法人化

不動産投資法人化のすべて【損益分岐点・メリット・節税・融資・設立】

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法人名義か個人名義か?不動産投資の損益分岐点がズバリ分かる

収益物件は法人名義で持ったほうが良いのか、個人名義で持ったほうが良いのでしょうか?

  • 個人名義は、設立費用やランニングコストがかからない反面、利益が大きく出ると累進課税の影響を受けて課税額が大きくなる
  • 法人名義は、設立費用やランニングコストがかかる反面、実効税率は個人ほど急カーブで上昇しないので、利益が大きくなるほど個人よりも節税になる

上記がざっくりとしたコスト面・税金面での対比となります。

トータルでの税引後利益を考えた場合、どのくらい税引前利益が出ていれば法人化でのコストを吸収して節税になるのか。

その損益分岐点を見定めて法人化することが必要になります。

この記事では不動産投資の法人化の手順や損益分岐点の見極め、法人化のメリット・デメリットの比較や融資の考え方、設立時の決定事項などをご紹介します。

Contents

不動産投資法人化の損益分岐点4つのポイント

ポイント①:節税には個人と法人のどちらが有利か

不動産投資の規模が小さければ個人名義、大規模ならば法人名義が節税には有利になります。

 

法人名義で購入の場合

法人名義は個人名義にはかからないランニング費用がかかります。

  • 設立費用約30万円
  • 法人住民税7万円/年
  • 税理士費用30~40万円/年

イニシャルコストと固定費がかかるので、ある程度の不動産収入規模がなければ固定費負けしてしまうことになります。

法人名義で購入した時の節税上のメリットを最も発揮するのが、税引前利益800万円までの部分で、その部分は税率が約26%に設定されています。

税引前利益が800万円を超える部分に関しては約42%の税率に上がります。

例えば、税引前利益が1500万円では実効税率は約33%程度となりますが、これは法人の税引前利益800万円までの税率が低いためその割安な部分に支えられて全体の平均税率が下がっているといえます。

税引前利益800万円以上の部分に関しては約42%の税率がかかっているということに変わりはありません。

ちなみにここでいう税引前利益はキャッシュフローではなく、決算申告ベースの損益値です。

余談ですが、税引前利益800万円以上の部分はいくら稼いでも42%の税金を払わなくてはなりませんので、一生懸命100万円の利益を上乗せしても、そのうちの42万円が税金ということになります。

これほど高額な法人税率であっても、法人で持つほうが有利という理由はどこにあるのでしょうか。

それは簡単で、法人の実効税率も高いのですが、個人はもっと高いからです。

個人の最高税率は60%ですので、法人の方がはるかに税率は低いことになります。

 

個人名義で購入の場合

個人で収益物件を保有する際は、本業の給与と不動産の利益は合算されて累進課税で税率が決まります。

そのため不動産の利益は少なくても本業の給与が多いと、不動産に対する税率も連動して大きくなってしまうことに注意すべきです。

個人で収益物件を保有する場合、

  • 所得全体にかかる実効税率
  • 本業給与のみの場合の実効税率
  • 不動産を買った場合に増える税金はいくらなのか
  • 不動産収益が100万円増えるごとにいくら税金が増えるのか

上記4点をそれぞれ考慮する必要があります。

例えば、本業給与収入が2,300万円を超えるような人は、個人名義で収益不動産をもつと不動産から得た利益の50%以上の税金を支払うことになります。

ここまでくると個人名義で収益不動産を持つ意味はあまりなくなってくると考えられます。

本業収入の高い人は不動産投資の規模が小さくても法人名義で保有するほうが全体での節税には有利です。

一方、区分所有の投資用ワンルームマンションを数物件所有するなど規模が比較的小さめの場合は、法人の設立費用や税理士費用などの固定費を考慮すると個人名義が有利となります。

以上より、税引前利益は同じでも、

  • 法人名義で持つか個人名義で持つか
  • 不動産投資の規模
  • 本業給与収入

によって税引前利益にかかる税率が変わり、ひいては納税後の税引後利益が変わってくるということにお気づきになると思います。

不動産を持つことで課せられる税金の仕組みを知って、税引後の利益を考慮することが税金対策ひいては節税につながるといえます。

 

ポイント②:いくら以上の物件を買うなら法人化したほうが節税に有利なのか

本業給与がいくらかによって異なりますが、

例えば、

  • 自己資金1割
  • 表面利回り9%
  • 物件価格1.1億円

の物件を買うと、概ね税引前利益は400万円となります。

この物件を本業給与年収800万円の人が個人で持つと、

  • 増える税額は約126万円
  • 増えた部分にかかる実効税率は31,6%

という計算になります。

一方、法人で400万円の利益が出る物件をもつと、

  • 税額は約103万円
  • 法人の税務を税理士に委託する費用を年間30万円

とすると合計約130万円となり個人での税額の増加分とほぼ同水準となりま。

このあたりの収入ラインが法人を設立して有利となる損益分岐点だといえるでしょう。

一般的なサラリーマンの人は、

  • 1億円以下の物件を購入する場合は個人名義
  • 物件価格が1億円を超えたら法人名義を検討

が、最適な税金対策となり得ます。

前述しましたが、賃料収入から金利支払、減価償却、修繕費などを引いた金額が税務上の利益です。

賃料収入やキャッシュフローが利益ではないので注意が必要です。

  • オーナーの年収
  • 物件に合わせた個人保有と法人保有の損益分岐点

を、物件購入時の収益計算できちんと見通すことが大切です。

 

ポイント③:不動産を買うと節税効果があるということの本質

不動産の購入時に支払う

  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 仲介手数料

などは今期の損金として計上でき、それらの経費を計上すると不動産を購入した年はほぼ赤字になります。

そして赤字となった分は本業の給与所得と損益通算して利益を相殺できるため、その分だけ今期の支払う税額が減ることになります。

しかし2期目以降は減価償却などの経費を計上しても通常はまだプラス収支となり、不動産から発生する利益に対する課税が発生します。

そのため不動産を購入しなかった場合に比べて税金の総額は増えます。

不動産を買うのは利益を出すためですので、順調に運用できている限りは利益が発生しその利益に対して税金がかかります。

利益をコントロールすることで税金を圧縮することが節税の考え方です。

不動産投資の減価償却を本業給与と損益通算して、毎年の納税額総額を安くできることが節税になると考えるのは正しい解釈ではありません。

 

ポイント④:法人化のタイミング

不動産投資を拡大していくと個人では節税の限界がすぐにきます。

法人では、

  • 役員報酬
  • 法人保険
  • 経費算入の幅が広い

などのメリットがあり、不動産投資の規模が大きくなった場合には法人の設立が効果的です。

 

