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不動産の減価償却まとめ【減価償却費計算・節税・デッドクロス】

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減価償却費の計算方法から節税対策まで不動産投資の減価償却のすべて

不動産投資において減価償却の仕組みを最大限に活用することで収益に大きく差が出ることはご存知でしょうか?

減価償却という言葉を聞いたことがあるものの、詳しい内容まではあまり理解せずに不動産投資に取り組んでいる人は少なくありません。

それでもなんとかなっているという現実もありますが、知るべきことを知っておくことでより戦略的に不動産投資戦略を組み立てることができるのです。

減価償却は税法で認められている合法的に節税できる手段です。

その最大のメリットはキャッシュアウトせずに経費に計上できるということです。

不動産投資で収益にばかり目が奪われてしまうと、せっかく稼いだ収益が税金として持っていかれてしまいます。

それは最終的に手元に残る税引き後のキャッシュフローが少なくなるということを意味します。

最終的な利益である税引き後のキャッシュフローを最大化させることが不動産投資の収益を最大化させることにつながります。

また減価償却の知識がないと、デッドクロスという最悪の事態を招いてしまうことになります。

この記事では、減価償却費の計算方法から節税対策やデッドクロスまでのすべてをご紹介します。


Contents

減価償却の基本が今すぐにわかる5つのポイント

ポイント①:建物の減価償却とは

建物の経費化のルールが減価償却

建物が減価償却できる、つまり経費化できるという話をすると、どうして建物が経費化できるのかわかりにくいと言われます。

建物は丈夫なものは、確かに200年300年と維持しているものもあります。

そのため、建物の価値が落ちていくというイメージが持てないかもしれませんが、自宅をイメージするとわかりやすいと思います。

自宅で築年数が30年以上経過したものは、なかなか住みにくくなります。

そろそろ建て替えでもするか、というタイミングになってくると思います。

つまり、新築当時より明らかに価値が落ちているということです。

このことを建物の価値が減価していくといいます。

反対に土地は長い年月が経っても土地は土地であり減価しないので、減価償却資産にはなりません。

そして、減価するようなものについてはその価値減少分を経費に認めましょうというのが償却という考え方です。

もちろん自己利用はダメで、事業用資産として使われるものです。

したがって、事業などの業務のために用いられる建物、建物付属設備、機械装置などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。

このような資産を減価償却資産といい、使用期間に応じて経費化できるものです。

 

ポイント②:なぜ使用期間に応じて経費化するのか

一括で経費にすることがおかしい理由

まずは一括で経費にすることがおかしいことを理解します。

例えばですが、5千万円(利回り10%)のアパートを建築したとしましょう。

5千万円を投資したのだから、その年に5千万円を経費にすると、当然ながら大赤字になります。

そして翌年は経費がなく利益だけが出てきてしまうことになります。

そうなると、投資初年度は大赤字、2年目は利益が出るとなると、この投資が決算書に与える影響が大きく、不動産投資家にとっても税務当局にとっても、大変な問題となります。

不動産投資家からするとビルなどを購入すれば初年度に大赤字になるので、不動産投資としても問題があるように見られてしまいますし、税務当局からすると、いきなり税金が取れなくなるわけです。

例えば、今年度は利益が大きく出そうだからその利益の分だけビルや不動産を買ってプラスマイナスゼロにしてしまおう!などということを認めると、永遠に税金が取れなくなってしまうからです。

このようなことを認めると、

  • 特に上場企業であれば、決算書が大きく振れてしまうので、評価が安定しにくいこと
  • 税金面では、いきなり投資初年度に大赤字になり税金を払わなくなると、税収入の面で不安定になってしまう

ということを避けるため、原則としては経費化を一括では認めない方向になっているのです。

 

ポイント③:建物費用を期間で按分していく

建物構造により期間が違う

投資用のアパート・マンションは、10年、20年、30年と長く使うものであり、1年限りの消耗品ではありません。

そのため、使う年数に応じて少しずつ費用にすべきだと考えるのがごく当たり前の考え方になります。

建物構造で頑丈なものは長く、頑丈でない建物は短い使用期間になり、その期間で費用にすることになります。

使用期間で1年ごとの費用を算出し、決算書に減価償却費という経費を計上できることになります。

減価償却とは買った時に一度に費用にしないで、毎年少しずつ費用に分けるという考え方です。

例えば、建物の建築費が5千万円のアパートは、22年で少しずつ計上していきます。

1年ですと約227万円が経費にできるということです。

 

ポイント④:決算書上の建物価値をわかりやすくする

簿価という考え方

もし1年ですべてを経費化すると、翌年建物は残っているのにも関わらず建物価値がゼロになるというおかしなことになります。

そこで、使用期間から毎年少しずつ経費化することで、翌年の建物の価値を合理的に算出することができます。

先ほどの例ですが、5千万円のアパートが翌年になるとどの程度の価値かというと、

◎5千万円-1年分の減価償却費227万円=4,773万円

というように、1年後の建物価値を合理的に決算書に反映できるという利点もあります。

 

銀行融資にも残存価値が反映される

当然ながら、銀行は、あと1年で価値がゼロになるような建物に融資をすることはできません。そうなると銀行は1年で回収しなくてはならなくなるからです。

そのため、銀行融資の側面からも、建物の価値が少しずつ落ちていくようにしないと、銀行融資そのものが成り立たないということになってしまうのです。

 

