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任意売却の提案を放置して滌除に代わる抵当権消滅請求を受けた事例

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任意売却の提案があったのに放置して抵当権消滅請求を受けた事例

任意売却の提案があったにもかかわらず、銀行担当者の知識不足からこの任意売却の提案を放置したことにより、任意売却が流れてしまったというケースです。

さらにその後に債務者側が滌除(てきじょ)に代わる抵当権消滅請求制度を利用してきました。

この記事では、任意売却の提案があったのに放置して抵当権消滅請求を受けてどうなっかという事例をご紹介します。

任意売却の提案があったのに放置して滌除に代わる抵当権消滅請求を受けた事例

任意売却には応じられない

債務者である不動産所有者は、銀行に5000万円の借り入れがありました。

銀行のランク付けによると、債務者はすでに実質破綻先となっており、まったく弁済をしていませんでした。

銀行は担保不動産に5000万円の根抵当権の設定を受けていましたが、不動産価格は下落して現在の時価は1500万円程度にまで下がっていました。

競売となれば1000万円を切るかもしれないという水準です。

ある日この債務者は、不動産仲介業者と一緒に銀行にやってきました。

担保不動産を友人に任意売却したいという話でした。

スポンサー兼友人に当該物件を購入してもらって、家賃を払ってそのまま住まわせてもらい、将来うまくいけばその友人から買い戻すという計画でした。

提示された金額は、諸経費差引後で1440万円という銀行への配分額でした。

しかしこのとき銀行の担当者は、

  • 任意売却をどのように進めたら良いかわからなかった
  • 根抵当権5000万円の設定がある担保不動産において1440万円では担保解除は難しいだろう

と考え、あいまいな返事をして債務者と友人の2人を帰したのでした。

 

抵当権消滅請求制度を利用される

それからしばらくして、ある日突然銀行にその債務者から抵当権消滅請求の内容証明郵便が届きました。

その内容は、

  1. 友人が債務者から担保不動産の所有権を取得したことを報告
  2. 銀行が2ヶ月以内に競売申立てをしない場合には代金1100万円を弁済するので根抵当権を解除せよ

というものでした。

また別便で不動産登記簿謄本の原本が届きました。

その不動産登記簿謄本を見ると、確かに債務者から友人への売買を原因とする所有権の移転登記がなされていました。

平成15年の民法改正により、平成16年4月から滌除(てきじょ)の制度が抵当権消滅請求制度として改められました。

この法改正により、抵当権消滅請求を受けた担保権者は抵当権消滅請求金額に納得がいかない場合、2ヶ月以内に競売の申立てを行い、これに対抗できるものとなりました。

 

抵当権消滅請求への銀行の対応

さて、抵当権消滅請求を受けた銀行はどう対応したのでしょうか?

 

①手続きの不備がないか確認

銀行はまず抵当権消滅請求の手続き上の不備がないかを確認します。

たとえば、

  • 新しい所有者である友人が抵当権消滅請求権を行使できる第三取得者に該当するか
  • 不動産登記簿謄本の原本を送ってきているか

といった法律の求める要件を備えているかどうかを確認します。

本件においては手続き上の問題はありませんでした。

 

②抵当権の抹消に応じるか競売を申し立てるかの判断

次に銀行が考えることは、

  • 抵当権消滅請求をのみ、1100万円の弁済を受けて担保権の抹消に応じる
  • 競売の申立てを行う

のどちらかの判断をしなければなりません。

抵当権消滅請求における提示額が銀行内の評価を大きく下回る場合は、躊躇なく競売を申し立てればよいのですが、本件の場合は微妙なところです。

一般的な銀行の対応としては、抵当権消滅請求を受けたらただちに不動産鑑定を行い、その正確な担保物件の評価を行うことになります。

不動産鑑定士と打ち合わせた結果、もし競売となると900万円から1050万円の評価が出るのではないかということでした。

結局銀行の最終判断は、本件1100万円での抵当権消滅請求を受けるというものになりました。

理由としては、競売となれば費用も時間もかかるし占有者が存在する物件は落札が困難な場合があるからです。

まとめ

『たられば』の話ですが、最初に提案のあった任意売却を進めていれば1440万円を回収することができたのに、本件は残念なケースでもったいないといえます。

本件のケースとは別に、任意売却を進めていて配当の見込みがまったくない後順位債権者が、解除料相当での抵当権抹消にどうしても応じないという理由で任意売却が流れたような場合に、抵当権消滅請求制度を使うケースがあります。

具体的な運用方法としては、まず担保物件の購入希望者に所有権を購入させます。この場合は抵当権付きの不動産であるため、売買価格は少額で行っても問題ありません。

その上で、この購入者から抵当権消滅請求を競売想定価格から時価の範囲内で行います。

すると後順位抵当権者は、

  • ゼロで承諾する
  • 競売申立

のどちらかを行わざるを得ない状況に追い込まれることになります。

しかし、この後順位抵当権者がたとえ競売を申し立てたところで、無剰余で競売取り消しとなってしまう可能性が高いといえます。

このように、後順位の配当見込みのない担保権者が解除料相当で担保抹消に応じない場合には、抵当権消滅請求制度を利用して担保物件をうまく取得できないかを検討することができるのです。

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