法人設立は最初からがベター

では法人設立のタイミングはいつがいいのでしょうか。

実は、不動産投資の規模を大きくしていこうと考えているのであれば、最初から法人を設立して収益物件を増やしていくのがベターです。

最初は法人の設立費用が重く感じられますが、不動産投資の規模を拡大していくとそれほどの負担にはならなくなります。

なぜ最初から法人化した方がいいかというと、個人で不動産を取得してあとで法人に移そうとすると費用がかさむからです。

個人から法人への不動産の所有権移転は、通常の売買と同じように下記費用がかかります。

  • 不動産取得税
  • 登記費用

上記2つの費用を個人で購入時に支払い法人への資産移転時にも支払うことになるので、最初から法人で収益物件を取得していれば1回で済むことになります。

徐々に不動産投資の規模を拡大していくのであれば、法人の決算が良くなっていきますので銀行にも3期、4期とたつにつれて良い評価を受けやすくなるメリットもあります。

 

個人より法人の税率が低くなるところで法人化するのは有効か?

個人と法人の税率を比較して、法人の税率のほうが低くなるところで法人化するという方法もあります。

現在の法人の実効税率が30%中盤ですが、個人の課税所得が1,800万円を超えてくると所得税が40%になります。

そのため個人の課税所得が1,800万円を超えてくると法人を設立した方が節税になり、個人の課税所得は累進課税なので課税所得が上がってきたら法人化して収益物件を保有していけばよいということに計算上はなってきます。

ここで重要なのは実質の個人と法人の税率比較になります。

法人の実効税率は賃貸事業などの不動産投資の場合は中小企業(資本金1億円以下等)の扱いとなり、その場合の法人の実効税率は所得が800万円以下であれば21~25%になります。

個人の場合は所得税と住民税を合わせた実効税率が課税所得が330万円を超えると27%を超えることになりますので、課税所得が330万円超になれば個人より法人の方が課税水準としては安くなる可能性が出てきます。

給与収入を合算した場合は計算が複雑になっていきますが、中小企業の法人は優遇されているので実効税率が低いということを覚えておいて損はないです。

個人での課税所得が330万円というと、給与収入が500万円~600万円の間くらいになります。

つまりサラリーマン年収が500万円~600万円の人は、法人化して不動産投資を進めていった方がトータルで節税になるという計算結果となります。

 

法人化したほうが収支を把握しやすい

サラリーマン給与に家賃収入が入ると個人の場合は自由に使えるという反面、不動産投資の中で収支を管理することが難しくなってしまいます。

ちょっと家賃収入が増えるとどんどん家賃収入に手を付けてしまいがちになるからです。

サラリーマン収入に家賃収入がプラスされることで勘違いしてしまい残念な結果になってしまうこともありえます。

不動産投資の収支を節税の視点だけではなく、個人から切り離して法人で管理していくという不動産投資面での効果が法人化にはあるといえます。

ただ法人化を検討していても銀行が個人にしか貸さない場合もあるため、法人化での収益物件取得を検討しながら個人でも並行して検討する段取りが必要になります。

 

不動産投資の法人化で考慮するべきメリットとデメリットを徹底比較

不動産投資の法人化によるメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

不動産投資を法人化することのメリットとしては、

  • 節税幅が個人より幅広い
  • デフォルトを隔離できる

不動産投資の法人化のデメリットとしては、

  • 法人設立にかかるイニシャルコスト
  • 法人運営や決算、税金等のランニングコスト
  • 代表であっても個人のように自由にお金を使えない

などがあげられます。

 

不動産投資の法人化のメリット①:節税幅が広い

不動産投資を法人化することでの一番大きなメリットは節税ができることにあります。

個人と法人では認められる経費の範囲が大きく異なり、不動産投資を法人で行った業務は広い範囲で経費にできるからです。

 

個人と法人の経費の範囲の違い

個人の場合は、

『利益を生むために必要であった経費のみ』

を経費化できます。

それに対し、法人の場合は、

『法人が行った業務行為』

の広い範囲で経費化が認められ、個人に比べて経費化できる範囲が圧倒的に大きくなるため節税効果が大きくなります。

細かい部分では法人でもすべてを経費化できるわけではなく、交際費の経費化など制限されている部分もありますが個人よりも法人の方が経費化できる範囲が広いということはまぎれもない事実です。

 

不動産投資を法人化して個人よりも広くなる経費の範囲

法人化して個人よりも広くなる経費の範囲

広くなる経費①:役員報酬

不動産投資を法人化した場合は、個人とは違って役員には役員報酬として給与を支払うことができます。

この役員報酬は法人にとっては損金(=経費)となります。

役員は自分だけでなく、配偶者が役員となれば配偶者にも役員報酬として給与を支払うことができます。

その結果法人としては申告で不動産所得が減ることになりますので納税額が下がります。

役員報酬は自分と配偶者の個人所得となりますので個人としては所得税と住民税を支払わなくてはなりませんが、所得税には給与所得控除という経費を差し引くことができるためにその経費分は必ず節税となるのです。

また、経費差し引き後の個人所得の税率が法人所得の税率より低ければその分も節税となります。

 

広くなる経費②:退職金

個人とは異なり法人では代表取締役や家族役員への退職金を支払うことが可能で、法人としては全額が損金(=経費)となります。

退職金の積立は法人保険と組み合わせることで節税効果をさらに高めることが可能です。

その上で個人の所得税では退職金は他の所得と分離して控除額が大きいため大きく節税できることになります。

課税額=(退職金-退職金所得控除額)/2

退職金所得控除額

  • 勤続20年以下:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は、80万円)
  • 勤続20年以上:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

20年間で800万円の退職金所得控除額となります。

 

広くなる経費③:法人保険

個人では、

  • 生命保険
  • 個人年金
  • 介護医療保険

の複数保険を使っても最大で12万円の経費化ができます。

法人の場合は保険の経費化に上限はありません。

法人保険の種類によって、

  • 全額損金
  • 半額損金

の損金計上できる範囲が異なりますが、12万円までという制限はありません。

法人保険を使うと有効に節税できることになります。

 

広くなる経費④:赤字の繰越

個人の場合は、青色申告をすれば欠損金(赤字)を翌年以降3年間、繰越することができます。

法人の場合は9年間の繰越が可能となります。

欠損金(赤字)を繰り越すことで、利益が出た年度に欠損金(赤字)を計上して、節税することができます。

 