ポイント⑤:キャッシュの回収

一括経費化の方が投資家にとってはありがたいが

本当はキャッシュの回収面でいえば、初年度にすべてを経費化すると初年度から何年かは初年度赤字の繰り越しのおかげで、税金を払わなくて良い状態になります。

これは投資家からすると、とても良いことなのですがさすがにこれは税務当局が認めません。

そこで、毎年少しずつ経費化することで、投資したキャッシュを回収していくことになります。

建物を建築した際に、お金は払っているので、翌年以降は現金の支出は伴わない費用を計上していけるということになります。

このことを節税と呼ぶ人もいますが、初年度にお金は払っているので長い期間かけてキャッシュを回収しているというほうが正しい考え方といえます。

とはいえ、不動産投資は利益が出やすく納税負担の大きいビジネスのため、毎期こうした建物の減価償却ができることは安定不動産投資する意味でとても大きな意味と価値をもっています。

つまり、毎年『利益+減価償却』の分だけキャッシュが回収されていることになります。

投資額に見合う効果が得られているかは、利益+減価償却の合計で計算すると良いということです。

 

減価償却費の計算方法

減価償却とは取得した資産に要する金額を一定期間にわたって経費化していく手続きのことです。

減価償却の対象となる資産は様々ですが、償却資産の種類によって減価償却できる期間である法定耐用年数は異なります。

ちなみにこの法定耐用年数は国税庁が定めていますので、そのルールにのっとって減価償却を行っていくことになります。

収益物件においては建物が減価償却の対象と決められています。

そして建物の構造に応じて償却する年数が決まっています。

例えば、

  • 鉄筋コンクリート造:47年
  • 鉄骨造:34年
  • 木造:22年

というように構造ごとに法定耐用年数が決められています。

 

簡便法と見積法、定額法と定率法

さらに、それらの収益物件を中古で買った場合には購入時点での経過年数に応じて取得後の償却年数が決まります。

 

簡便法

簡便法とは国税庁が中古の資産を償却するにあたって設けているルールです。

中古建物の耐用年数の簡便法による減価償却年数の計算例は下記の通りです。

  1. 築年数が法定耐用年数の一部を経過している場合
    ◎耐用年数=(法定耐用年数-築年数)+築年数×0.2
    木造で築10年の場合
    (22年-10年)+10年×0.2=12年+2年=14年
  2. 築年数が法定耐用年数をすべて経過している場合
    ◎耐用年数=法定耐用年数×0.2
    木造で築23年の場合
    22年×0.2=4年

 

見積法

見積法は実際の使用可能年数に応じて減価償却年数を設定するもので鑑定などが必要となり、現実的には簡便法がわかりやすく実務上も多く使用されています。

 

定額法と定率法

年間の減価償却額の算出方法には、

  • 定額法
  • 定率法

があります。

定額法は取得金額を単純に年数で割って減価償却額を算出します。

定率法は取得金額を一定の率にのっとって償却していく算出方法になります。

例えば、築25年の建物価格が5000万円の木造アパートの場合は、5000万円を4年間定額法で償却するので、単純に年間1250万円が減価償却費として4年間毎年計上されることになるのです。

 

減価償却は『金額は大きく&期間は短く』

毎年1億円の税引き前利益が出ている会社があるとして、その会社が収益物件を取得して総額1億円の減価償却が可能だとすると、

  1. 2500万円×4年
  2. 250万円×40年

のどちらで償却するのが効果的でしょうか?

答えは言うまでもなく、1の『2500万円×4年』です。

なぜなら、短期間で多額の経費を計上し、その分の節税ができれば、浮いたお金を別の投資や本業の拡張などに自由に使えるからです。

また、減価償却として赤字計上する1億円は4年で償却しても40年で償却しても同じとはいえ、納める税金の額は異なります。

それは、日本の税制は累進課税であり、利益が多ければ多いほど税率は上がるからです。

そのため、4年間で2500万円ずつ、『大きく、短く』減価償却して、一気に税引き前利益を圧縮したほうが、結果として税金の総額を抑えることにつながるということです。

年間250万円の赤字ではそれほど税引き前利益を抑えられず、その結果節税効果も大きくなりません。

累進課税を考慮した場合、安定して多額の税引き前利益が出ている法人や個人であればあるほど、『大きく、短く』の減価償却が効果的になるのです。

中古の収益物件においては、土地と建物の価格の合計での取引になりますので、その内訳が重要になります。

減価償却というのは耐用年数にのっとって償却期間が決まりますが、物件によって4年で償却できるものから40年以上にわたって償却するものまでまちまちです。

節税という観点から見ると、この年数が短ければ短いほど効果が高いといえます。

できれば1年で全額償却できるのが理想ですが、現実にはそのような物件は税法上ありえません。

日本の税制においては、不動産の場合、木造の物件が最も法定耐用年数が短く、鉄筋コンクリート造の物件は長くなっています。

最短で償却できるのは法定耐用年数のすべてを超過した築22年超の木造物件で、4年間で償却ができるようになります。

この視点から見ると、中古の木造アパートが最も効率よく節税できるということになります。

 

建物価格をできるだけ大きくして減価償却費を最大化するポイント

買主にとっては建物価格をできるだけ高くしたほうが得

収益物件の価格は売買時における土地と建物の総額で、売主と買主の間で合意して決まります。

総額が同じであれば、買主にとっては建物価格を大きくしたほうが得だということです。

同じ1億円の物件でも、

  1. 土地8000万円、建物2000万円
  2. 土地2000万円、建物8000万円

を比較すると、2の物件のほうが6000万円多く償却できるので、節税という観点からは大幅に得をするということになります。

 

