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賃貸契約の解約トラブルを未然に防ぐ賃貸契約実務4つのポイント

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賃貸契約の解約でトラブルにならないための3つのポイント

賃貸契約の解約については、トラブルにならない限りは、あまり関心がないオーナーも多いのではないでしょうか?

契約だけではなく、解約についてもオーナーはきちんと理解して、目を光らせておき、スムーズな実務で次の入居者募集へとつなげる必要があります。

賃貸契約の解約は、

  • 入居者側から申し出るもの
  • オーナー側から申し出るもの

があります。

当然ながらややこしいのはオーナー側から申し出るものになります。

また、賃貸契約が、

  • 普通借家契約
  • 定期借家契約

の場合でも異なってきます。

特に、入居者に対しては、生活の本拠としての権利を侵さないために、貸主からの契約解除には多くの制限があります。

賃貸契約の解約に関しても、無用なトラブルにならないためにも、ポイントを押さえて理解しておきたいところです。

また、賃貸借契約前に重要事項説明書をオーナー自ら確認しておくことも後々のトラブルの防止に役立ちます。


ポイント①:普通借家契約の場合

オーナー側からの賃貸契約の解約の申し入れ

この組み合わせがオーナーにとっては一番厳しいです。

立ち退きの考え方・立ち退き料の相場・円滑な立ち退き交渉

逆に借主にとっては最強です。

普通借家契約の場合、貸主であるオーナー側からの解約には、

  • 借主である入居者に対して6ヶ月前に書面による通知を行うこと
  • 解約について正当事由があること

が必要になります。

建物の普通賃貸借契約の場合、貸主の都合による契約解除が簡単だと、借主の生活の本拠が不安定になります。

そこで、借地借家法で

  • オーナー側からの解約
  • オーナーの更新の拒絶

を認める場合には、正当事由が必要であると定めれれています。

正当事由については、

  • オーナー(賃貸人)と入居者(賃借人)が建物を必要とする事情
  • 建物の賃貸借に関する従前の経過
  • 建物の利用状況および現況

によって判断され、さらに立退料の提供によって正当事由を補完することにより、最終的にオーナーからの契約解除が妥当かどうか判断されることになります。

しかし、

  • 賃貸人が自ら使用する事情がある
  • 入居者が契約違反を繰り返し行っている
  • 建物が老朽化している

などという理由があったとしても、直ちに正当事由として判断されることはなく、借主との協議が不調の場合は法的手続きが必要になる場合が多く、オーナーにとっては厳しい運用となっています。

オーナーが老朽化を理由に建物を建て替えることも自己都合となり正当事由にはならないくらいです。

普通借家契約において、オーナーからの賃貸契約の解約は、

  • 苦労するか
  • お金がかかる

可能性が高い仕組みになっています。

 

入居者側からの賃貸契約の解約の申し入れ

普通借家契約では入居者(借主)からの解約はいつでも行うことができます。

契約上の特約として、1ヶ月前の申し入れを定めるのが一般的です。

この申し入れから解約までの期間が定められた期間に満たない場合は、その期間に相当する賃料を支払うことで即時に解約することができます。

オーナー側から解約するのはあれほど大変なのに、入居者側から解約するのはあっけないほどとても簡単です。

 

ポイント②:定期借家契約の場合

オーナー側からの契約解除の申し入れ

定期借家契約の場合、契約期間中はオーナー(貸主)から契約解除を行うことはできません。

そういう契約です。

ただし、契約違反に基づくオーナーからの契約解除は可能です。

再契約を行わない場合には、契約期間満了とともに賃貸借契約は終了するので、即座に入居者に退去を求めることができます。

当然この場合は立退料を支払う必要はありません。

ただし、契約の終了にあたっては一定の手続きが必要になります。

定期借家契約への切り替えで貸主のリスクは確実に小さくできる

 

入居者からの契約解除の申し入れ

定期借家契約の場合は、原則として借主からも契約期間中の解約を行うことができません。

そういう内容の契約です。

ただし、建物の面積が200㎡未満の場合は、転勤、療養、親族の介護等のやむを得ない事情により解約することができるとされています。

実務上は、特約などにより1ヶ月前や2ヶ月前の通知で解約できる旨を定めるのが一般的です。

 

ポイント③:オーナーチェンジ物件の賃貸契約の切り替え

ポイント③:オーナーチェンジ物件の賃貸契約の切り替え

中古で収益物件を取得すると、新しいオーナーは入居者との賃貸借契約をどのように扱えば良いのでしょうか?