広くなる経費⑤:自宅の社宅化

個人の場合は自宅と事務所を兼用していれば使用率の按分によって経費計上ができますが、分かれている場合には自宅は経費計上できません。

法人の場合は事業とは全く関係のない居住専用の自宅家賃を社宅扱いにすることで50%程度を経費計上することができます。

この場合賃借している住居を法人での契約に切り替えて法人が不動産投資家さんに賃料を支払い、社員であるあなたは社宅賃料負担金として賃料の50%程度を法人に支払うことで自宅家賃の50%が法人の経費として認められるのです。

 

広くなる経費⑥:倒産防止共済

個人の賃貸事業では倒産防止共済は利用できませんが法人では利用できます。

倒産防止共済は全額損金扱いできて、40ヶ月以上納めた場合に納めた共済金が100%戻ってくる仕組みになっています。

戻ってきた際には雑収入になり、税の繰り延べがやりやすくなります。

 

中小企業(資本金1,000万円以下)は税率が優遇される

中小企業(資本金1,000万円以下)は税率が優遇される

経費化ではないですが、中小企業の法人税は大企業と比較しても優遇されています。

中小企業(資本金1,000万円以下)で所得が800万円以下となるケースでは、実効税率は25%程度なので、個人の実効税率より圧倒的に有利になる場合があります。

 

不動産投資の法人化のメリット②:デフォルトの隔離

法人化のメリット②:デフォルトの隔離

不動産投資の法人化のメリットは上記の通り、多くは節税面にあります。

もうひとつは法人化して不動産投資の運営を軌道に乗せると、デフォルトの隔離を行うことができます。

 

法人とは

法人とは、難しく言うと、

一定の社会的活動を営む組織体で、法律により特に権利権力を認められ、法律上個人と同じ扱いを受けることが認められているもの

となります。

簡単にすると、

一人で何でもできるわけではないので、グループなどの集団に人と同じ権利を与えて組織で活動しやすくしたもの

といえます。

個人ではないということです。

不動産投資でいえば、個人で不動産を取得するのと法人で不動産を取得するのはまったく異なるということです。

不動産投資では株式会社か合同会社で法人設立することが多いですが、法律上、有限責任となっていますので、法人で事業を行った収益や損失は法人にあって、個人とは切り離されていると理解できます。

 

法人のデフォルトは個人に影響する事実

上記のとおり通常法人は個人とは切り離されています。

株式投資でも同じですが上場企業の法人の株を持っているからといってその法人がデフォルトとなったときに債権者からお金を返せと言われることはありません。

株式会社や合同会社では出資者は有限責任となっているからです。

しかし不動産投資で法人設立をした場合、同じように有限責任ではあるのですが代表個人に影響がないというとそうではありません。

不動産投資で法人を設立して不動産を取得する場合は、法人の代表者が個人として連帯保証をすることになるからです。

そのために法人で万一デフォルトする場合、連帯保証人として法人の代表が個人としても責任を負うことになります。

不動産投資はまさに中小企業の社長と同じシステムになっているということです。

では、どのようにしたらデフォルトの隔離をしてリスク分散ができるのでしょうか。

 

不動産投資で法人を設立してデフォルトの隔離をする方法

法人の不動産投資が危なくなってデフォルトした場合はその法人と個人の資産がすべてなくなります。

上記のように法人の代表者が個人として連帯保証をしているからです。

デフォルトの隔離をしてリスク分散するもっとも確実な方法は法人の信用を上げることです。

業績や決算がよければ会社の信用は上がっていきます。

そして信用が上がった会社はその会社の信用のみで融資を受けられることになります。

不動産投資の法人化では新設法人で融資を受けることがほとんどなので個人と会社が連帯保証で一体になってしまいます。

しかし不動産投資を長く続けることで会社の信用が上がり法人単体で融資を受けられるようになると、社長個人の連帯保証が不要となります。

どのくらいのレベルになれば連帯保証を外すことができるかの基準は銀行それぞれとの交渉になりますが、具体的な基準は明確にはなっていません。

しかし、

  • 資産負債比率が50%以下
  • 債務償還年数が10年以内

など、銀行から見て明らかに債務の履行に問題が起きる可能性が低く、もしデフォルトになった場合でもその法人の資産を売却すれば融資が全額回収できると判断されれば可能性は高まります。

これが連帯保証を外すには一番確実な方法で、法人に借入が多額にあってもデフォルトの隔離ができることになります。

ここまでくるには長い年月がかかりますが最も安全な方法になります。

不動産投資を法人化して法人の信用を高めて個人の連帯保証が外すことができるレベルまで業績を上げることが目指すべきひとつのゴールだといえます。

 

不動産投資の法人化のデメリット

不動産投資の法人化にはメリットもありますが、少ないながらデメリットもあります。

法人設立費用や一部の税金が赤字でもかかったりするデメリットのほかに、法人は個人ではないため自分で好き勝手に法人のお金が使えなくなります。

 

デメリット①法人のお金は個人で勝手に使えない

法人のお金は個人で勝手に使えない

個人事業の場合は簡単に言えば家賃収入から経費を引き納税後の手取りが直接個人の財布に増える形になり、家賃収入が多かったり経費が少なくなると手取り収入が増えるという形になります。

そのため不動産投資を拡大するとたくさんの手取り収入が増えることになります。

法人の場合は売上から経費を引き納税後の手取りは法人の剰余金となり内部留保となります。

法人の剰余金は会社に蓄えられますが社長の給料ではありません。

社長の給料は売上から役員報酬として経費の中に含めて支出していかなければいけません。

社長であっても法人のお金を勝手に使うと業務上横領となり基本的に犯罪行為となってしまいます。

そのため社長が法人のお金を個人的に使いたいのであれば役員報酬を設定しなければいけません。

役員報酬は最終的な利益がわかる前の段階で設定することになるので最終的な利益の水準がわからない段階で社長の報酬を決める必要があり、ちょうどよく設定するのは結構難しいです。

そのため法人の役員報酬は決算や利益予測を考慮して保守的に算出することになります。

つまり個人事業主では家賃収入から経費を差し引いたものがそのまま手取りの収入なのですが、法人での役員報酬は個人事業主よりも低くなりがちになります。

当然ながら家賃が年度内で上がったりして法人の売上が上がっても役員報酬を変えることはできません。

法人化しても法人でしかできない節税方法を駆使して税金を抑えたりするノウハウがないと、個人で使えるお金が減るだけで何のための法人化なのかわからなくなってしまいます。

また役員報酬の給与所得控除は、法人の利益が出すぎると控除してもらえなくなるので注意が必要です。

増税の一環でオーナー企業が狙い撃ちされているともいえるのですが、

法人所得+役員報酬=1,600万円超

が3年間続くと役員報酬の給与所得控除がなくなるという制度もあります。

給与所得控除が受けられなくなると法人化の意味がだいぶなくなってしまいますので、この水準に近づきそうなら別法人で収益不動産を取得することも検討する必要が出てきます。