売主にとっては建物価格をできるだけ安くしたほうが得

売主にとっての建物価格は、買主とまったく逆になり、できるだけ建物価格を安くしたほうが得になります。

なぜなら、土地には消費税がかかりませんが、建物には消費税がかかるからです。

  1. 土地8000万円、建物2000万円
  2. 土地2000万円、建物8000万円

Aでは消費税は148万円(2000万円÷1.08×0.08)なのに対し、Bでは消費税が592万円(8000万円÷1.08×0.08)となります。

なので、1億円で売却した場合の売主の手取り額が、Aは9852万円、Bは9408万円となり、手取り額が変わってしまうのです。

土地価格が高く建物価格が安いほうが売主には有利に働くということです。

ただし、個人の売主の場合などで消費税を納める義務のない非課税業者扱いの売主も多くいますので、そのような売主にとっては土地と建物価格の内訳はまったく関係ないことになります。

 

売主買主の合意により土地建物価格割合は決定する

売買価格と同様に、あくまでも売主・買主の合意に基づいて土地と建物の価格割合は決定されます。

そのため、必ずしも買主に有利な条件を実現できるというわけではありません。

しかし、買主の立場としては、このように建物価格を大きく取ることで節税効果が高くなるということは知っておくべきです。

そして、売買契約書に取引の総額だけではなく、土地と建物それぞれの金額をきちんと明記することが重要です。

売買契約書に金額が明記されれば、その金額が建物価格の根拠になるからです。

売買契約書に土地建物価格が明記されているということは、税務調査時においても非常に大切になりますので、必ず明記するようにしてください。

 

減価償却費を建物本体と付帯設備を分けて償却期間を短縮できる

収益物件を購入する際、物件全体に占める建物価格の比率をできるだけ大きく取ることで、減価償却を大きくとることができます。

そして、建物本体(躯体部分)付帯設備(給湯器やエレベーターなど)に分けて償却することでその減価償却の効果をさらに大きくすることができます。

付帯設備の耐用年数は15年と決められていますので、建物本体よりも短く償却することが可能です。

法定耐用年数(15年)を超えた部分は3年で償却が可能です。建物本体と設備部分を分けることで、設備部分の償却期間を使って減価償却期間を短くできるのです。

RC造の収益物件のように、建物本体の耐用年数が長い収益物件を購入した場合でも、設備の償却期間は同じ15年なので特に有効な手段となります。

ちなみに、以前はこの3年が定率法で償却できたのでさらに初年度の効果が高かったのですが、平成28年より定率法が認められず、定額法のみの減価償却となりました。

それでも3年で償却できればその効果は大きいといえます。

 

建物と設備を分けた減価償却の事例

設備部分の割合としては、建物全体の1~2割程度(エレベーターがある場合などでは最大3割程度)が一般的なのですが、物件に応じて設定する必要があります。

例えば、

  • 建物価格1億円
  • うち設備価格2000万円
  • 築23年
  • RC造

の物件ではどうなるのか見ていきます。

築23年の物件なので、残りの減価償却期間は28年です。建物本体と設備を分けない場合は、年間の減価償却費は、

1億円÷28年=357万円

となります。

これを建物本体と設備を分けた場合、年間の減価償却費はどうなるかというと、

建物本体:8000万円÷28年=285万円
設備部分:2000万円÷3年=666万円
合計:951万円

となります。

2年目、3年目も同様の償却費となり、最初の3年間でなんと、

951万円×3年=2853万円

の減価償却が可能となります。

 

減価償却を最大限に活用した不動産投資拡大の3つのポイント

ポイント①:減価償却用に収益物件購入

例えば、今期の利益が1,000万円近く出ると仮定します。

そうすると、個人で課税所得1,800万円以上の高額所得者であれば、実効税率は50%以上になってしまいます。

つまり、何も税金対策をしていないと不動産投資での利益の半分以上を税金として納めなくてはならないことになります。

これを避けるために使えるのが減価償却です。

減価償却用に収益不動産を購入し買い増すことで利益を圧縮して税金をコントロールする方法がよくとられます。

単純に今期の利益1,000万円に対し、減価償却が1,000万円になる収益不動産を買い増しすれば当期の利益はゼロとなります。

利益と税金をコントロールしないと500万円もの税金の支払いが発生するのに対し、収益不動産を買い増しして減価償却用資産を増やすことで、税金がゼロになるということも可能です。

利益が出てきたら、新たに物件を購入して減価償却を使って税金をコントロールするという考え方が必要になってきます。

不動産投資は帳簿上の利益が出やすく、赤字になりにくいビジネスではありますが、将来的に物件の修繕や突発事項などもありますので、課税されて現金を吐き出すことなく、会社に現金を保有できるような仕組みにしていくことが、不動産投資の財務基盤を強くしていくことにつながります。

不動産投資は税法上、借入の元金返済分が経費にならないので、税金をコントロールしないと手元現金がないのに税金の支払いが発生してしまうことがあります。

これをデッドクロスと呼びますが、不動産投資は利益をコントロールしないと手元に現金が残りにくいビジネスともいえます。

 

ポイント②:減価償却は課税の先送り

減価償却は税金のコントロールに使えますが、税金の支払いから逃れられるわけではありません。

一般の事業では、黒字の時と赤字の時があるので、黒字の時に減価償却を使い利益を圧縮し赤字の時に減価償却資産を売却し相殺するような節税対策をします。

しかし、不動産投資では数年運営するとなかなか赤字になりにくいビジネスですので、事業の波で赤字になるということが少なく減価償却用の収益物件を売却すると多額の利益が発生し、そこに課税されることになります。