オーナーチェンジをした場合でも、以前のオーナーとの賃貸契約は引き継がれるので、オーナーチェンジを理由にいきなり賃貸契約を解約することはできません。

これは普通借家契約でも定期借家契約でも同じになります。

基本的に収益物件として購入した場合は、入居者には引き続き入居してもらうことになるので、購入後にどのように賃貸契約を引き継ぐのか、その内容を押さえておく必要があります。

 

契約期間の取り扱い

オーナーチェンジによって新たなオーナーに代わっても、以前の契約内容をそのまま引き継ぐのであれば、基本的に問題が起こることはありません。

契約期間も以前の契約と同じになります。

 

契約書を作成し直すか否か

従前の契約を引き継ぐだけの場合でも、厳密には新たに賃貸借契約書を作成し直すのがベターではあります。

このときの契約期間は、以前のオーナーとの契約期間と同じ始期と終期にしておくのが一般的です。

実務的には、オーナーチェンジ時は以前の契約内容を引き継ぐ旨の確認書を取り交わすにとどめ、次の更新時や再契約時に、正式な書面で賃貸契約書を取り交わすのが一般的になっています。

 

以前のオーナーとの賃貸借契約書がない場合

もし、以前のオーナーとの賃貸借契約書がない場合には、あらためて契約期間を設定した契約書を締結することになります。

また、当事者同士の合意による更新手続きがなく、法廷更新になっている場合には、期間の定めのない賃貸契約の扱いになるため、この場合もあらためて期間を設定した契約を締結することになります。

 

普通借家契約から定期借家契約への切り替え

従前の入居者との間で新たな賃貸借契約を結ぶ場合でも、それだけで普通借家契約から定期借家契約へ切り替えることはできません。

以前のオーナーとの当初の契約が2,000年3月以降であれば、入居者の同意を得て普通借家契約を解除し、定期借家契約にすることは可能になります。

 

ポイント④賃貸契約時の重要事項説明書で賃貸オーナーがチェックすべき4つのポイント

①重要事項説明書・賃貸借契約書のチェック

重要事項説明書・賃貸借契約書

宅建業法上、宅建業者が仲介をするときには、宅建主任者による重要事項説明書への記名押印と説明義務があります。また、賃貸借契約書にも仲介を担当する宅建主任者の記名押印が必要になります。また、契約書の説明は宅建主任者である必要はありません。

これらを説明する相手方は借主なので、貸主であるオーナーが説明を受ける必要はありません。

しかし、間違った説明をしていたり、重要事項説明書と賃貸借契約書の内容が一致しない箇所があったりして、後のトラブルにつながることも考えられます。

なのでオーナーも重要事項説明書と賃貸借契約書の内容は事前に確認しておくことがのぞましいといえます。

毎回同じ契約内容であれば、ベースとなる内容を最初に確認しておいて、変更になる内容についてはその都度確認できるようにしておきます。

契約してしまった後では遅いです。必ず事前にチェックします。

 

②敷金精算・原状回復費用はもめやすい

とくに注意しておきたいのは、

  • 退去時の原状回復費の負担
  • 敷金精算方法

です。

実際にトラブルが発生した場合は、たとえ管理を委託していても、契約当事者はオーナーになります。

管理業者はアドバイスはしますが、オーナーの代わりに責任を負うことはありません。

すべての責任はオーナーが負うということを強く意識し、事前に契約内容を十分に読み込んでおく必要があります。

 

ポイント③敷金取り扱いに関する説明

本来、敷金は家賃の滞納を担保するために預けてもらうものですが、部屋の原状回復の費用として退去時に精算されて、入居者に返還されることは少なかったのです。

これは、契約に別段の取り決めや特約があればそれに従うものとされていたからです。

しかし、近年の裁判では、借主に著しい負担を強いる特約はすべて無効となる判例もあり、敷金の取り扱いが厳格化されています。

基本的にクリーニングを除く原状回復費用はオーナーが負担すべきと考えるのが妥当ですが、退去時に無用なトラブルにならないように、契約時に敷金の取り扱いや退去時の原状回復項目を説明しておかなければなりません。

 