 

デメリット②法人の設立費用

法人の設立には概算で25~30万円程度の費用がかかります。

 

デメリット③赤字でも税金がかかる

法人には、

『法人住民税』

が課税されます。

この法人住民税は所得がなくても法人が存在するだけで課せられる税金です。

これを均等割というのですが中小企業(資本金1,000万円以下)であれば赤字でも7万円の法人住民税がかかります。

 

デメリット④損金算入に一部制限がある

損金算入されない支出の代表的なものに、

『交際費』

があります。

基本は資本金1億円以下の法人では600万円までの『交際費』はその10%は損金として認められません。

  • 経費=会計上の経費
  • 損金=法人税法上、経費として扱えるもの

上記は会計上の経費と税法上の経費に差があるということです。

会計上は経費にできても税務上は経費にできないので納税額が増えることになります。

ただし平成25年の税制改正により中小企業の年800万円以下の交際費が全額損金算入されることになっていますので、不動産投資がある程度拡大されるまでは交際費の全額を損金算入できるようになっています。

 

会社員が法人を作って収益物件を購入するメリットは何?

会社員が法人を作って収益物件を購入するメリットは何なのでしょうか?

法人化することで、

  • 税率面
  • 融資の受けやすさ

の2点で有利になります。

新設法人を作ってその法人で融資を受けて収益物件を購入する方法は、今では広く一般的に行われています。

個人の資産管理法人を立てることになり、資産家が資産管理や相続を目的として会社を持っているのと同じ仕組みになります。

こうした法人への融資審査は、あくまでも融資を銀行に対して依頼する個人が対象になりますので、個人への融資と同じく、個人の収入や自己資金などの個人属性が重要になります。

この記事では、会社員が法人を作って収益物件を購入するメリットについてご紹介します。

 

法人化することで所得が分かれるため低税率になる

法人を作って融資を受けることのメリットは税金面で有利になる点です。

個人で収益物件を購入して不動産収入があると会社からの給与収入と不動産収入が合算されて計算されます。

個人の所得税は累進課税で課税所得額が高くなるほど税率が高くなるので、不動産収入を合算してしまうとより多くの税金を払うことになる可能性が高いといえます。

累進課税というのは税率が階段状に上がっていきます。

課税所得450万円の会社員が2億円の収益物件を所有しており不動産からの税引き前利益が400万円あったとすると、給与課税所得の450万円と合わせて合計850万円の所得があると計算されます。

税率は、課税所得330万円超~695万円以下の時の20%から695万円超900万円以下の時の23%に上がります。

税額は、

◎850万円×23%-63万6000円=131万9000円

となります。

これを法人で物件を所有して個人の給与と分けた場合、トータルの税額は個人で収益物件を保有した時と比べて安くなります。

この場合の個人の税金は、

◎450万円×20%-42万7500円=47万2500円

となり、法人の税金は、

◎400万円×15%=60万円

となりますので、合計で107万2500円となります。

個人だけで収益物件を保有した際の税額が131万9000円ですので違いは明らかです。

 

不動産投資に本気で取り組むなら法人化は避けられない

法人で物件を買うと税理士費用などが年間20~30万円かかることになり、個人で別の物件を所有している場合に法人で所有している物件の家賃収入と経費の通算もできなくなるというデメリットがあります。

どのくらいの投資規模になった段階から法人化したほうがよいのかは個人の年収や購入する物件の規模にもよりますが、大規模になるほど法人化のメリットが大きくなります。

また法人で収益物件を購入していったほうが不動産賃貸を事業として行っていると金融機関からみなされやすくなるという点です。

目安として、不動産投資に本気で取り組み、投資額を数億円以上の規模にするつもりがあるのであれば、後々の融資の受けやすさを考えても最初から法人で買ったほうがよいといえます。

それは不動産投資で実績を積みその実績をもとに法人で事業性融資のプロパーローンを受けるには、法人での黒字の決算書が3期分必要なことが多いからです。

逆に最初から収益物件は1棟のみもしくは1億円以内などと決めている場合は、個人で購入する形でも大丈夫だといえます。

 

不動産投資を法人化したら使いたい4つの節税対策のポイント

不動産投資を法人化すると、個人所有よりも節税できるとは聞いていても、いったいどういった方法で節税できるのでしょうか?

不動産投資を法人化した場合に個人所有にはない節税可能なポイントとして、

  • 役員報酬
  • 倒産防止共済
  • 小規模企業共済
  • 任意償却
  • 法人保険

などの方法があげられます。

 

法人化での節税対策①:役員報酬での節税対策ポイント

節税手段①:役員報酬での節税対策ポイント

法人の役員報酬をどのように支払えば節税になるのでしょうか。

間違った役員報酬の支払いをすると節税にならないばかりか納税額が増えてしまうことも考えられますので注意が必要です。

 

法人の役員報酬が節税になる仕組み

個人の場合、自分自身に給与を支払うことができず収入がそのまま所得になります。

法人から給与を支払うと、

  • 法人側では給与が損金扱いとなり税金が少なくできる
  • 法人から給与を受けた人は、給与所得控除が使えるため課税所得が下がる

というポイントで所得を圧縮して節税することができます。

個人では青色申告で配偶者である奥様などに給与を支払うときには専従者給与を払うことができますがかなり制限があります。

法人から役員報酬を支払う場合には個人の専従者給与より多く支払うことができるので、課税所得の低い家族へ給与を支払い節税することができます。

法人の役員報酬と個人の専従者給与を下記で比較します。

 

法人からの役員報酬の場合
  • 法人:本人と配偶者の役員報酬分が損金扱い
  • 個人:本人と配偶者は給与所得控除が適用でき個人の税率次第で法人と個人の税率をコントロールして節税ができる

 

個人からの専従者給与
  • 個人:本人は専従者給与分のみ控除される。配偶者は給与所得控除が適用される
  • 専従者給与の制約があるので限定的にしか節税できない

 

役員報酬の金額

社会通念上妥当な報酬金額であれば認められます。

帳簿を整理するだけで月100万円の役員報酬を支払ったような場合は税務署から否認されることがあり、否認された場合は否認された分の金額が贈与扱いになるので注意が必要です。

どこまでが妥当なのかは総合的に判断されますので信頼できる税理士と相談するのが安心です。

 

役員報酬での会社側・本人・配偶者のポイント

本人と配偶者の2人の法人のケース。

 