減価償却用の収益物件を売却する時には、多額の利益が出るため大規模修繕や次の新たな減価償却用の収益物件を購入するといった節税対策を延々と行っていくことになります。

よく不動産投資をマグロに例えて、止まったら死んでしまうと言われる所以でもあり、事業を拡大しては節税しての繰り返しになります。

結局減価償却で利益を圧縮しても物件売却時にその分の利益が出るので、減価償却は税の先送りである繰り延べに過ぎないとも考えられるのですが、メリットもあります。

 

ポイント③:減価償却のメリット

  • 課税を先送りしてできた現金を、次に購入する収益物件の頭金などの資金繰りに役立つ
  • 課税を先送りしてできた現金は、無利息で融資を受けたのと同じ効果がある
  • 個人の収益物件売却時には、5年以上保有すると長期譲渡所得となるため、20%程度と税率が低い
  • 中小法人で、課税先送りで課税所得を800万円以下にできれば、実効税率を下げることができる

という多くのメリットがあります。

不動産投資上では、課税先送りにできた現金を次の物件の購入の頭金に使えることは大きなメリットとなります。

5年以上の保有の個人の場合は長期譲渡所得の20%程度の税率が適用されるため、高額所得者は建物の減価償却で利益を圧縮し、売却時の利益も20%程度しかかからず節税対策上でも有利になります。

 

減価償却を活用した法人の節税対策法

税金の先送りと売却時期の調整で経営を安定させるのが狙い

物件を売却した場合、売却金額から簿価を控除し、さらに売却に要する費用を控除した利益に対して課税されます。

利益を出す式は下記となります。

◎売却金額-簿価-売却に要した費用=利益

上記の利益に対して課税されます。

簿価とは、取得価格から毎年建物と設備の部分を減価償却していった残額となります。

売却に要する費用とは、仲介手数料や売買契約書に貼付する印紙代などになります。

なので、減価償却が終わった総額1億円(建物価格5000万円・土地価格5000万円)の物件が1億円で売れた場合は、

◎売却金額1億円-購入金額1億円=0だから利益はゼロ

となるわけではなく、所有している間に減価償却していた建物分5000万円が簿価から引かれていますので、

◎売却金額1億円-簿価5000万円=5000万円=利益

となり、この5000万円から売却にかかる費用を差し引いたものに課税されるというルールになっています。

つまり、減価償却で数年にわたって税金がかからなかった利益に対してここで課税されることになるので、減価償却による節税は本質的には課税を先送りしているといえます。

ここで大切なのは、減価償却によって課税額を一時的に減らして先送りしている効果と売却の出口戦略を考えることです。

もしトータルで納める税額が同じだったとしても、減価償却を使って税金の支払いを先送りにすることで、手元に今すぐ使えるキャッシュを残すことができます。

経営という観点からすると、その手元キャッシュを運用できることに十分なメリットが生まれています。

今日の1000万円と5年後の1000万円は価値が全く違います。

今手元に1000万円があれば、別の投資商品に投資することもできれば、本業の運転資金や拡張資金に充てることもできるからです。

5年後にしか1000万円が手元に入らないのであれば、同じことをしようとすれば金利を払って借り入れるか、手元資金を崩さなくてはなりません。

実際の収益物件の運用では、キャッシュフローを得ながら減価償却で課税を先送りにしておき、

  • 税所得を本業が赤字の年にぶつけて相殺する
  • 減価償却が終わるタイミングで別の物件を追加で購入して、さらに課税を先送りにする

などといった臨機応変な節税対策が立てられます。

 

法人は減価償却により全体の税金をコントロールできる

収益物件の運用の優れた点は、利益を確定させる売却時期を任意に決められるところにあります。

法人の場合で減価償却を利用して、4年間3000万円ずつの利益を圧縮し、その税金である1200万円を繰り延べてきたとします。

そして、5年後に1億2000万円の本業赤字が出たとして、その年にこの物件を売却することができれば、4年間繰り延べてきた収益物件運用の利益と本業の赤字が相殺されて、全体で1200万円×4=4800万円の節税ができたことになります。

このように、収益物件の減価償却を利用することで、本業もあわせた全体の税金をコントロールし、会社経営の安定度を高めることが可能となります。

生命保険などでは、満期の設定があらかじめされており、任意に利益を出す時期を設定することができません。

しかし、収益物件であれば、取得から売却までの一連の活動の中で、自分自身で戦略を立てることができるという大きなメリットがあります。

 

減価償却を活用した個人の節税対策法

個人は保有時と売却時の税率のギャップで節税できる

個人で収益物件を運用する場合は、物件の保有期間にかかる税率と売却時にかかる税率にギャップがあるため、さらにメリットが得られることになります。

個人の場合は単純に税金を先送りしているだけではなく、税額そのものが少なくなるということです。

ここが個人の収益物件運用の節税における最大のポイントとなります。

個人の不動産投資における損益は、他の所得と通算されたうえで課税される総合課税です。

例えば、所得税の最高税率55%の人であれば、減価償却で赤字を計上した額面に税率55%を掛けた額の節税効果があります。

仮に収益物件の減価償却で500万円の赤字が出れば、節税効果は単純計算で500万円×55%=275万円となります。

それに対して収益物件の売却時の税率は、他の所得とは切り離して課税される分離課税となります。

収益物件を5年超所有した後に売却する長期譲渡においては、税率が約20%となりますので、保有時の税率と比較して35%ものギャップが生じるので、大幅な節税が可能となります。

 