敷金精算方法の種類

敷金の精算には、

  • かかった費用の実費と敷金とを相殺する実費方式
  • 賃料1ヶ月分などを自動的に償却する償却方式
  • 両者による混合方式

の3つがあります。

関西や九州には償却と同様の考え方で、預かった敷金から一定額を差し引く、敷引き方式もあります。

基本的に国土交通省のガイドラインでは実費方式によるものとされていますが、地域によっては、償却方式や敷引き方式が慣例となって定着しているところもあり、さまざまな敷金精算方式が混在しています。

一定額を償却する方式は、工事費がこの金額を超えない範囲であればトラブルになる可能性は低く、精算にかかる手間がかからないなどのメリットがありますが、この金額を超えて請求する場合はトラブルに発展する可能性が高くなります。

敷金精算については、自然損耗、通常損耗の修復はすべて貸主負担とするのが昨今の流れとなっているので、各種ガイドラインに即した対応が必要になります。

 

国土交通省の敷金精算ガイドライン

国土交通省の敷金精算ガイドラインによると、原状回復とは、

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗や毀損を復旧すること

とされていて、その費用は賃借人の負担としています。

そして、経年劣化、通常の使用による損耗などの修繕費用は賃料に含まれるものとしています。

たとえば、クロスの場合、6年経過すると、その大半がオーナーの負担になります。

これは、6年経過するとクロスの減価償却はすんでいるという解釈となり、クロスの経年劣化部分の大半はすでに入居者から家賃として回収しているとみなされます。

したがって、入居者の不注意によるクロスのはがれなどがあっても、基本的にその修繕費用は貸主であるオーナーの負担になるということです。

 

ポイント④契約金の授受

契約書の取り交わしが終わったら、契約金の授受を行うことになります。

契約金を実際に受け取るのは契約業務を行う不動産業者となります。

業者が入居者から賃料・敷金・礼金等の契約金をいったん預かり、広告宣伝費やその他の経費(保険料など)を差し引いて、残額を後日オーナーに送金することになります。

 

家賃

契約時に借主が支払う賃料は、契約が月の途中の場合は、その月の日割り分と翌月分家賃の合計額を支払います。

また、その後の家賃の支払いは、翌月分を前月末までに貸主が指定する口座への振込みにより行うか、クレジットカード決済、口座振替によります。

具体的にどのように家賃を回収するのかは、事前に管理会社に説明を受けるなどして確認しておきます。

 

敷金・補償金など

敷金・補償金なおで、収入ではなく後日返還する金銭は預り金となるため、領収証とは分けて、預かり証を発行することになります。

敷金は管理会社が管理する場合もあるが、極力オーナーが管理するようにしたほうがいい。

 

礼金がある場合

礼金は預り金ではないので、家賃とともに領収証を発行することになります。

 

鍵の引き渡し、ポスト番号、入居のしおりなど

契約が完了し、契約金の受け渡しが終了したら、鍵の引き渡しを行うことになります。

集合ポストの鍵や番号、宅配ロッカーなどの設備の使い方、電気・ガス・水道の手続き、ゴミの出し方など、入居にあたって必要な説明を行います。

こうした内容は、『入居のしおり』にまとめて記載し、入居者がいつでも確認できるようにしておきます。

まとめ

  • 賃貸契約の解約について、普通借家契約と定期借家契約の場合に分けて理解する。
  • 普通借家契約の場合はオーナー側からの一方的な解約は、借地借家法で入居者が保護されているのでハードルが高い。入居者に問題やトラブルがあったとしても、協議が不調に終われば法的手続きが必要となってしまう。
  • 定期借家契約の場合はオーナー側からも比較的解約をしやすい。特に、滞納やトラブルを起こす問題のある入居者を退去させられるメリットがある。そこまでではなくても、契約の更新を拒否できるので契約期間が終われば後腐れなく契約を終了させることができる。
  • オーナーチェンジで取得した場合、それを理由に賃貸契約を解約することはできない。基本的には前オーナーの従前の賃貸借契約を引き継ぐことになる。契約の更新時に新たな賃貸借契約書を締結するときなどに積極的に定期借家に切り替える方法もある。
  • オーナーは自分の物件の重要事項説明書・賃貸借契約書の内容は事前に確認して最低限把握しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができる。
  • 敷金の取り扱い、退去時のリフォームなどの金銭がからむ部分は、特に大きなトラブルに発展する可能性があるので、借主との間で認識に違いがないかをきちんと書面上確認する。

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