会社(支払側)のポイント

会社側で検討するべきは法人としての社会保険への加入です。

社会保険料は会社(支払側)と配偶者(受取側)の折半となり、社会保険料はけっこうな金額のため入りたくないところだと思います。

そのため、入らなくてもよい『非常勤』の方法をとります。

不動産投資では配偶者の労働はそれほどないので、非常勤役員として業務をしてもらう形にすることで社会保険に入る必要がなくなります。

『非常勤』の基準はかなり曖昧ではあるのですが、一般的には出勤時間が『フルタイムの3/4以下』を言うようです。

また、年収見込みが130万円未満の要件を満たす場合は、扶養控除として夫側の社会保険を利用でき社会保険料の削減ができます。

 

配偶者(受取側)のポイント

受取側で検討すべきは、所得税と住民税です。

  • 所得税:個人の収入が年103万円以下なら0円
  • 住民税:個人の収入が年100万円以下なら0円

年間収入が100万円以下であれば、所得税も住民税も発生しないことになります。(他の収入がない場合)

 

本人(受取側)のポイント
  • 夫の配偶者控除の対象に奥様を残しておく:年103万円以下なら配偶者控除の対象
  • 夫の社会保険の扶養の対象に奥様を残しておく:年130万円以下なら扶養の対象

結果100万円以内で非常勤なら特に他の費用がかかることなく、法人から妻へと所得が分散されキャッシュを手元に多く残すことができます。

サラリーマン給与がある人は、本人に出す役員報酬の金額は個人の所得税との兼ね合いで水準を決めることになります。

 

法人化での節税対策②:倒産防止共済での節税対策ポイント

倒産防止共済とは

倒産防止共済とは連鎖倒産防止用に積み立てる共済商品です。

あまり不動産投資では起こり得ないのですが、もし取引先業者が倒産した場合は掛け金総額の10倍まで貸付してもらうことができます。

中小企業基盤整備機構という国の機関に毎月一定の額を積み立てて、任意に解約して解約金を受け取ることもできます。

掛け金は月々5千円~20万円までで累計800万円までとなっています。

 

倒産防止共済は損金扱いになる節税商品

法人の場合は、

  • 払った掛け金は全額損金扱い
  • 40ヵ月以上掛けた場合には全額が戻ってくる商品(上限:月20万、累計掛け金800万円まで)

個人の場合は、

  • サラリーマンの人は入れません。
  • 専業不動産投資家も賃貸事業しかないので加入することはできません。
  • 払った掛金は社会保険料と同じで、所得控除として控除できる。上限は法人と同じく累計800万円までとなっている。

40ヵ月以上の加入で払い戻しは100%となるので、40ヵ月以上経過するといつ解約しても全額が払い戻しされます。

 

倒産防止共済の節税効果

中小企業でも所得が800万円を超えると実効税率は各自治体で違うものの36%程度となります。

そして所得が800万円以下になれば、実効税率が23%程度になります。

たとえば中小企業で所得が1,000万円ある場合に倒産防止共済(掛金月20万円)の有無での納税額の比較をすると、

  • 倒産防止共済無し:所得1,000万円×38%=納税額380万円
  • 倒産防止共済有り:(所得1,000万円-掛金20万円×12ヵ月)×23%=納税額174.8万円

倒産防止共済の有無での納税額の差は歴然で205.2万円の節税となります。

中小企業法人の所得1,000万円の実効税率は36%ほどありそのまま支払うとかなりの納税額となります。

このようなケースで倒産防止共済を払い込んでいれば、年間240万円を支払って所得を圧縮し納税額を下げることができます。

前述しましたが倒産防止共済の積立金は、40ヵ月以上払えば払い戻しは100%になります。

戻ってきた積立金は雑収入となるのでその時に修繕などの計画と合わせるのも一つの方法です。

今後は法人税の実効税率が下がっていくことも掲げられていますのでその際は税の繰り延べとしても利用できるのではないでしょうか。

 

法人化での節税対策③:小規模企業共済での節税対策ポイント

節税手段③:小規模企業共済での節税対策ポイント

法人の役員や個人でも専業不動産投資家であれば小規模企業共済役員個人が加入できます。

小規模企業共済は全額経費になるので節税対策になります。

 

中小企業役員や個人事業者向けの積立

中小企業の役員や個人自営業者には、大企業のサラリーマンと違い退職金制度を作る余裕がないところがほとんどです。

そのため国が用意した退職金の積立制度が小規模企業共済です。

中小企業基盤整備機構という国の機関に毎月一定額を積み立てて、会社を辞めた時は退職金として受け取ることができ掛け金は千円~7千円までとなっています。

 

小規模企業共済の節税効果

小規模企業共済の掛け金はすべて損金扱いが認められることが最大のポイントです。

払った掛け金は社会保険料と同じで所得控除として掛金全額を所得から控除できます。

支払った掛け金は年金のように積み立てられ、事業を辞めたときや満65歳になったときは退職金として受け取ることができます。

生命保険の個人年金と同じですが、掛け金が全額控除されることがメリットです。

退職金として受け取るときも退職金の税制が適用されるので、大幅に節税することができます。

掛け金を払うときも受け取るときも節税できる仕組みになっています。

掛け金の上限は月7万円のため年間で84万円を所得控除でき毎年積立した掛け金は退職金として戻ってきます。

 

節税効果例①
  • 小規模共済を年84万円で20年間加入したときの節税額
  • 所得税率40%、住民税率10%の場合

小規模企業共済での節税額:84万円×50%×20年=840万円

となり、年間840万円と大きな節税ができることになります。

 

節税効果例②
  • 単年度の小規模共済と民間の年金保険の比較
  • 所得税率40%、住民税率10%の場合

①小規模企業共済での納税額:84万円×50%=42万円

②民間の年金保険での納税額:4万円×23%+2万8,000円×10%=1万2,000円

  • 支払保険料が8万円超の場合、所得税が一律4万円の所得控除
  • 支払保険料が5万6,000円超の場合、住民税が一律2.8万円の所得控除

①と②を比較すると、納税額の差が40万円強も出ます。

民間の年金保険の控除額は所得税と住民税を合計しても6.8万円しかないので、小規模企業共済の年間掛け金84万円を全額損金計上できるのとでは大きな差が出ます。

不動産投資家で所得が高い人はこれくらいの節税対策が単年でもできてしまいます。

 