最高税率(55%)の個人が木造築古物件で毎年500万円、4年間減価償却した場合

建物価格2000万円について、4年にわたり毎年500万円ずつ減価償却を行った場合、毎年の節税額は500万円×55%=275万円、なんと4年間で計1100万円の節税となります。

6年目に購入時と同じ価格で長期譲渡(税率約20%)した場合、減価償却分2000万円の譲渡益にかかる税金は、2000万円×20%=400万円となるので、差し引き1100万円-400万円=700万円もの節税ができたことになります。

このように個人の場合は保有時と売却時の税率のギャップを利用することで、税の先送りだけではなく、文字通りの節税が実現し、不動産投資全体での利益の最大化が可能となります。

 

減価償却費の違いで税引後キャッシュフローが大きな差になる比較事例

税引き後の収入に大きな影響を及ぼすのが減価償却費です。

下記事例①および②を比較してみるとよくわかるとおり、減価償却の設定によって税金の額が大きく異なり、さらには税引後の手取り収入が大きく変わってきます。

 

比較事例物件

  • 物件価格:1億円
  • 重量鉄骨造
  • 築年数:17年⇒減価償却期間20年
  • 税率:50%

物件①

  • 土地:7000万円
  • 建物:3000万円
  • 減価償却費:150万円/年
税引き前キャッシュフロー
賃料収入 1000万円
諸経費 200万円
元利金返済 500万円
税引き前キャッシュフロー・・・A 300万円

 

物件②

  • 土地:3000万円
  • 建物:7000万円
  • 減価償却費:350万円/年
税引き前キャッシュフロー
賃料収入 1000万円
諸経費 200万円
元利金返済 500万円
税引き前キャッシュフロー・・・A 300万円

 

物件①と②の税引き後キャッシュフロー比較表

  物件① 物件②
賃料収入 1000万円 1000万円
諸経費 200万円 200万円
借入金利 200万円 200万円
減価償却費 150万円 350万円
所得 450万円 250万円
納税額・・・B 225万円 125万円
税引き後キャッシュフロー(A-B) 75万円 175万円

 

物件①と物件②は何が違うのか?

物件①と物件②の違いは減価償却費の額です。

つまり、物件価格に占める建物の価格が違うということです。

同じ物件価格1億円の物件でも、税引き前キャッシュフローは同じなのに、土地と建物の価格の割合が違うだけで2倍以上もの税引後のキャッシュフローの差になります。

上記事例では物件①は75万円の税引き後キャッシュフローであるのに対し、建物価格の割合が大きい物件②は減価償却費が大きく取れ、税引き後キャッシュフローが175万円と物件①の2倍以上になっているという結果です。

 

債務償還年数という考え方

債務償還年数とは?

銀行員が最も重視しているのが債務償還年数と言われています。

お金を貸す側からすると、

  • 確実に返済できるかどうか
  • 貸したお金が毎年生み出される現金でどれだけの年数で返せるか

が重要であり、その指標として会社が利益やキャッシュフローで借入金を何年で返せるのかを見ていることになります。

計算式は下記のようになります。

◎債務償還年数=(有利子負債-現金)/(税引後利益+減価償却)

となり減価償却が分母でプラスされているところがポイントとなります。

 

計算式に減価償却費がなぜ入っているのか?

減価償却費とは、建物の取得価格を耐用年数で割って経費化していくものです。

実際には手元からキャッシュアウトしないのに経費(損金)計上できるのが減価償却費です。

これは他のどの経費と比較しても、減価償却費だけが持つ特徴となります。

他の経費は使えば使うだけ、その分のキャッシュアウトが伴うために、決算の質はその分悪くなってしまいます。

しかし、減価償却費だけは、キャッシュアウトが伴わないために、多くてもその分決算は良くなりやすいからです。

そのため、銀行は、何年で貸したお金が返ってくるかを見るときに、

『減価償却費をプラス』

して見てくれます。

つまり、減価償却費で利益を圧縮したとしても、減価償却費をプラスで戻して見てくれるため、減価償却費が増えても銀行評価はマイナスにならないということになります。

これは、よく覚えておきたいポイントなのですが、

『減価償却費を増やしても銀行評価は下がらない』

これがくどいようですが、不動産投資にとっては重要なポイントとなります。

もちろん、収益を生まない資産であれば、購入する意味がありませんが、収益の上がる資産であれば、それだけで銀行の評価が下がるということはないことになります。

 

減価償却はキャッシュフローに加算して評価される

金融機関が本人の属性や経営している会社の財務状況を見るとき、減価償却による利益の圧縮や赤字をどのように評価するのかというと減価償却が多くて赤字になっているからといって金融機関の評価が下がることはありません。

金融機関は個人でも法人でもその貸出先がきちんと返済ができるか、つまりキャッシュフローを最重要視します。

減価償却費はキャッシュアウトを伴わない唯一の経費です。

帳簿上に費用計上されるだけでありその金額が出ていくわけではないのです。

そのため逆に

◎利益+減価償却費

キャッシュフロー(稼ぐ力)を判断してくれます。

最近ではバランスシート(貸借対照表)、損益計算書に加えて、キャッシュフロー計算書が経営上も重視されるようになってきました。

このキャッシュフロー計算書でも『利益+減価償却費』がスタートの金額になっていますが、発想は同じで減価償却費は支出を伴わない唯一の経費なので利益に加算して計算することになります。

機械や車両、太陽光発電システム、そして収益物件など、これらの償却資産の取得によって多額の減価償却費が計上されていても、それらはきちんと金融機関が見て評価してくれます。

また、法人の場合で稀に高額の役員報酬を取っている人で会社の損益計算書が赤字のケースがあります。こういう場合はどのように判断されるでしょうか?

