバレッジ
BE% 76.90%
最低稼働戸数 9.23戸
DCR 1.29
PB 8.06年

 

必要資金/資金調達対照表
必要資金 資金調達
 諸費用:650万円 自己資金
1,260万円
物件金額:9,500万円
(購入総額:1億150万円)

FCR=6.87%
NOI=696.8万円
CCR=12.41%

借入金額:8,890万円
(LTV=93.58%)
金利:4.5%
期間:30年
K%=6.08%
ADS=540.5万円
CF=156.3万円

上記事例で、購入総額1億150万円の物件を全額自己資金で購入していたとしたら、利回りはFCR(総収益率)=6.87%となります。

しかし、借入をK%(調達コスト)=6.08%の調達コストで行うことで、自己資金1,260万円に対する利回りCCR(自己資本配当比率)=12.41%に跳ね上がります。

すなわち、

◎K%(調達コスト・6.08%)<FCR(総収益率・6.87%)<CCR(自己資本配当比率・12.41%)

が成り立っていますので、レバレッジが効いていると判断できます。

CCR(自己資本配当比率)がFCR(総収益率)の1.81倍になっています。

借入金利が4.5%の高めの設定にも関わらず、全額現金よりも借入をすることでレバレッジが効き、自己資金に対する利回りが大幅にアップすることが数値でわかります。

次に、借入額を物件価格の100%、フルローンの場合はどうか検討します。

 

物件価格に対して100%フルローンの場合

必要資金/資金調達対照表
必要資金 資金調達
 諸費用:650万円 自己資金:650万円
物件金額:9,500万円
(購入総額:1億150万円)

FCR=6.87%
NOI=696.8万円
CCR=18.33%

借入金額:9,500万円
(LTV=100.00%)
金利:4.5%
期間:30年
K%=6.08%
ADS=577.6万円
CF=119.2万円

上記事例のように100%フルローンとすると、

◎K%(調達コスト・6.08%)<FCR(総収益率・6.87%)<CCR(自己資本配当比率・18.33%)

となり、CCR(自己資本配当比率)が18.33%まで跳ね上がりました。

全額自己資金の利回りであるFCRの2.66倍のレバレッジが効いていることになります。

この計算だと、借入を増やして自己資金を減らせば、レバレッジ効果は際限なく上昇することになります。

極論を言えば、諸費用まで含めた全額オーバーローンが組めた場合は、CCR=NOI/自己資金で求めると、分母が0となり、数学的にCCRは無限大∞に発散するということになります。

計算上はCCRが無限大でも、これは現実的な数値ではありません。

CCRを高めていくことでレバレッジ効果もそれに比例して増大していきますが、ここで大切なことを忘れてはいけません。

DCR(負債支払安全率)とのバランスです。

 

レバレッジの肝はDCR(負債支払安全率)とのバランス

下記2つの対照表をもう一度見てください。

表①:90%ローン

必要資金/資金調達対照表
必要資金 資金調達
 諸費用:650万円 自己資金
1,260万円
物件金額:9,500万円
(購入総額:1億150万円)

FCR=6.87%
NOI=696.8万円
CCR=12.41%

借入金額:8,890万円
(LTV=93.58%)
金利:4.5%
期間:30年
K%=6.08%
ADS=540.5万円
CF=156.3万円

 

表②:100%フルローン

必要資金/資金調達対照表
必要資金 資金調達
 諸費用:650万円 自己資金:650万円
物件金額:9,500万円
(購入総額:1億150万円)

FCR=6.87%
NOI=696.8万円
CCR=18.33%

借入金額:9,500万円
(LTV=100.00%)
金利:4.5%
期間:30年
K%=6.08%
ADS=577.6万円
CF=119.2万円

上記2つの表のDCR(負債支払安全率)を比較してみましょう。

  • 表①(90%ローン)のDCR=NOI/ADS×100=1.29%
  • 表②(100%フルローン)のDCR=NOI/ADS×100=1.20%

表①よりも表②のほうがレバレッジが効いていることは前述しましたが、投資の安全性は逆に表①よりも表②のほうが低下することになります。

借入を多くするほどFCRよりもCCRが高まり、投資の効率がアップすることがレバレッジの醍醐味なのですが、レバレッジを効かせ過ぎると危険であるということを示しています。

DCRが低下するということは、NOIにADSが近づきCFが薄くなるということです。

CCRを高めていって効率性を重視するほど、DCRが低下して安全性が低下するというジレンマが発生します。

したがって、レバレッジはCCR(投資効率)だけを見ればよいのではなく、DCR(安全性)も見つつ、コントロールすることが必要になります。

つまり、最低限の安全性を確保しなければならないということです。

レバレッジの効率的な面にばかりとらわれてローンの借入額を増やし続けていると、環境の変化に対応できず非常に危険な状態での運営となるリスクがありますので、注意が必要です。

それを分かっているうえで、攻めの投資でハイリスクハイリターンを目指すのならいいのですが、理解せずに、自己資金をできるだけ使いたくないからといった理由だけでレバレッジが効きすぎている場合は、もしものときに対応できない可能性が高まります。

 

おわりに

  • レバレッジが効いている状態とは、収益率FCRが調達コストK%を上回り、その結果として自己資金の投資効率CCRが全額自己資金の利回りであるFCRを上回っている状態と説明できる。
  • レバレッジが効いている状態では、K%<FCR<CCRが成り立つ。
  • レバレッジの効きすぎは投資の安全性を下げる。それを判断するのにDCR(負債返済安全率)を見るようにする。CCRを高めて利回りを狙いながら、DCRを見て投資の安全性を判断することで、長期で見た場合の利回り最適化を実現できる。いくら利回りが高くても投資が破綻してしまえば投資を続けられず元も子もなくなる。
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