キャッシュが長期間使えないデメリット

小規模企業共済は節税対策に大変有利な商品なのですが、拡大期にある不動産投資家や資金繰りに苦しい不動産投資家にはあまりおすすめできません。

なぜなら手元資金が長期間使えないデメリットがあるからです。

小規模企業共済は退職金の積立のために優遇された税制になっていることから、短期間で解約することを想定していません。

事業を廃業したときは別ですが任意に解約するときには20年以上掛け金を支払っていないと掛けた金額の100%が戻ってきません。

そのため20年以上の積み立てを続ける必要があるため、退職金の積み立てとして考えているのであればいいのですが、とりあえず節税をしておいて非常時に使いたいと想定している場合には、

  • 掛けた資金が長期間自由に使えないこと
  • 短期間での解約は掛けた金額が80%以下になること

を想定して掛け金を積み立てることになります。

 

サラリーマンの場合の注意点

サラリーマンの人は基本加入できません。

主たる収入が給与所得となり副業扱いとなるからです。

配偶者を法人の共同不動産投資家とし、役員報酬を支払っていれば、配偶者は小規模事業共済に加入できることになります。

 

法人化での節税対策④:任意償却での節税対策ポイント

結論から言うと、目先の利益計上のために使うとあとで痛い目にあう方法であるといえます。

 

任意償却とは

減価償却費は不動産投資の損益でも大きな金額となる経費です。

そのため減価償却費の大小によって損益計算書が赤字になったり黒字になったりするくらい経理に影響力があります。

個人では減価償却の任意償却という概念はなく減価償却費をすべて経費計上しないといけませんが、法人では任意償却といって算出した減価償却費の範囲内であれば調整ができると考えられています。

例えば1,000万円の減価償却費があるが今年は利益が500万円なので減価償却を450万円に抑えて利益を50万円出すように調整するなどの場合です。

 

任意償却できる根拠

税法上は、

損金つまり費用として認める減価償却費は、法定耐用年数に基づいた償却限度額と、法人が減価償却費として会計処理した金額のいずれか少ない額

となっています。

これが、減価償却限度額内であれば、少なくした減価償却でも損金とでき、法人税法上は任意償却ができると考えられる根拠です。

確かに、法人税法上は任意償却でも問題ありません。

なぜなら税務署はたくさん税金を納めてもらえればいいので、任意償却で損金計上が少なくなり結果として法人税が多くなるのは良いことだからです。

 

銀行に任意償却はマイナスに見られる

決算も良好になって見栄えもよくなるので問題ないと考える人は多いのですが、任意償却を行うと銀行からの評価が高まらないことがあります。

企業の会計原則において、固定資産はその資産の耐用年数または有効期間にわたって、定額法や定率法などの一定の減価償却の方法によって、その取得価額を各事業年度に配分しなければならない。

とされていて、会計上は任意償却を認めていないことになります。

そのため銀行に対しては下記2点でマイナスとなります。

 

①企業会計原則に反している

上場企業などでは、企業会計原則に反した償却を行おうとすると、監査人である公認会計士から修正を指示されます。

修正をしなければ、適正な決算と認められずに上場を維持できなくなります。

任意償却して黒字にできると、利益調整が企業の判断でできてしまい、上場企業では投資家にとって不利益になるため、会計原則で認められていません。

中小企業は上場もしていないし、任意償却したからといって罰則規定はないので問題はないように見えます。

しかし、銀行からすると企業会計原則から外れた決算をしているとみなされてしまいます。

銀行の評価は企業会計原則に基づいた評価をしていくため、任意償却していても任意償却前の減価償却費をもとに引き直した損益計算書で評価する銀行が多いようです。

なので銀行対策として任意償却して黒字決算をしてもすぐ見抜かれるのであまり効果はないといえます。

 

②決算を操作しているとみなされる

前述のように評価上任意償却前の減価償却費に戻されるだけでなく、銀行から任意償却を使って利益調整をしている会社だとみなされることが大問題です。

決算対策として決算書を粉飾するのではないかとの疑義を持たれ銀行からの信用を失うことになります。

こうなると次の物件取得の融資の際にも審査に引っかかりやすくなります。

任意償却を使っているかどうかは金融のプロが見れば簡単にわかってしまうので、特別な事情があって任意償却を行いたい場合などは銀行に確認したほうがよいといえます。

 

高い個人事業税が課せられたら法人化の検討が早急に必要になる理由

法人はもちろん個人でも事業税がかかることをご存知でしょうか?

事業税とは、個人の人はあまり耳慣れない言葉かもしれません。

しかし事業税は不動産所得がある場合で事業的規模になると課税されます。

事業税の税率自体は5%とさほど高いものではありません。

ただしサラリーマン給与所得と不動産所得が高くなると、最高税率が60%(所得税45%・住民税10%・事業税5%)となり、累進課税制度のもとで高額所得者にはこれでもかと税金が課税されます。

 

個人事業税

個人事業には不動産賃貸業も含まれますが、収益事業を行う際に道路や橋などの各種公共施設を多く利用するだろうとの大義名分のもと、行政の経費を負担する名目で制定された地方税が個人事業税です。

 

不動産投資家は個人事業税を納める対象

個人事業で法律で定められた法定業種に個人事業税が課税されます。

不動産投資の場合は不動産貸付業に該当します。

駐車場不動産投資は駐車場業に該当します。

不動産投資の規模については細かくはいろいろとありますが、

『不動産投資の場合、概ね貸している部屋が10室以上になると事業税の課税対象

と考えていいと思います。

 

個人事業税の納税額や税率

個人事業税の税額は、

『青色申告特別控除を控除する前の課税所得金額から事業主控除290万円を差し引いたものに対して税率5%をかけた金額』

となります。

青色申告特別控除はこの個人事業税には適用されないことになります。

 

個人事業税の計算

◎個人事業税納税額=(課税所得金額-事業主控除290万円など)×税率5%

家賃収入1,000万円、必要経費500万円、控除88万円(基礎控除38万円、その他控除50万円)の場合、

(1,000万円-500万円-88万円-事業主控除290万円)×5%=61,000円

個人事業主は『事業主控除』として一律290万円控除されます。

つまり年間の事業所得が290万円以下の場合は個人事業税は課税されないことになります。

 

事業税は経費計上可能

事業税は所得税や住民税と同様に毎年の不動産の利益に対して課税される税金ですが、所得税や住民税が『経費にならない』のとは違い、事業税は『経費になる』ことがポイントとなります。

法人の場合は事業税は利益によって税率が変わりますが法人実効税率の中にあらかじめ含まれています。

個人の最高税率60%(所得税45%、住民税10%、事業税5%)があまりにも法人税に比べても高いので法人化での節税対策を検討する必要があるといえます。

 

法人での物件取得であれば地方銀行や信用金庫の利用を検討する

どのような金融機関が収益物件の取得に対して融資をしてくれるのでしょうか?