この場合も同様に融資は受けられます。

オーナー会社においてはオーナー社長が会社に利益を残すか役員報酬として個人に移転するかだけの違いであり、金融機関はキャッシュフローとして、

◎利益+役員報酬+減価償却費

を利益として見ています。

 

デッドクロスと減価償却の関係

デッドクロスとは・・・キャッシュフローと申告税額の逆転現象

減価償却の減少がデッドクロスを招く

減価償却費は初期投資分を毎年分割して経費にしているにすぎません。

実際に不動産投資家の財布からお金が出ていくわけではないので、手元に残るキャッシュより申告所得が少なくなるという現象が起きて、その結果所得税が節税できることになります。

これが逆になると、手元に残るキャッシュより申告所得が大きくなってしまうデッドクロスが起こります。

減価償却には大きく経費を出せるというメリットがありますが、大きな罠も潜んでいることに気付かなければ後で痛い目にあってしまいます。

収益物件の購入当初は減価償却額が大きいので、その分大きな節税メリットを受けることができますが年月の経過とともに節税効果も薄れていってしまいます。

 

建物・設備の償却期間のズレが原因

これは、建物、設備それぞれの法定耐用年数と償却方法の違いが関係しています。

前章でも触れたように、建物の償却方法は簡便計算により、全体の7割を定額法で、コンクリート造が47年、鉄骨造が34年、木造が22年で、毎年均等に経費に計上していくことになります。

一方、設備は全体の3割を定額法で償却していくのが一般的で、その基本的な償却年数(法定耐用年数)は15年。

その結果、年数が経過するほど節税に有利な減価償却費が減っていくことになります。

減価償却による節税効果は15年もたてば、設備部分の減価償却費はすっかりなくなってしまうからです。

 

ローンが追い打ちをかける

その一方でローンの返済方法が追い打ちをかけることになります。

ローンの返済方法は

  • 元利均等返済
  • 元金均等返済

の2つがあります。

元利均等返済は毎月、元金と金利の合計額を一定額にして返済していく方式で、返済開始当初は返済額のほとんどが金利分で、返済が進むごとに元金の返済割合が高くなっていきます。

元金均等返済は毎月の元金返済額を一定にする返済方法で、当初は金利との合計額が大きくなりますが、毎月一定額で元金が減っていくため、トータルで見れば元利均等返済よりも総支払額は少なくなります。

不動産投資家は変動金利で元利均等返済方式で借りることが圧倒的に多いです。

なぜなら、元利均等返済のほうが元金の返済を遅らせることができ、毎月の元利返済額が一定なので事業計画が立てやすく、元金は時間をかけてゆっくり返済することができるため、当初手元に残るキャッシュフローが多くなるからです。

 

増えていく元金の支払い分と減っていく金利部分

ローンで不動産投資をする場合は、このことに注意を払わなければなりません。

元利均等返済は毎月の返済額は一定ですが、返済額に占める元金の割合は次第に増えていきます。

毎月元金の返済が増えていくということは、次第に経費にならない元金の返済が増え、経費にできる金利部分の返済が減ってくるということです。

その一方で、実際にお金は出ていかないが毎年経費にできる減価償却費の額は年々減っていきます。

そうなると、そのうちお互いの金額が逆転してしまうポイントが訪れることになります。

このポイントがデッドクロスです。

デッドクロスを過ぎると、手元に残っているキャッシュフローよりも、申告所得のほうが多くなってしまうという、節税と正反対の結果となってしまうのです。

それはすなわち、手元にキャッシュが残っていないのにさらに課税がかかって税引後利益がマイナスになるということです。

 

デッドクロスと支払利息との関係

デッドクロスを必要以上に恐れてはいないでしょうか?

銀行からの融資で物件を購入した際、借入金の返済額すべてを経費に計上できればいいのですが、税法上金利分しか経費計上できないことを把握しておきます。

そしてデッドクロスが起こり得るということを知っておき、どのような状況でデッドクロスが起こるのかを事前に予測しておけば、それほど恐れることはありません。

 

支払利息の経費計上

経費計上できるもの

借入金返済のうち、支払利息分のみ。

ただし、不動産所得が赤字の場合は、赤字のうち土地等を取得するために要した借入金利子部分は必要経費には算入できない。

 

経費計上できないもの

  • 銀行への毎月の支払いのうち、元本返済部分(負債が減っているため)
  • 不動産所得が赤字の場合は、赤字のうち土地等を取得するために要した借入金利子部分
  • 開業前に支払う土地、建物の借入金利は、資産の取得原価に計上

 

支払利息しか経費計上できない

銀行への借入金の返済は、支払利息しか経費になりません。

つまり、元本返済分については必要経費とはなりません。

銀行への返済で現金支出をしているのですが、元本返済分は経費とならないため、元本返済分については現金支出が伴うのに税金がかかる対象となります。

ここが不動産投資の税務においてもっとも大変なところです。

現金が出ていくのに経費にできない支出となるため、キャッシュが手元にないのに税金の支払いに追われることになるからです。

 

初めて不動産投資を行う場合

初めて不動産投資を行う場合は、業務開始日前までに取得した土地、建物の借入金金利は取得価額に含めることになります。

すでに業務を営んでいる場合は経費化できます。

業務開始の判断は、建物が完成して賃貸するという意思表示を客観的にした時点と考えられています。

  • 不動産会社に入居者の仲介斡旋を頼んだ時点
  • 入居者の募集広告を行った時点

などがその意思表示だとされており、よく確認することが必要です。

 

デッドクロスが発生しやすい状況

 

どのような状況でデッドクロスが発生しやすいかというと、

  • 元本返済額が減価償却費より多くなる
  • 課税所得が上がる
  • キャッシュフローが出にくくなる

という流れで起こりやすくなります。

つまり、元本返済分と減価償却は、課税所得を計算する際に、真逆の動きをするので、この関係が崩れるとキャッシュフローが出にくくなるということです。

  • 元本返済分・・・現金支出があるのに、経費にできず税金がかかる対象
  • 減価償却・・・現金支出がないのに、経費にできるので税金がかからない対象

そして、デッドクロスが心配されるのは、収支があまり良くない状況の物件を買ったときです。

利回りが高く家賃収入が高い物件であれば、確かにキャッシュフローは落ちてきますが、それほど恐れる問題ではありません。

不動産投資を拡大していくのであれば、物件を購入して増やしていけば、それに伴う経費や減価償却が増えてきます。

法人であればさらに、

  • 役員報酬を増やす
  • 旅費規程を作る
  • 法人保険を活用する

などのいろいろな節税手法を組み合わせることができます。

デッドクロスの心配はどちらかといえば少ない棟数を長年にわたって持ち続けるような運用の仕方をしている場合に発生しやすいといえます。

 

デッドクロス物件を所有しているだけで次の融資には致命的

もし所有している収益物件がデッドクロスになってしまったら、銀行からはどのように見られるのでしょうか?

だれもがデッドクロスにしようとして収益物件を買っているわけではありませんが、運営した結果として、

  • 当初は収益があがっていたのに、気が付いたらデッドクロスに陥っていた。
  • 税金や諸経費等を支払したあとで見直すと、収支がマイナスになっていた。または、ほとんんど手残りがなくなってしまっていた。

ということも多いのかもしれません。

融資がちゃんとついた物件にもかかわらずです。

実は銀行融資が通った物件が良い物件でありデッドクロスしない物件ではありません。

 

デッドクロス物件を所有しているだけで次の融資には致命的な理由

デッドクロス物件は保有しているだけで銀行には不動産投資家としての資質を疑われます。

不動産投資も銀行から見ればひとつの事業であり、不動産賃貸業である以上、収支が経常的にマイナスで慢性的なデッドクロスに陥れば、銀行は所有者に対し、不動産投資家としての資質、能力に疑義があると判断せざるを得ません。

これは不動産投資に限られたことではなく、銀行から運転資金を借り入れて事業を行っている事業者すべてにおいて当てはまることです。

不動産投資の場合は、

  • 物件購入によるもの
  • 大規模な修繕によるもの

など短期的な原因による事業収支のマイナスは問題ないとみなされます。

しかし、

  • 赤字が慢性化
  • 収支は常にマイナス
  • 融資の返済に支障をきたす
  • 早晩滞納するのが明らか

などのような致命的な状況に陥ってしまったときに、銀行の目は借入当初とは180度異なってきます。

この段階で銀行の貸出債権の分類が下がってしまうことが多いからです。

これは、融資した事業案件が、事業として成り立っていないとみなしているということです。

 

デッドクロスに陥ると次の融資はない

もし既存の保有物件にデッドクロス物件があれば次の融資は大変厳しいものになってしまいます。

たとえ次の案件が、超優良物件で担保物件としても申し分なく、銀行も是非うちで融資したいと思っても、必ずデッドクロスに陥っている保有物件について合理的な説明を銀行は求めてくるからです。

なぜなら、次の物件がどれだけ高収益でデフォルトリスクの小さい案件であっても、

  • ここで上がった収益は、既存のデッドクロスに陥っている物件の赤字補てんにまわってしまうのではないか?
  • どんなにこの物件で稼いだとしても、稼いだ分がそのままデッドクロス物件に吸い取られて、この物件でも利益が残らないのではないか?

という質問が本部審査から来るのは目に見えているからです。

まして、そのデッドクロス物件の取得が他行での資金調達によるものであり、他行の抵当権が設定でもされていれば、

  • なぜうちの銀行から融資して取得した優良物件なのに、その収益で他行の借入の返済を手助けしないといけないのか?
  • 本来うちの銀行に歩留まりするはずの預金で、なぜ他行の借入を返済しなくてはならないのか?
  • 融資するのみで取引内容に膨らみや複合取引化もなく、預金すらないのだったら、融資する意義はないのでは?

などと、本部審査からこれでもかとデッドクロス物件のことを突っ込まれると、これに対抗する材料を見つけるのは、できる銀行員でも至難の業であるといえます。

なぜなら、本部審査がデッドクロス物件について突っ込んでいることは、すべて合理的で筋が通っているからです。

たとえ不動産投資が初めてで、知識不足の中で投資した物件であったとしても、それはデッドクロスと擁護する理由にはなりません。

初めての物件であったとしても、デッドクロスは絶対に出してはいけないことだからです。

 

デッドクロスは銀行の責任ではない

不幸にも保有物件がデッドクロスに陥ってしまった場合、その案件に融資を付けた銀行に対して、

  • なぜ融資する前にその危険性を知らせてくれなかったのか?
  • なぜ融資する前に一言アドバイスしてくれなかったのか?
  • そうしたらもしかしたら買わなかったかもしれない。
  • そうしたらこんなことにはならなかったのに。
  • 銀行も貸したいから融資したんだから責任の一端はあるのではないか?

などと思ってしまう気持ちは分かります。

しかし誤解してはいけないのは、その物件を選択し、購入したのはまぎれもなく自分自身だということです。

すべての事業者がそんなことを言っているでしょうか?