結論からいうとすべての金融機関です。

もちろん収益物件の取得に対して積極的な金融機関もあれば、逆に消極的な金融機関もあります。

そしてたくさんある金融機関の中でも、法人での物件取得で活用すべきなのは地域密着の金融機関で、地方銀行や信用金庫があげられます。

この記事では、法人での物件取得であれば地方銀行や信用金庫の利用を検討することについてご紹介します。

 

法人での物件取得であれば地方銀行や信用金庫の利用を検討する

数多くある金融機関の中でも、法人での物件取得に経営者が活用すべきなのは地域密着の金融機関です。

具体的には地方銀行や信用金庫のことです。

メガバンクである都銀も融資は行ってはいますが、細かい対応という点で考えると地方銀行や信用金庫のほうが利用しやすいということです。

 

地方銀行や信用金庫の現状

地域密着の金融機関である地方銀行や信用金庫は、中小企業を対象に融資を行っています。

しかしながら中小企業の業績はバブル崩壊後一貫して良いとはいえず、設備投資も増えていません。

つまり地方銀行や信用金庫は貸出先を必死に探しているという状況です。

この地方銀行や信用金庫の傾向は全国的に同じ状況だといえます。

 

地方銀行や信用金庫は収益物件へ積極的に融資している

そしてほとんどの地方銀行や信用金庫では、優良な法人経営者への収益物件取得資金を積極的に融資しているのが実情です。

しかも非常に良い条件で融資を行っている傾向にもあります。

もちろん融資条件はオーナー経営者の会社の経営状況や個人の資産背景によって変わります。

  1. 金利
  2. 融資機関
  3. 借入割合

の諸条件を、オーナー経営者とその会社の属性、取得を検討している収益物件の両面から判断して、案件ごとに条件を個別に組み立てることになります。

 

パッケージ型のアパートローンと比べて

最近では収益不動産の運用が一般的に認知され市場が形成されてきたこともあり、一部の金融機関ではサラリーマンの方向けにアパートローンを住宅ローンのようにパッケージにして提供しています。

このアパートローンの特徴は、貸し出し条件をある程度パッケージにして大量に資金を出しやすくしているところですが、地方銀行や信用金庫の経営者へのプロパー融資と比べるとその金利は高くなります。

ちなみにアパートローンをパッケージにして展開している金融機関には、スルガ銀行やオリックス銀行などがあります。

会社経営者が法人で収益不動産を取得する際に、融資条件が有利になりやすいのが地域密着の金融機関である地方銀行や信用金庫です。

特に普段からの取引がある地方銀行や信用金庫には収益物件取得時の融資について相談をするべきです。

地方銀行や信用金庫も中小企業の資金需要が減っている中、必死に貸し出し先を探しているからです。

 

法人設立の届出手続きに必要な4つの決定事項

法人設立の届出書に関しては税理士や司法書士でもなければ初めての時などは誰でもよく分からないと思います。

しかし税理士に依頼するにしてもその税理士が詳しいのかどうかを知るためにも、法人設立の届出書に関して知っておく価値はあります。

不動産投資の法人化を行うために新規法人を設立するには、

  • 会社形態を選択する
  • 資本金を決める
  • 出資割合を決める
  • 決算期を定める

などの法人設立届出書の手続きが必要です。

不動産投資の法人化のスタートである法人設立届出書の手続きで失敗しないために一通りの内容を把握しておけば鬼に金棒です。

 

決定事項①株式会社と合同会社

法人を設立するのにまずは設立する会社形態を選択する必要があります。

 

不動産投資事業で選択する法人

法人を設立するにあたって、会社の形態を選択することになりますが、不動産投資事業では下記の法人形態が選択されることが多いです。

  • 株式会社
  • 合同会社

わざわざ合名・合資会社などのように不動産投資家が無限責任となる重い制約をつける必要はありません。

株式会社と合同会社は内部自治と登記費用で違いがあります。

合同会社のほうが内部自治が緩く利益配分が自由に決められるのと登記費用が安くなります。

不動産投資を続けていく上では、株式会社と合同会社のとちらでも障害はほとんどないと考えられます。

 

税金面での違い

株式会社と合同会社は毎年の法人税、住民税、事業税の計算方法には違いはありません。

株式会社と合同会社の税金面での違いは、法人設立時の登録免許税などにあります。

 

株式会社と合同会社のどちらを選択するか

社会的知名度

一般の人は合同会社という形態を知らない人が多いのではないでしょうか。

不動産投資を進める上では何も問題はないのですが、他の人に説明したりする上では社会的認知度が落ちます。

株式会社のほうが認知されていて、しっかりとした会社というイメージがあります。

また以前ならば銀行が合同会社についてよく知らないケースがあり、法人融資を受ける場合に合同会社だと担当者がよく分からないからという理由で融資審査がうまく進まないというケースも見られましたが、現在ではよほどのことがない限り銀行には合同会社も認知されています。

 

設立時の費用

設立を司法書士に依頼した場合、

  • 株式会社:21~25万円
  • 合同会社:11~15万円

程度の設立費用がかかります。

 

役員改選費用

合同会社には役員の任期はありませんが株式会社の役員の任期は最長で10年となります。

同じ役員が再任する場合でも10年に1回は役員変更登記をしなければならにということです。

その登記費用に3~5万円かかります。

 

合同会社のデメリット

合同会社のデメリットは、

  • 株式増資がないなど、資金面の調達手段が限定される
  • 事業承継する際には、共同不動産投資家全員の同意が必要になる

という点があげられます。

 

決定事項②法人設立時の資本金

法人の形態が株式会社か合同会社のいずれかに決めたあと、法人の資本金をいくらにするかを決めなくてはいけません。

資本金は最低限度額が撤廃されており、極端な話、1円の資本金でも法人設立することができるので、いったい資本金をいくらにするのかに悩むことになります。

 

資本金はいくらに設定するか

結論から言って、不動産投資事業の資本金は、

1,000万円未満で、ある程度の見栄えを考慮するなら200万円程度からがのぞましい(相続税対策で大規模で始める場合などをのぞく)

といえます。

資本金を1,000万円未満にする理由は、資本金の額が、

  • 法人税住民税均等割の額
  • 消費税の課税事業者となる新設法人に該当するかどうか

に影響するからといえます。

 

法人住民税均等割

法人住民税均等割とは、法人に対して赤字でもかかってくる税金です。

法人が赤字・黒字にかかわらず均等割は課税されますので、法人のランニングコストとして把握しておきます。

法人住民税均等割(従業員50人以下)の場合、資本金1,000万円以下が一番安くなります。

  • 資本金1,000万円以下:7万円
  • 資本金1億円以下:18万円
  • 資本金10億円以下:29万円

 