『私の事業が失敗したのは貸した銀行にも責任がある』

という事業者がいるでしょうか?

たとえ不動産業者に煽られたとしても、満額融資がついたとしても、最後の事業判断は自分自身が行ったことなのです。

時々、銀行融資さえ満額で通りさえすれば、不動産投資がすべてうまくいくと勘違いされている人もいますが、これは誤りです。

融資が通ることと、不動産投資が上手くいく、上手くいかないは、別次元の話だと考えることが合理的です。

デッドクロスに陥るということは、銀行にとっても想定外のお話しなのですから。

あくまでも銀行が融資を決めるのは、独自の融資基準の中で回収見込みが高い場合です。

不動産投資は物件を取得した後に、運営して利益が出続けるようにしていかなくてはなりません。

なので、デッドクロスに陥ったのは、資金を融資した銀行のせいではなく、所有者の運営の失敗にあるということになるのです。

 

銀行がデッドクロスの案件処理を嫌がる本当の理由

不動産投資で所有している物件がデッドクロスに陥った場合、まずは銀行に相談されるのではないでしょうか?

売却するという方法もありますが、先に銀行に対して返済の見直しやく見直しの相談が必要になる場合も出てくると思います。

しかし、こういう場合の銀行の対応はいまひとつなことが多く、こちらは困っているのに、もう少し親身になって対応してくれてもいいのではないかと思われるかもしれません。

実は銀行にとって既存の融資案件を、慢性的な事業収支のマイナスの赤字を理由に組み替えすることは、積極的には取り組みたくない業務なのです。

 

銀行がデッドクロスの案件処理を嫌がる理由

理由①担当者の営業成績にならない

新規貸出案件ではないので、担当者も自分の営業成績にならないことをわかっています。

銀行の担当者としては、時間と労力を、できれば営業実績にカウントされる新規貸出案件の発掘に使いたいというのが本音のところです。

 

理由②事後管理は返済猶予に該当する

返済困難を理由に、

  • ローンの組みなおし
  • 金利引き下げ
  • 元本返済の猶予

といった対応である事後管理は、返済猶予に該当します。

銀行としては正常債権以上の引当金の計上が必要になり、収益を圧迫することになります。

しかも銀行内部的には収益につながらない、後ろ向きの案件になりますので、担当者も気持ち的には後ろ向きになってしまうのです。

おまけにその類の稟議書は、新規に貸出する稟議書以上に手間暇がかかり、営業成績にもならないという踏んだり蹴ったりの状況になるからです。

 

理由③自己の評価にも影響する

デッドクロスに陥って恒常的にマイナス収支の赤字になってしまった案件が、まさに自分が融資した案件で、しかも1年を待たずしてそのようなデッドクロスに陥ったとしたら、担当者にとっては最悪の案件となります。

自己の評価にも少なからず影響することになるからです。

 

デッドクロス物件の銀行相談時のポイントは2つ

相談を受けた銀行担当者も条件変更(組み直し、金利引き下げ、元本返済猶予など)の稟議書を作成する際にも、必ずこのことがポイントになってきます。

 

ポイント①原因の追求

どうしてデッドクロスの状況に陥ったのか?その原因を把握することが最初のプロセスとして重要です。

『家賃収入が減少した』

というのは理由になっていません。

そんなことは事業収支をみれば不動産の素人の銀行担当者でも分かるからです。

銀行担当者は、

『なぜ家賃収入が減少したのか?』

という原因を知りたいのです。

また、

『当初の稟議書では事業収支が十分成り立つ形で事業計画書を提示していたのに、なぜこのように短期間で状況が変わってしまったのか?』

ということを知りたいのです。

まずこの原因が明確で納得のできるものでなければ、銀行の審査部に対する説得力は無いといえます。

 

ポイント②改善策

原因を踏まえて実際にはどのように状況を打開する改善策を考えているのかを説明しなければいけません。

ただ単に、

『家賃収入が減少したから仕方がないので、返済条件を変更してください。』

では、稟議書の組み立てはできないのです。

大切なのは、

  • 今後どのように不動産を運営していくのか?
  • 少しでも家賃収入をアップさせるためにどんな努力をしていくのか?
  • 空室率を抑えるために、どのような努力をするつもりなのか?

など、自分自身が不動産投資家として経営努力をするという姿勢が重要になってきます。

そして、これらを考慮して、今後の事業展開をあらためて提示することが必要になります。

所有している収益物件がデッドクロスに陥り、銀行に相談に行ったとしても担当者はあまり乗り気ではないことが多いです。

条件変更など後ろ向きの事後処理業務は、担当者の成績になるどころか、自分の融資した案件であれば評価を下げることにもつながるからともいえます。

それでも、デフォルトになる前に銀行には相談する必要があります。

その際には、まず自分自身で原因の追究と改善策を考え、スキームを組み立てて、その上で返済計画の見直しが必要というロジックに持っていくことが最低限必要となります。

 

まとめ

いかがでしょうか?

減価償却費は収益物件購入時の建物価格に依存しますが、減価償却の仕組みをよく知ったうえで節税対策を行い、より戦略的に不動産投資を組み立てていくことが大切です。

そうすることで、税引き後のキャッシュフローを最大化させることができるので、その資金を元手にさらに不動産投資の規模を拡大させていくことが可能となるのです。

不動産投資の規模拡大を図りたいと考えているのであれば、減価償却の仕組みを最大限活用することが一番の近道となり、トータルでの収益の最大化にもつながるのです。

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