消費税の課税事業者となる新設法人に該当するか

消費税は法人の設立から原則2期は課税されませんが、資本金が1,000万円以上である場合は設立から2期内であっても課税されます。

課税売上が1,000万円以上なくても資本金が1,000万円以上あればいきなり課税事業者として消費税納付義務が発生します。

消費税納付義務がない期間は駐車場や店舗収入などで消費税を受領していても、消費税を納付しなくてもよいという規則になっているため受領した消費税分が収入になります。

消費税が収入になるのと納税義務が発生するのとは大きく不動産投資の収支に影響することになります。

 

決定事項③法人設立時の出資割合

法人設立時には、資本金を決めたあと資本金の内訳となる出資割合を決める必要があります。

法人の出資者を決めるポイントは、

  • 銀行融資にマイナスにならないかどうか
  • 相続をどのようにするか

の視点から考えるのがポイントとなります。

法人の出資割合は、法人税や住民税、事業税の税額計算には影響しません。

 

融資のための銀行目線のポイント

銀行の基本姿勢として融資を受ける本人のみの出資者が望ましいと考えているようです。

銀行からすれば融資を受ける人と出資者が一致していることが一番わかりやすい関係で、もし何かあっても融資を受けた人が全責任をとれる形にできるからです。

融資を受ける本人以外の他人が入る場合は、配偶者まででないと融資が厳しくなる傾向にあります。

夫婦でも離婚する場合もあるのに、それ以上だとトラブルが起こりやすいからです。

銀行は出資関係のトラブルで事業が行き詰まるケースをとてもたくさん見てきているので、他人資本を入れた新設法人に対する融資は審査が厳しくなります。

サラリーマンが不動産投資を始める上では、資産形成の一部として不動産投資を行うのに他人資本を入れるということを銀行は認めにくいです。

そのため他人資本は配偶者までにしたいところです。

配偶者は相続者でもあるため、本人に万一のことがあっても、動産投資の継続の観点からも問題が少ないからです。

そして本人の出資割合が50%を切らないようにします。

また、銀行によっては配偶者の出資も嫌がるケースもあるので銀行に確認してから設立するほうが安心です。

合同会社では出資割合50%以上であれば問題ありませんが、株式会社では株式保有率2/3以上が望ましい水準です。

66.6・・・%、ざっくり70%です。

なぜかというと、株式会社での総会での特別決議事項が2/3以上となっているからです。

収益不動産を売却する場合は事業の重要な財産の一部譲渡にあたり、配偶者に反対されて売却できないという事態を避けるためでもあります。

残念な話、離婚も珍しくないご時世のため、離婚して他人となる可能性もあるため、本人は70%以上の出資割合を確保するようにしておきます。

 

相続税における出資割合のポイント

法人の出資者は法人の相続財産を出資割合で所有しているので、法人財産が多額にあり出資割合が大きいほうが亡くなると、相続の際に相続税負担が増えることになります。

そのために、相続税対策として法人設立時点で出資者を分散しようという方向性になります。

融資を使わずに、法人化して節税や相続税対策として設立するのであれば、出資者を分散しておくことにメリットがあります。

そのほうが、トータルでの相続税の負担が少なくなるからです。

しかし、出資者を分散すると不動産投資上の意思決定が難しくなります。

そのため、融資のポイントと同様に相続税対策であっても、本人の出資割合は合同会社では50%超株式会社では70%超を保つことが必要です。

なぜなら、共同出資者との関係が悪化した際にも、法人の意思決定はしなければならないからです。

 

決定事項④決算期の決定

法人の決算期はいつにすればいいのでしょうか。

法人の決算期は自由に決めることができます。

別に12月31日や3月31日にしなければならないということはありません。

また、決算期は法人税や住民税、事業税の計算に影響しません。

 

決算期とは

決算月は会社の設立の日から1年以内に設定しなければいけません。

4月1日に法人設立したら、決算日は3月31日までの間で自由に決めることができます。

決算月が3月31日が多いのは国の予算期間が4月1日から翌3月31日に設定されているため、国や地方自治体との仕事が多い場合には期間を合わせたほうが予算を組みやすいという背景があります。

また上場企業などでは決算内容を株主総会で発表する必要があり、3月末決算だと6月に株主総会となり多くの上場企業が同時期に株主総会を開催することで、反社会的組織である総会屋を避けるためとも言われています。

最近の会社では多くの株主に総会に参加してほしいということで決算時期をずらしている会社もあります。

会社設立から1年以内であれば決算時期はいつでも可能です。

 

融資の内定に合わせて決算月を決める

不動産投資で法人化する場合の決算期は、取得する不動産の融資がほぼ内定し物件を取得できるとなった段階で設立することが多くなります。

なぜなら物件を取得できなければ法人だけ設立して売上がなく、税理士費用等のランニング費用だけがかかってしまうからです。

そのため融資内定が決まり物件売買の決済日が決まったら、その前月末が決算月となることが多いのです。

税理士事務所の繁忙期などを考慮して決算月を考える人もいますが、それほど気にしなくてもいいと思われます。

 

法人の役員報酬の決定時期を考慮して決算月を決める

法人の役員報酬の決定を遅くすれば遅くするほど利益予測の精度もあがるので、なるべく遅く役員報酬を決定できる時期に決算月を設定しておく方法もあります。

法人で役員報酬を損金算入する方法は、大企業でない限り2種類あります。

  • 定期同額給与:定期的に同額で支給する給与
  • 事前確定届出給与:所定の時期に確定額を支給する定めにもとづいて支給する給与で、事前に所轄税務署に届出をしたもの

事前確定届出給与は、決算時期の3ヶ月以内に届出しないといけませんが、定期同額給与はその決まりはありません。

定期同額給与の時に役員報酬決定を遅らせる方法として、源泉所得税納付の特例を申請しておけば、源泉徴収税額は年2回の提出で問題ない。

  • 1月~6月分:7月に納付
  • 7月~12月分:翌1月に納付

上記をうまく使うと、役員報酬の決定の時期を遅らせることができます。

1月~6月の役員報酬は7月に納付する段階で役員報酬を決めればいいことになります。

例えば決算月が12月だとすると、6月末ころに役員報酬を決めれば1月~12月までの役員報酬を決めることができることになります。

事前確定届出給与だと決算月から3ヶ月以内ですが定期同額給与の時にはさらに3ヶ月先延ばしにできるという考え方です。

不動産投資事業は売上予想が立てやすい事業ではあるものの、役員報酬はなるべくあとに決定したほうが利益予測の正確性が増し節税対策に有効となります。

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